令和2年7月「新型コロナウイルス感染症対策(これまでの振り返りとこれからの備え)」について

 

◆「新型コロナウイルス感染症対策(これまでの振り返りとこれからの   

     備え)」について

(本インタビューは6月29日に行ったものです)

◎はじめに知事写真

新型コロナウイルスは新しいウイルスで、奈良県だけでなく、日本中、世界中で蔓延している状況です。これまでにもスペイン風邪やSARS、その前は、黒死病ペストといった感染症がありました。人間は免疫を作って生き延びてきた歴史があるわけですが、その免疫をワクチンという形で作ることも一つの生き延びる手法でありました。 
 しかし、今回の新型コロナウイルスは、ワクチンが十分開発できておらず、そのような状況の中での対応が必要となりました。ワクチンや病理的・臨床的な手法が確立できない間は、ウイルスが人から人へうつりますので、飛びうつらないように物理的な距離をとることが、唯一の対策でした。そのため、ロックダウンとか、ソーシャルディスタンスとか言われてきましたが、そのような対策にもかかわらず、大きく感染者が増えた国や地域、また、死亡者が多かった地域がありました。

 

 

 

◎これまでの振り返りと今後について

 これまでの流れを振り返ってみることは、次の感染の波に備える意味でとても大事なことだと考えています。
 実際の感染経路を分析しますと、半分は大阪の勤務者とその家族、また大阪の夜の交流でうつった方になりますので、半分は大阪との交流をうまくコントロールすること。
 大阪や東京などの大都市でうつされる人が未だに多いので、感染者が発生した時にはなるべくリモートワークできるようになれば、感染の拡大を防止できるのではないか、大阪でうつされるのは少なくなるかもしれないと思います。
 もう半分は、奈良県内でのいろいろなうつり方がありますので、うつるシチュエーションを作らないことが大事ですが、「うつさない」対策と「うつらない」対策があると思います。
 「うつさない」対策は、ウイルスは感染者からうつる。だから、感染した人を早く見つけて、見つけ次第隔離する。入院隔離ということをやりました。奈良の場合は感染が判明した人は全員、入院していただくことができました。その結果、県内でうつさないことが、相当できたと思います。今後も、PCR検査を十分して、発見次第、隔離してうつさないことを徹底します。
 「うつらない」、「うつされない」ためには、うつるような人と接触しない、うつるようなところに行かないこと。物理的な距離をとることは必要ですが、ウイルスを持っているかどうかはすぐに分からないため、なかなか難しいです。マスクをしたり距離を置いたり、用心をして行動してもらうことになりますが、うつりそうなところには行かないようにしましょう。
 感染拡大防止の方法というのは、結局、このような単純なやり方しかない状況ですが、そのような基本線を支えるには、PCR検査で早く発見する、また、発見した人は入院ができ、他の通常医療に影響があまり及ばないような環境の改善・整備を行うことが必要だと考えます。
 また、第一波の時は、どのように行動自粛をすれば「うつらない」を徹底できるか分からなかったので、全面的な行動自粛の要請が国から出され、各地域ともそれに従って行動自粛を行いました。これにより、ゴールデンウィーク後の感染が横ばいになってきて、終息に向かった経緯があります。このため、感染が蔓延する時期は行動自粛が必要となりますが、これからは、感染経路の分析をすることで、少し限定的な行動自粛にできるかもしれません。
 それとともに、限定的な行動自粛と関係しますが、社会経済活動を正常化・活性化する、並行・両立させることも課題と思います。コロナウイルスにうつらないように配慮しながら、社会活動やイベント等を行っていく。いろいろな工夫をしながらになりますが、用心しながら、経済ものびのびしましょう。消費が影響を受けているので、消費もしましょう。生産もしましょうということになれば、両立ということになります。 

 

 

 

◎消費活動について知事写真

 身近な消費、身近な観光を伸ばしましょうと呼びかけるチャンスだと思います。
 奈良の人は、奈良のことをもっと楽しみましょうと呼びかけていますが、この際、奈良の人にもっと奈良の観光を楽しんでもらい、よく知ってもらうことになればと考えます。もちろん外からも来てもらいたいですが、インバウンドがすぐに、急激に増えるわけではありません。
 奈良の観光、あるいは生活は十分楽しめるだけの素地がありますので、この際、奈良の人は奈良でちゃんと消費しましょう。もっと奈良で経済が回るようにしましょう。生産も奈良で行って、モノが買え、贈れるようにしましょうといったことを心がけ、自立的な経済体制を作りたい。ピンチをチャンスと捉えるメンタリティで対応したいと考えています。
 (6月補正予算には)県民の方に使ってもらって、県内の消費を、県民の手で回復してもらうという願いを込めています。