令和2年2月「奈良県の力」の底上げについて

◆「奈良県の力」の底上げについて
ポイント:
(1)奈良県庁の流儀に磨きを掛け、「奈良新『都』づくり戦略2020」によって奈良県が発展するための力を底上げ
(2)県民満足度が低い項目、全国ランクやランキングが低い分野から、奈良県が取り組むべきターゲットゾーンを選定
(3)身近なパートナーである市町村等と一緒にプログラムに取り組む
(4)行政資源(人、予算、施設)を総動員する


◎奈良県庁の流儀に磨きを掛けて「奈良県の力」を底上げ知事写真
  次期行革計画の名称が「『奈良県の力』底上げプログラム」という良い名前となって、嬉しく思います。奈良のような地域では県庁は様々な場面で役に立つ力を持っています。どのような力をどのように発揮するかというのが奈良県庁の流儀ですが、(1)統計重視-エビデンスを作って客観的にやるべき仕事を発見する、(2)現場重視-現場を良くしないと仕事になりません、(3)頑張る市町村を助ける、(4)失敗することを恐れない気持ちで仕事に向かう、(5)プロセスを重視します。目標を共通化し、行動を共同化して、それをモニタリングをして、どのような道に来たかの確認等を行います。(※)奈良県庁の流儀に磨きを掛けると「奈良新『都』づくり戦略2020」で言っていますが、奈良県庁の流儀に沿うように県庁の力をアップする、奈良県が発展するための力を底上げするのがポイントになると思います。
 
(※)奈良県庁の流儀には、上記のほか、(6)人材を育てる、(7)高度の知賢を集める、があります。


◎ターゲッティング-取り組むべき分野を選別
 仕事の手順をどのように進めるかはターゲッティングだと思います。第1ステップとしては、まず、県民アンケートにおいて県民が重要性は高いと思っているが、満足度が低い分野をピックアップします。
 二つ目は、奈良県の全国ランクが低いところをピックアップしました。ランクが低いところは、やはり弱みになるので、ランクを比較して、他の地域に劣っていると認識することがターゲッティングの二つ目のフィールドです。今までどこが劣っていたのかいうと、経済のGDPが少なかった、経済力が弱かった、そのため工場を誘致し、働き口を作る政策を行ってきました。他にも、病院の搬送時間が長いことがあったので、救急搬送を断らない医療機関を作ろうと、このように弱いところを発見してきました。
 その他、エビデンスを見て、弱いところを発見することもあります。例えば、がん治療のレベルを上げようと模索する中で、がんの検診率が低いことが統計でわかりました。早期治療により治癒率が上がるのではないかということで、検診率を上げる努力をすることになりました。このように、ターゲットゾーンを決めて努力を続けてきました。
 ターゲットゾーンが決まると、次に何をするか考えます。何をするか考えるのに戦略を作らなければいけません。例えば、奈良県をがん死亡率が日本で一番低い県にすることをターゲットに定めたら、何をしなければいけないか。予防、治療、予後の段階にわかれてくるので、それぞれにおいてどのように進めるかという戦略を策定することになります。戦略を策定すると、それを実行するプログラムを作ります。そしてプログラムの各項目は互いに関連し合っているので、それぞれの項目を実行していくことで、全体が徐々に進んでいくイメージです。

◎身近なパートナーである市町村等と一緒にプログラムに取り組む
協力 奈良県庁の流儀を底上げするというのは、流儀を確認してそれに磨きを掛けることです。「奈良新『都』づくり戦略2020」はターゲットとプログラムが入った形になっています。仕事をしながら物事を進めようというのが、奈良県庁の流儀になってきています。それが奈良県の力の底上げの大きな要素のように思います。失敗することを恐れないことにも繋がります。
 県庁は何でも自分でできるわけではないので、共同戦線を張るということになります。そして、その共同戦線を張る仲間は、一番身近なパートナーである市町村です。共同戦線のターゲットは一番身近なまちづくりとなりますが、まちをどのように良くするかを考えて、一緒にできるところはしましょう、県は応援できるところは応援しますという、奈良モデルのまちづくりが随分出てきました。県が先頭に立つ場合もあれば、後ろで応援する場合もありますが、奈良モデルは、まちづくりはもちろん、ゴミ処理、県域水道、教育など、様々な分野で出てきています。その一つに、福祉の奈良モデルもあります。市町村だけでなく、県社会福祉協議会など、様々な人が仲間になっています。仲間を増やして一緒にスクラムを組みましょうというのも奈良県の流儀になってきていると思います。そのような流儀に自信と自覚が出てきて、統計分析や、現場を知る、市町村ともしっかりコミュニケーションを取りながら、力を合わせてやっていきましょうという方向に進んでいます。それは、共通目標と仕事を確認しながら進めなければいけません。奈良県の力の底上げはそのようなことを実践しながらやっていくことになるかと思います。実際に良い結果が出れば自信にもなりますし、この流儀で反省が必要な部分が出てくれば、修正を加えながら進むことになります。
 イベントを例にとるとわかりやすいと思います。たくさんの方に楽しんでもらうのが目標で、毎回振り返って次に向けて改善を加えながら進めていきます。平城遷都1300年祭は職員にとってとても良い勉強の機会になりました。そのときの努力がムジークフェストなら、大立山まつり、さらには国際会議などで発揮されています。奈良県コンベンションセンターができたので、その効果がもっと発揮できてくると思います。

◎行政資源-人、予算、施設-の総動員

 今ある行政資源(人、予算、施設)を総動員し、上手く組み合わせていきたいと思います。県は縦割りの傾向がありましたが、なるべくチームでプロジェクトに取り組み、ターゲットを決めるようにしました。
 行政資源で一番大きいのは人材です。人材をどんどん活用していきたいです。
 また、県有の未利用地・施設がどんどん活用されています。ホテル、コンベンションセンター、プール跡地など、県の事業の中で多くの県有の未利用地を利用しました。市町村でも同様に未利用地の利用が進めばと思います。