-知事から職員に向けてのメッセージを、県民の皆さまにもご覧いただきます。-
「2017年を振り返って」
(職員向けメールマガジン 平成29年12月20日号掲載)
◎2017年の振り返り
今年を振り返ると様々な出来事がありましたが、総じて良い方向で物事が進んでいるように思います。
これを3つに分けると、1つ目は、繰り返しやってきた物事の成果が数値として表れてきたということ、2つ目は、様々なプロジェクトが具体化し、形が見えてきたということ、3つ目は、様々なイベントを行ってきた結果、そのイベントが良いものになってきたということになります。
◎「数値」としての成果
数値が良くなったものは数多くありますが、嬉しかったことの1つとして、この10年間で「がんによる死亡率の低下」が全国で1位となったことです。低下を目指して様々な努力を重ねてきた結果、全国34位から全国9位となりました。1位の長野県との差についても20ポイント差から10ポイント差まで縮まりました。がんで亡くならない県を目指そうと取り組んできた結果が数値として表れてきています。
また、南奈良総合医療センターへの救急搬送件数について、旧三病院(県立五條病院、国保吉野病院、町立大淀病院)の合計よりも約2倍の受入がありました。
工場立地件数について、平成28年度の調査結果では全国12位となっていましたが、29年度上期では、7位となりました。奈良に1,000平方メートル以上の工場が増えてきていることは、県が企業誘致に努めてきたことの表れだと思います。
障害者の民間企業における実雇用率については、平成28年度の調査結果となりますが、奈良県は2.60%でありこれは全国1位になっています。(※)
財政の面では、交付税措置のない自前で返済する県債残高が10年間で約660億円程度減少しました。これも数字で見なければわからないものですが、とても大きな話です。
このように、数値で測ることができるものについて、良い数字が表れてきていることが今年はいろいろとありました。とても嬉しいことです。
※平成29年度の調査結果は2.62%で2年連続で全国1位となりました。
◎「形」が見えてきた成果
「形」が見えてきたものとして、まもなく出来上がるものが2つあります。1つは平城宮跡歴史公園で来年3月24日に開園します。もう1つは来年5月1日に移転オープンする奈良県総合医療センターで、許可病床数は540となっています。
また、(仮称)登大路バスターミナルの建設が進められているほか、9月には「大宮通り新ホテル・交流拠点」の起工記念式が、12月1日には「JWマリオットホテル奈良」の地鎮祭が行われました。「吉城園周辺地区」や「高畑町裁判所跡地」の整備も含め、今年は奈良が良くなるプロジェクトが進捗したことも大きな成果です。
◎「イベント」の成果
「第32回国民文化祭・なら2017」と「第17回全国障害者芸術・文化祭なら大会」を9月から11月までの3ヶ月という長い期間開催し、大変盛り上がりました。奈良県では初の開催で、しかも全国初の一体開催でありました。次回以降も一体開催を継続するとのことですので、奈良県が一体開催を初めて提唱し、それを実行できたということは大変誇りに思います。オープニング「開会式」を、東大寺大仏殿というとても厳かな雰囲気の中で開催し、参加者にも感銘いただけたと思います。
会期中には「奈良県大芸術祭」も並行して開催しましたので、9月から11月にかけて3つの大きなイベントが行われていたことになります。
「文化の力で奈良を元気に!」というテーマの下、県に文化事業を展開する力がついてきたということは嬉しいことです。
また、毎年6月に開催している「ムジークフェストなら」も随分定着してきました。来年は5月からの開催で、「ラ・フォル・ジュルネ」を監修しているルネ・マルタンをディレクターとした世界遺産社寺などでの有料公演や「オクトーバーフェスト」も同時期に行う計画になっていますので、より一層グレードアップした「ムジークフェスト」になると期待しています。1ヶ月の前倒しにより、天候の心配も減りますので、これもイベントの発展だといえます。
文化イベントだけではなく、スポーツイベントも定着してきました。奈良マラソンも全国的にも人気の高いマラソンとなっています。奈良マラソンは地域のあたたかいおもてなしが好評を博しています。ランナーだけで13,000人が走るというとても大きなイベントに成長しました。
◎「奈良モデル」による成果
奈良モデルの実績も多く上がってきています。これまでに消防の統合が行われましたが、上水道事業の経営統合という姿も見えてきました。ゴミ処理の広域化については市町村で取り組んでいるところもありますが、これも随分進む気配になっており、行政の効率化という点からも大きな意味があります。
南和地域の病院の統合・再編も奈良モデルの成功例だと思いますが、この延長で医療機関の連携プロジェクトが医療と介護の連携という点で奈良モデル的に進められています。
県と市町村で切磋琢磨し、様々なことを進めていくことはとても大事なことです。奈良は財政力やマンパワーなど、県も市町村も弱い方だと思いますが、弱い者同士が連携・協働し、役割分担を弾力的に行う奈良モデルの下、様々な分野を発展させていることは嬉しいことです。これがさらに進むと、他県ではなかなかできていない行政の効率化について、奈良県が一番進んでいると言われるようになると思います。
今後の話となると、リニア中央新幹線については財政措置などがあり、20年後に奈良市附近の駅ができることがほぼ確実になってきました。これは奈良にとって大きなインパクトであり、このことを前提にいろいろなまちづくりやインバウンドの観光戦略を検討していかなければなりません。
昨年、今年と良いステップが出来ていますが、これからさらに前に進めていくためにも、20年後にリニアの奈良市附近の駅が整備されることを前提として、様々な交通体系の整備、宿泊施設の整備、観光のグレードアップに取り組む必要があります。これにより、奈良県が大きく伸びる可能性が出てきています。そのためにもこれからの20年がとても大事な時期となると思います。
良いまちづくりを進めるため、早く奈良市附近の駅を造る必要がありますが、現在、市町村と取り組んでいる奈良モデルによるまちづくりについても、大変楽しみの多いプロジェクトが数多くあります。幹線へのアクセスを考えたまちづくりということになると、よりダイナミックなまちづくりへとつながりますので、県と市町村が連携して行う、奈良モデルによるまちづくりはとても楽しみな事業です。
◎来年の期待
県庁内でああしよう、こうしようと議論したことについて、職員が張り切ってやってくれています。議論を重ね、ああだこうだ言いながら何度も議論してきた成果だと思いますので、来年もこれを続けていきたいと思います。

成果には物理的な形として見えてくるものと、数値として表れてくるものがあります。成果が最も早く見えるのはイベントですが、数値として表れてくる成果も思いのほか出てくるようになったと思います。道路などの社会資本の整備については成果が出るまで長い時間がかかりますが、奈良県でも整備が進んできているので、他県に負けず進めていきたいと思います。
文化イベントについても、県内だけにとどまらず、来年パリで開催される「ジャポニスム2018:響きあう魂」で奈良の国宝や重要文化財の仏像を展示することになっていますので、楽しみが増えてきました。
これも職員がいろいろと議論したうえで、それを実行してくれている成果だと思います。こつこつと実行すると実るものだと思いますので来年もよろしくお願いします。実ると嬉しいですよ。