「たんだの椿」。高さ約6メートル。祠には白い菊と水が供えられていた。「平野千軒」はここから少し西にあったとされる。今は果樹園が広がる。椿の見頃は3月から4月上旬。 |
香芝市平野にある「平野塚穴山古墳(ひらのづかあなやまこふん)」(7世紀後半、国指定史跡)。横口式石槨には、二上山の凝灰岩が使われている。江戸時代、顕宗天皇陵と考えられていたが、今は、茅渟(ちぬ)王の墓との説も。 |
奈良と大阪の境に、雄岳(おだけ)と雌岳(めだけ)の2つの峰が秀麗な姿を見せる二上山(にじょうざん)。その東北の麓(ふもと)に香芝(かしば)市がある。旧石器時代からすでに人が住み、二上山から産出されるサヌカイトを使った石器が作られていた。古墳時代には二上山の凝灰岩(ぎょうかいがん)で古墳の石槨(せっかく)や石棺(せっかん)が造られるなど、古代文化と深いかかわりをもつ。 * 昔、ここ平野に「平野千軒(ひらのせんげん)」といわれるほどのたくさんの家があった。庄屋の豪勢な屋敷は土塀に囲まれ、門から大きな椿の木が見えた。椿は、毎年いっぱいの花を咲かせた。落花は地面を紅色に覆い、村人らが見物に来たという。 * この「たんだの椿」をはじめ、香芝に伝わる民話を約十年の歳月をかけて古老から聞き書きしたのが、香芝市在住の鈴木知英子さん。昭和63年、23話をまとめ『香芝の民話たんだの椿』と題して出版した。鈴木さんも幼い頃、落ちた椿の花を首飾りにして遊んだという。
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香芝市ふたかみ文化センター |
0745・77・1000 |