平成29年9月「京奈和自動車道 大和御所道路の開通」について

-知事から職員に向けてのメッセージを、県民の皆さまにもご覧いただきます。-

「京奈和自動車道 大和御所道路(御所南IC~五條北IC)の開通」について
       (職員向けメールマガジン 平成29年9月20日号掲載)

京奈和自動車道 大和御所道路の開通

知事 8月19日(土曜日)に京奈和自動車道の御所南IC~五條北IC(延長7.2km)が開通しました。これにより、橿原高田ICから和歌山JCTまでがつながったため、和歌山方面や関西国際空港方面へのアクセスが大きく向上しました。特に関西国際空港までのアクセスについては、西名阪自動車道や南阪奈道路を経由するよりも距離は遠くなってしまうのですが、料金は大変安くなるため、御所・五條回りで向かうという選択肢が新たに増えました。

 京奈和自動車道の、県内での未開通区間は「橿原北IC~橿原高田IC」、「(仮称)奈良IC~郡山下ツ道JCT」、「木津IC~(仮称)奈良IC」までの3区間となります。既に事業化されている区間については、用地買収を行っているところです。道路の整備については、用地買収の進捗度合が大きな割合を占めており、買収はいつも難航しますが、それが終われば一気に進むと思います。

 なお、奈良県としても(仮称)奈良ICと奈良市中心部を結ぶ西九条佐保線を京奈和自動車道と合わせて整備しているところです。
 

 
京奈和自動車道の整備効果について
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 京奈和自動車道の整備効果は目を見張るものがあります。南部に関する効果は、先述したとおり、関西国際空港へのアクセスという面で現れてきます。北中部に関する効果は、郡山から橿原までの区間が高架でつながったことと橿原から御所までの区間がつながったことにより既に大きな整備効果があがっています。

 特に、平成26年度に奈良県にとって初めてのジャンクションとなる郡山下ツ道JCTが完成し、京奈和自動車道と西名阪自動車道という2つの高速道路が交わりました。奈良県にとって新たな時代の幕開けともいえると思います。

 高速道路の整備にかかる効果が顕著に現れている分野として、工場の立地件数があげられます。京奈和自動車道の沿線では、道路の開通ないしは開通見込みによって企業立地が促進されていて、平成28年の県内での工場立地件数は32件でした。これは全国12位で、近畿では兵庫県の56件に続き2位となります。

 今まで名神高速道路や新名神高速道路、京滋バイパス付近に立地していた企業が、京奈和自動車道の整備を契機として奈良県への進出も検討するようになったため、工場立地の話が数多く寄せられています。

 
  

◎バランスのとれた土地利用を目指して

 大和平野の中心部分については、京奈和自動車道の沿線に工業ゾーンを創出しようと検討しているところです。9月5日に川西町と唐院工業団地周辺地区に関する包括協定(工業ゾーン創出プロジェクト)を締結しました。農業を儲かる農業とするための取り組みと合わせて、工業ゾーンも創出していきたいと考えています。

 地域で今後も農業を続けていきたいと考える方がいる一方、後継者問題や工場立地によって地域での雇用が生まれることにより、地域での若者の定着を望むことは出来ることから、工業ゾーン創出に賛成する方もいます。両者のバランスのとれた土地利用を進めていきたいというのが、奈良県の目標です。

 市街化区域の用途地域について大きく分けると、住居系、商業系、工業系の3種類ありますが、奈良県は住居系の占める割合が圧倒的に高く、商業系と工業系の占める割合が低いという特徴があります。土地利用に占める工業系の割合がある程度高くなければ、経済活動の基本となる産業が存在しないということになります。土地の利用用途から見れば、奈良県は農業県ないしは林業県ということになりますが、工業に比べて生産力は低いので工業に力を入れる必要があります。

 工業や商業の発展は新たな雇用が生むことになりますが、奈良県のような内陸県の場合、その発展に高速道路を欠くことはできません。この点について奈良県は遅れをとっていたため、今その遅れを必死に取り返そうとしているところです。


◎観光振興への効果について

illust 今まで、奈良県は観光地に向かうための道路が不便でした。奈良市内は大変混雑していますし、明日香や法隆寺に向かう場合は、鉄道では少々不便です。鉄道は、かつては大阪から東大寺や橿原神宮等の社寺に向かうためのお参り線としての性格をもっていましたが、今は通勤電車としての性格に変わっています。そのため、観光地を巡る交通手段としては不便だといえます。万葉まほろば線のように観光地を環状に結ぶ電車もありますが、利用客はそれほど多くありません。

 そのため、観光地間を行き来しやすいように道路でつなぐことが課題となっていましたが、京奈和自動車道の開通により、遠方からの観光客が奈良に来やすくなったことや、関西国際空港から観光バスで団体客が来やすくなったことが大きなメリットといえます。十津川村等の奈良県南部へのアクセスも格段に良くなりましたので、これからの観光振興が期待されます。

 奈良県にお越しになった方には、できれば県内で宿泊していただきたいと考えていますので二次交通の整備も課題となってきます。観光地の周りで道路整備を行うことはなかなか難しいことですが、観光地間の周遊や駐車場からのアクセスは大変重要なことです。インバウンド観光の発展のためにも、戦略を検討していきたいと考えています。


◎今後の奈良県内の高速道路への期待

知事 大和北道路の未事業化区間について、有料道路としてNEXCO西日本とともに整備していくことが早期開通につながるのではないかとも考えています。また、第二阪奈道路についてもNEXCO西日本への移管を要望しているところであり、第二阪奈道路と京奈和自動車道が接続されれば、県内の高速道路網の発展に大きく寄与すると思います。うまくいくかどうかは、ここ2年が勝負だと思います。

 今回、京奈和自動車道大和御所道路が開通し、沿道にお住まいの方々にとって、自動車の利便性が飛躍的に向上し、県外からの自動車移動もますます容易になります。遅まきながら、奈良の幹線道路が整備されていくことに嬉しさを感じています。次に開通する予定の区間の完成を心待ちにしています。