平成30年3月「平城宮跡歴史公園の開園について」

-知事から職員に向けてのメッセージを、県民の皆さまにもご覧いただきます。-

平城宮跡歴史公園の開園について」
       (職員向けメールマガジン 平成30年3月20日号掲載)

◎平城宮跡歴史公園の開園について

知事 平成30年3月24日に平城宮跡歴史公園が開園します。

 これまで、平城宮跡では朱雀門や東院庭園、大極殿が復原されてきたのですが、これらは文化庁により整備されました。平城宮跡内の国営公園部分と県営公園部分が初めて「平城宮跡歴史公園」として開園します。

 平城宮跡は、私が知事に就任後、国営公園事業として採択いただいたのですが、国営公園として採択されるのは難しいことだったため、思い出深いものがあります。

 参議院議員時代、奈良に帰ってきた時は、平城宮跡をよく散歩していたのですが、朝堂院跡から東を見て、この広場を何とか復原できたらといった思いを抱いていました。その際に国営公園事業でできればという思いがよぎり、何とかその方向で復原が進められたら良いと思っていました。

 知事になった時、平城遷都1300年祭が間近に迫っていたので、国営公園化に向け、財務省と国土交通省へ陳情に行ったところ、両省の担当者が二人ともよく知っている人で、その年の予算編成で認めてもらうことができました。

 

◎公園整備にかかる国と県の役割
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こうしてスタートした平城宮跡も、今大極殿院の整備が進められていますが、朱雀門の南側については特別史跡の区域外のため、展示やおもてなしの施設を公園事業として整備を進めるということになりました。また、国と県が区域を分けて整備を進めることになったのですが、この2つのことが県にとってありがたいことだったと言えます。全て国が進めることになった場合、県の費用負担はいらないものの、県の意向に沿った設計にならない可能性があります。
 そのため、今回開園する部分に県営部分が入っていることはありがたいことです。


◎平城宮跡と長安との関係

知事  平城遷都1300年祭にあわせ、実物大の遣唐使船を造って置きたかったのですが、特別史跡の平城宮跡内には置くことができないため、その区域外の平城京歴史館前に置くことにしました。静岡県に実物大の遣唐使船を造ることができる方がおられたので造ってもらいました。

 そして、この実物大の遣唐使船を、朱雀門ひろばの真西の長安の都に向かって置くことにしました。平城宮跡から約5,000km西に飛ぶと長安の都に降り立つということで、大宮通り沿いに実物大の遣唐使船が現れ、その後ろに平城宮跡が見えるという、とてもおもしろいことになっています。

 

 平城遷都1300年祭を振り返って

 平城遷都1300年祭の際に、天皇皇后両陛下にお越しいただき、お言葉を賜ったことも大きなことでした。

 平城遷都1300年祭の実施にあたっては、地方で実施する国家的な事業であるということで閣議了解をいただき、政府が応援するかたちになりました。当時、閣議了解されるイベントはオリンピックや万博しかなかったと聞いており、地方のイベントが閣議了解の対象となることはありませんでした。政府に応援いただくことで国全体として応援してもらうことになり、経団連が寄付に乗り出していただき、当初20億円を予定していた寄付金が29億円も集まり、非常にありがたかったです。

 

◎奈良時代を今に感じる空間

illust_ 平城宮跡は昔から実物としての広場はあったものの、それを解説した施設はあまりありませんでした。政治の中心である平城宮跡の、都城としての広さを感じてもらうことはできていましたが、史跡地で昔の建物を復原するのは難しいため、大極殿院を復原できているということは珍しいことです。パルミラ遺跡のような石の都であれば、壁やアーチが残ることもありますが、全容は残りません。木造の都があった史跡地に後世に人が住むことにより、都の位置がわかりにくくなることもあり、平安京がその例です。一方、奈良は都が離れたことや、東大寺やその他の寺社が残っていることにより平城京の位置がわかっています。

 また、平城京の構造を見ると、東に春日大社や藤原不比等の邸宅があり都の平城京の守り神というような構図になっています。道教の四神の思想からも、平城京は東西南北の守りを意識した構造であり都城ということになりますので、このような昔の都づくりの跡についても楽しんでいただければと思います。

 
◎今後も賑やかになる平城宮跡

知事 平城宮跡歴史公園とあわせて、朱雀大路東側地区の北側に、国営公園事業で平城宮跡展示館が整備され開園を迎えます。朱雀大路東側地区の南側については県営公園の事業化が決まり公園補助を活用し、今後用地買収を行い、事業を展開していくことになりますので、朱雀門前は非常に賑やかになっていきます。

 また、大宮通り南側の積水化学の工場も含め、朱雀門ひろばと一体になるような施設整備ができるよう積水化学と調整することになっています。

 今回の平城宮跡歴史公園の開園により、朱雀門ひろばを常時楽しんでいただける広場にしようということでアメニティが揃った地区になっています。また、平城京の昔の様子についてもわかるような空間となっています。

 現地に行って楽しんでもらうことが何よりだと思います。