◆「スポーツを通じた地域振興」について
【ポイント】
(1)スポーツは健康維持に不可欠
~だれもが、いつでも、どこでもスポーツに親しめる環境づくり~
(2)スポーツに親しむための機会と環境の提供が必要
(3)スポーツ合宿の推進による地域振興 ~交流人口の増加に向けて~
(4)今後の目標:県内へのキャンプ地招致のために宿泊地を整備 |
◎だれもが、いつでも、どこでもスポーツに親しめる環境を
知事になった当初から、だれもが、いつでも、どこでもスポーツと運動に親しめる環境を整備したいと言ってきました。
今は、健康維持がスポーツの大きな意義となっています。高齢になると、体のあちらこちらが弱くなるので、筋肉あるいは内臓を鍛えるためにもスポーツは欠かせないものです。若い人にとっては、健康な体は一生の財産になります。筋肉や骨格を育てることはとても大事なことなのですが、奈良県内の公立の小・中学生の体力レベルが全国平均と比べるとまだ低いことが非常に気がかりです。働く世代は、スポーツを生活にうまく取り入れることにより、仕事が大変なときも切り抜けられるのではないでしょうか。
このように、若年層から老年層まで、それぞれの年齢層に見合ったスポーツを楽しんでいただきたいです。この目的を達成するためには、(1)スポーツイベントの開催によりスポーツに取り組む機会を作ることと、(2)スポーツのできる環境を整備することが大切です。
◎スポーツに取り組む機会を作る
オリンピック等をテレビで観たことをきっかけにスポーツを始める人は多いです。しかし、人間は怠けたがる生き物なので、誰かと一緒に楽しむ機会がないと、一人ではなかなか始められません。そこで、動機となりうるイベントを開催し、スポーツをするための環境を整えていきたいと思います。これまで県内では、奈良マラソンや、ヒルクライム大台ヶ原等のサイクルイベントを開催し、好評いただいていますので、今後も続けていきたいと思います。
◎スポーツ環境を整える
課題は、プロスポーツなどの試合を開催できる大きなスタジアム等が県内にないため、プロスポーツを観戦できる機会が少ないことです。奈良県は大都市ではないこと、また大都市が近く、そちらに大きなスタジアム等があることから気が緩んでいましたが、今後は県内の施設整備もしていかなければと思っています。
これまで県が整備したスポーツ施設としては、老朽化した旧県営プールを浄化センター公園内(現:まほろば健康パーク)に移転させ、「スイムピア奈良」をPFIで整備したという実績があります。補助金等を活用したこともあって、約70億円のPFI事業費に対して、維持費を含めた県の支出は約19億円程度で済みました。工夫をすれば安くて済むのだと実感しました。また、施設のサービスが良く、利用者数が年々増加していることもうれしく思います。例えば障害のある方がプールを利用しやすいよう工夫がされており、また高齢者でも水中ウォーキングを行うことができるなど、誰でも水中スポーツを気軽に始めることができる施設ということで大きな意味があったと思います。
◎まほろば健康パークの機能強化について
まほろば健康パークは浄化センターと隣接しており、浄水機能と遊水貯留機能は必要ですが、その機能が確保されるのであれば、残りの土地はスポーツ施設の充実を図ることができます。まずは遊水機能を集約し、遊水池とスポーツ施設のゾーニングを明確にさせたいと思います。大まかな構想としては、南側に遊水機能を持たせ、北側の土地を運動公園にすることになりそうです。北側の残りの土地については、例えば大きな競技場を建設することも考えられますが、最寄り駅の名称が「ファミリー公園前駅」であることから、「ファミリーで楽しめる」を基本コンセプトに、運動公園を充実させようと考えています。まだまだ議論は必要ですが、奈良県のスポーツ・健康増進の中心となるよう、研究・検討を進めていきます。
◎気軽にスポーツができる場所を整える
県だけでなく、市町村と協力して、身近なスポーツ施設を整備したいと思っています。例えば、高速道路の高架下でサッカーのボール蹴りや、テニスの壁打ちができないか、川辺の三角地をミニ運動公園にできないかと考えています。ウォーキングや散歩は健康維持に効果のある運動なので、これらを安全に気持ち良くできる環境を作る必要があるのですが、なかなか進んでいません。ウォーキングや散歩が安全にできる場所を整備することは大きな課題であり、市町村と協力して進めていきたいと思います。
サイクリングも日常的に楽しめるスポーツです。京奈和自転車道は平地で走りやすく、観光客のレンタサイクルの利用も多いです。自転車は移動手段だけではなく、サイクリングというスポーツでもあります。サイクリングロードの整備はスポーツのための道路整備にもなります。散歩の延長として、自転車に乗って遠くまで行くこともあると思うので、サイクリングステーションを作るなど、環境整備にも力を入れてきました。
◎スポーツと地域振興
スポーツによる地域振興という観点では、スポーツ合宿の推進が考えられます。
例えば、いこいの村大和高原の活用方法については、スポーツ合宿の拠点として整備についての提案を受け、それを実施したことで大成功しました。スポーツ合宿は、スポーツ施設だけでなく宿泊施設も必要なので、宿泊施設の整備が必要です。
スポーツ合宿で地域を訪れていただくこと自体が交流人口の増加につながるので、地域振興になると考えています。
地域で楽しむことのできるスポーツとして、大滝ダム湖でのカヌー、川登りや川下りなどがあります。奈良には海がないためヨットはできませんが、スポーツは遊びに近い部分もありますので水を使って遊べたらと考えています。
また、トレッキングについては運動だけではなく、観光にもつながることから、トレッキング環境の整備についても検討しています。
イベントや設備を充実させ、運動をしやすい環境を整えることで、健康増進にもつながります。住民の健康増進が一番の地域振興になると考えています。また、多くの方に地域を訪れていただくことにより、観光振興にもつながります。
◎今後の努力目標 宿泊地整備とキャンプ地招致
近畿圏でも様々なスポーツイベントが開催されています。奈良県にもオリンピック等の事前キャンプ地や全国規模の大会で利用できる施設があれば良いのですが、それにはスポーツ施設だけでなく宿泊施設も必要となります。2019年ラグビーワールドカップのキャンプ地の招致にあたり、グラウンドだけではキャンプ地にはならないと言われてしまいました。スポーツ合宿に適した良い宿泊地があれば、奈良県もラグビーワールドカップのキャンプ地に選考されたかもしれないと思うと非常に残念です。
宿泊地の整備は今後も重要になると思いますので、これからの努力目標にしてがんばります。