-知事から職員に向けてのメッセージを、県民の皆さまにもご覧いただきます。-
「「奈良県行政経営改革の取組」について」
(職員向けメールマガジン 平成29年3月21日号掲載)
◎行政改革の方向性について
奈良県では、「マネジメント」という概念を中心に、行政改革を行っており、平成26年度から今年度まで、「奈良県行政経営マネジメントプログラム」により取り組んできました。また、新年度から3年間の計画として、「奈良県行政経営改革推進プログラム」を策定しています。
政治が行政をコントロールするというのが基本ですが、細部までコントロールできないので、行政が自発的・自律的に、その執行体制を効率的・効果的にコントロールすることが必要だと思います。
会社経営に例えると、株主総会があり、社長の人選など重要な事項は、ここで決めますが、経営や事業の細部まで、全て株主総会で決めるわけではないので、自律的な運営を行っていく必要があります。
しかし、任せるだけではいけないので、会社経営においては、外部委員会を設けて監視するということが行われています。このような、第三者による監視が行われることにより、説明力の高い資料が作成され、日頃から行っている事業を見える化して説明することが求められるのは、会社も行政機関も同じです。手間かもしれませんが、いい方向を模索していくためには必要なことだと思います。
◎マネジメントについて
行政が自律的に改革をする手法は、国の内外で数多く開発されていますが、行政対応の仕方が異なるので、これらを範にできません。行政の手法にはいろいろあり、他の組織では効果があっても、それが本県にふさわしいかどうかは分からないから、奈良県という行政組織が、フロンティアとして自ら考える必要があります。
そこで、本県では「マネジメント」という考え方で、行政改革を行っています。マネジメントでは、管理する側と管理される側があっても、お互いに対等の立場で、協働して仕事を進めることが、いい手法であると思います。テーマを決めて、何をするのか、どうすれば成果があがるのかといった目標を明確にするもので、管理する人に従うということではありません。
また、組織目標を明確にすることで、個人の目標が明確になり、役割分担ができます。目標を明確にすることと、役割分担をするということが、大きな要素ですが、手法についても研究が必要です。国や市町村だけでなく、民間との連携、協働が不可欠となっています。
県と市町村・NPO団体との連携のニーズは高く、特に市町村との連携は、「奈良モデル」として進めているところです。県と市町村で対等に連携しようと呼びかけ、目標が一致したところについて、協働を進めています。最初は橋やトンネルの補修点検といった道路施設のアセットマネジメントから始め、公共施設のファシリティマネジメントの考え方につながってきました。
そして、ファシリティマネジメントの一つとして、県営水道と市町村水道を「県域水道」と捉えて、県全体で最適化を目指す連携も進めています。このような県域マネジメントの取組としては他にも、南和地域で公立3病院の再編を行っており、南奈良総合医療センターを開院し、地域の医療の充実を図ることができました。
◎奈良県行政経営改革推進プログラムについて
業務マネジメントの次は、行政の基本的な分野である財政や組織、人事のマネジメントについて進めようとしています。まだ進み出したばかりの分野ですが、その中のパーソネルマネジメントは働き方の改革の取組を進めて、我々の行政効率をあげていく大事な取組です。
組織の目的は、その時代に合わせた目標を、しっかり意識することです。時代に合わせて、組織目標、人材育成、予算の使い方も変えていく。アンテナを張り巡らして、よく見て、よく聞くことで、声なき声も拾っていきたいと思います。これは政治の役割でもありますが、各市町村長にもこのような意識を持ってもらいたいと思います。
共通認識を広めて、分析力を高め、行政の進め方の効率性や効果性を上げる取組をすることが行政改革です。基本的な目標の変化や環境をよく見ないと、どうしても小さくなりがちで、組織や人材育成、そして予算の使い方の変化にも対応できません。ここを連結させていくことが大切です。
今年と昨年でも、ずいぶん環境が違うので、常に客観的な分析や資料が必要となります。新しい業務目標は、情報収集を行い分析をして、庁内あるいは庁外に十分知らせてから、その必要性を判断する。そして目標が新しくなれば、統計による分析を行うことで、遅れている分野や取組が必要な分野を把握することが、県政の始めだったりします。
声なき声を拾う能力や、情報収集による分析で、何を行うべきかの指向性を高めて、業務の後も、その成果についてフォローすることも業務目標に含まれています。そして統計により、行動目標や成果目標を導き、PDCAサイクルによりチェックを行うというような手法になります。
それが、マネジメントの骨格であり、新たに策定し、新年度から取組を始める奈良県行政経営改革推進プログラムへとつながります。