令和4年12月 2022年を振り返って

 ◆2022年を振り返って

  (本インタビューは令和4年11月30日(水曜日)に行ったものです。)


 ポイント:

1.「奈良新『都』づくり戦略」を進める中で、脱ベッドタウンに向けた取組として、県内の雇用創出

  が少しずつ進み、ようやく実を結んできたことを一番嬉しく感じる。

2.リニア中央新幹線「奈良市附近駅」の設置と関連する事業の実現を基軸とした、インフラ整備に関

  する取組が進んでいる。

3.県職員の奮励努力、踏ん張りがあって、『都』づくり戦略の大きな項目に実がなり、花が咲いてお

  り、この流れが続くよう議論していきたい。

 

 

◎脱ベッドタウンに関する取組

 「奈良新『都』づくり戦略」をずっと続けてきていますが、今年、『都』づくり戦略を進める中で一番嬉しかったことは、脱ベッドタウンに関することです。県外就業率は5年毎の国勢調査で出ますが、平成7年の本県の県外就業率は32%台であり、3分の1近くが県外で就業していました。ところが、前回(令和2年)の国勢調査では、27%台になっています。27%台ということは、もう少しで県外就業率が4分の1となり、随分変わってきたと感じます。県外就業率の全国順位は平成7年当時、奈良県は1位でしたが、令和2年は全国3位になっています。

 県外就業率の高い地域は、東京や大阪などの大都市近郊です。奈良県は、小さな県にもかかわらず、大阪のベッドタウンとして人口が増えてきました。そうしますと、県内に住宅を求められたご家庭の次世代の人が県内で就業できず、若者の人口流出が多くなり、人口の社会減となります。ところが、最近の人口動態を見ていますと、奈良県では社会増になっています。人口の社会増は、県内で働く人や住宅を求める人が多くなったということです。県外就業率の先行指標である工場立地の件数がずっと高いレベルであることや、経済の活動を示す有効求人倍率が高いことに反映されてきましたが、長年『都』づくり戦略の最大の目標であった脱ベッドタウンに向けた県内の雇用創出が、ようやく実を結んできたと感じられ、一番ありがたいことです。

 次世代の若者のための働く場所、つまり雇用の創出が基本戦略でありますので、このために工場誘致のほか、地域の労働力の円滑な移動のための「地域における多様な人材の育成、就労の促進及び再就職の支援に関する条例」を今年施行しました。また、奈良県は、雇用を創出する観光がさらに大きな産業に育つと良いと考えていますので、ホテル誘致や“いまならキャンペーンの実施、ガストロノミーツーリズム世界フォーラムの開催といったコンベンションによる観光振興をしようと考え、宿泊施設やレストランで食事の場をつくり、コンベンションを行うという戦略をずっと続けてきました。観光産業における若者の雇用、或いは起業を促す効果が、これから徐々に出てくると思います。

 

 

◎インフラ整備に関する取組

 奈良県では、大きなインフラの整備が実現する見込みが立ってきています。奈良県は、新幹線の停車駅も空港もありませんが、15年後のリニア中央新幹線「奈良市附近駅」の設置に向けたスタートができるようになってきましたし、この工事で生じる土を使ってつくる大規模広域防災拠点の事業開始式を、五條市でとり行うことができました。
 また、大和平野の北部と南部を結ぶ京奈和自動車道の工事が進んでいますが、その中間にある大和平野中央の川西町、三宅町、田原本町に、デジタル田園都市を形成する大和平野中央田園都市構想の議論を始めています。サッカーをはじめとする球技専用スタジアムや、テニスコートなど、スポーツ施設を核とした2つの「ウェルネスタウン」、また、「(仮称)奈良県立工科大学とスタートアップヴィレッジ」をテーマとする拠点を整備します。さらに、特定農業振興ゾーンの取組を進めるなど田園都市らしいまちづくりの議論が始まっており、今後、まちづくりの道筋ができてくると思います。
 また、県域水道一体化への協議が進んできています。この12月中には、参加する団体が確定いたします。

   

 

◎県職員へのメッセージと今後の展望

 『都』づくり戦略の大きな項目が、どんどん形となって表れていることを大変ありがたく思います。様々な施設や条例をつくり、イベントを行い、奈良県を活性化してきましたが、勢いが付いているようで、大変嬉しく思います。これは、職員の奮励努力、踏ん張りがあって、どんどん実がなり、花が咲いているような状況です。そのような報告を受けるたびに、本当にありがたいことだなと思っています。『都』づくりという題で、

今年もよく頑張っていただき、感謝を申し上げます。
 これまでの検討を踏まえて、奈良県のこれからの戦略の基本となる条例を、この12月議会で説明し、2月議会に上程しようと考えています。福祉或いは経済振興の条例などですが、社会保障を十分にして経済の振興を図り、若者や県外の人が働きたくなるような力強い県を目指すための条例であり、地域づくりにもつながると思います。
 このような流れが続きますよう、議論をしながら、様々なことができたらと思います。一緒に頑張りたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。