-知事から職員に向けてのメッセージを、県民の皆さまにもご覧いただきます。-
「第8回東アジア地方政府会合」について
(職員向けメールマガジン 平成29年6月20日号掲載)
◎開催地の成都市について 知事
5月10日・11日に中国の成都市で「第8回東アジア地方政府会合」が開催されました。成都市は、中国の西南部にある四川省の省都で、人口1,400万人を超える大都市です。四川省が四川盆地という盆地にあるところは、奈良県と一緒なのですが、四川盆地は奈良盆地と比べものにならない広大な豊かな盆地です。農産物も豊富にとれるので料理も有名で、四川料理は世界に名が知られています。
このほか、成都市は、今から約1,800年前に劉備玄徳が建国した「蜀」の都があったところです。「諸葛孔明」や「魏」「呉」など、三国志に名前が出てくる歴史の舞台となったことでも有名です。
◎奈良県以外での初めての開催について
今回、「東アジア地方政府会合」を奈良県以外で初めてこの成都市で開催できたことは、唐の時代から中国が東アジアの中心地であった歴史的な背景を考えると非常に感慨深いです。
奈良は東アジアの東端に位置し、唐の時代より、文明の伝播の恩恵を受けた側の国の首都でした。東アジア地方政府会合については、当時の文明の伝播に感謝の気持ちを込めて、現代のグローバル化した社会における共通課題の解決に向けた勉強会を行いたいという動機で始めたものです。
この開催趣旨に東アジアの地方政府が共感してくださり、このような会議で勉強会を開催し、しかもそれを奈良県が主催して続けてきたことはとてもうれしく思っていますし、今回奈良以外で開催できたことを大変感謝しています。
まちづくりや観光に関する「分科会」については他の都市でも開催してきましたが、全体会合を奈良県以外で開催したのは今回が初めてとなります。今後も他都市での開催が続くよう期待しています。
◎当日の討議について
8回目の開催となる今回は、6カ国から計31の地方政府の参加がありました。「観光政策における創造と革新」・「産業・雇用政策における創造と革新」・「まちづくり政策における創造と革新」という3つのテーマについて、議論が交わされました。
例えば観光政策については、東アジアで観光客が爆発的に増加しており、各地で観光客があふれているという現象が発生していることが挙げられていました。日本でもインバウンドが増えていますが、ヨーロッパやアメリカからの観光客だけでなく、アジアからの観光客も増えていて、しかもその人数が圧倒的であるため、地方経済に良い影響を及ぼしています。これを背景として、地方の観光施策をどのように考えていくかという発表が相次ぎました。それに加え、地域の観光振興にとって大事であるのは、口コミや通年の観光イベント、食べるもののおいしさや観光客のニーズに合わせたサービスであると思いますが、発表をした各地方政府が、それらを念頭に置きつつ取組をなされているということが印象的でした。
また、成都市は奈良県と同じく内陸にある都市ですが、内陸都市が発展するためには、このような国際会議や観光など、交流の拠点となることが重要で、そのためには交通の要衝であることが必要です。成都市は、航空関連のインフラがとても発展していますし、また、近々、同じく内陸の北部にある西安と新幹線で結ばれ、約3時間で移動できるようになるそうです。このようなところでは、都市が中核となって投資を集め、周辺地域の発展を促していくことになると思いました。
今回のような場で、地方政府が取り組んでいる施策について積極的に学び合い、発表や意見交換をしてくださることはとてもありがたいことですし、このような地方政府が集まる場を奈良県が作り上げてきたことは非常に意義のあることだと考えています。
◎中国の勢いについて
「東アジア地方政府会合」の後、北京に向かい「一帯一路」国際協力サミットフォーラムにも出席しました。「一帯一路」構想は、道路や鉄道等の交通網を昔のシルクロードになぞらえて整備し、周辺地域との交流を促すことにより、経済発展につなげるという壮大なプロジェクトです。今後、中国がどのように具体的な取組を進めていくのか、どのような投資を行うのかといった点に期待が集まっていました。
中国では、内陸開発が国の安定のために必要な事項と考えられていて、成都や西安を拠点として、国境を越えて更に西の国々との交流を始めようと計画しています。中国の国としての勢いを感じました。
◎今後の国際交流について
8回目となる「東アジア地方政府会合」も無事に終えることが出来ました。県の職員も、当初は国際会議の開催に不慣れでしたが、今では立派にこなしています。今後も他の都市との交流に向けて国際会議を奈良県が主催したり、開催の援助が出来れば良いと考えています。奈良は古くより国際都市だったので、その姿を思い浮かべながら、今後も国際交流を続けていきたいと考えています。