令和3年8月「奈良県観光総合戦略の策定」について

「奈良県観光総合戦略の策定」について

 (本インタビューは令和3年7月20日(火曜日)に行ったものです。)


ポイント:   

○宿泊観光客を増やし、県全体をバランスよく良い観光地にすることが戦略の大きな柱。

○観光地として重要な要素であるリピーターを増やすためには“おもてなし”が必要。

○グレードの高い立派な観光地を目指して、官民一体で戦略を実行する。

 

 

宿泊観光客の増加をターゲットとしたバランスの良い観光地づくり 

 奈良は観光地だと自認しており、人からもそう言われます。しかし、本当に十分な観光地であるかどうかは、まだ疑いがありました。というのは、宿泊観光客が全国で最下位レベルであり、それは、宿泊施設数が全国最下位レベルということです。宿泊が最下位レベルであるのに観光地といえるのかということは、従来から思っていたことです。 

 一方で、観光の魅力は十分整っている地域ですので、やり方によって、奈良の宿泊観光客はもっと伸びるというふうに思ってきました。宿泊観光客を伸ばすことが、観光戦略の大きなターゲットです。そのためには、宿泊施設がいるということで、不足している宿泊施設を整備してきました。大分整備が進んできましたが、まだまだ全体の量的には少なく、また、奈良市に偏っています。それは、観光の素材、つまり仏像などの文化資源が偏っていることが影響していると思います。奈良県全体をバランスよく、良い観光地にするというのは奈良県観光総合戦略の大きな柱です。

 

 

リピーターを増やすための“おもてなし”

 もう一つ、奈良に来た人に良い観光地だと思ってもらい、リピーターとなってもらうことも戦略の大きな柱です。これまでは修学旅行に来てもらい、それで良いと思っていた風情がありますが、この状況を脱却しよう、リピーターを醸成しようというのが大きな目標になってきています。それには“おもてなし”をする必要があります。

 おもてなしの要素は、宿泊施設があることの他に、食事や来て面白かったと思えるものがあります。さらに、何かをただ見るだけでなく、自分で歩いたり景色を眺めたり、散策したりというような複合的な楽しみが必要になってきます。奈良の観光地を向上させる要素は、まだまだ余地があると思われます。やってこなかったことがたくさんあるというのが、一つ大きなことであります。

 ポスターなどをご覧になって奈良を知り、実際に奈良へ来たけれどがっかりした場合、これはリピーターが減る要素となります。観光客が持つ期待値よりも上のおもてなしをするということが鉄則です。期待値が低くても来られる方に、思っているよりもすごく良いとこだぞと口コミの宣伝をしてもらう方が、観光客の伸びが良くなります。今の奈良は、期待値以上のおもてなしを実行する途上、発展途上観光地というようなイメージがあります。

 

 

奈良をグレードの高い立派な観光地へ

 これらを、戦略を立てて体系づけようというのが奈良県観光総合戦略の大きな考えです。一朝一夕にはいきませんけれども、観光地として必要な要素である宿泊施設、食事、おもてなし、それとアクセスをそろえていこうと思います。このような大事な点が、奈良の観光地ではほとんど欠けているのが実情です。一つ一つ整備し、グレードの高い立派な観光地にしていくことが奈良県観光総合戦略ということになります。

 その一環として、奈良を知ってもらうためにイベントや会議を開き、東京でのプロモーションを行っています。奈良に来る宿泊客の約3割は関東のお客さんで、仏像などの文化財の魅力は国内外でも圧倒的であります。

 ただしオーバーツーリズムにならないように、観光が非常にうまく回る、コントロールできるように、宿泊施設やアメニティーなどをもう少しグレードアップしたほうがいいかと思っています。

 徐々に、戦略の体制整備と実行が進んでいるように思います。これは、官民一緒にやらなければならない仕事であり、その牽引役、リーダーは県が取っていこうと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 

 

 


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