県政だより奈良

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「奈良・もてなしの心推進県民会議」では、生き生きとした生活や交流を育むまちづくりを実践している地区を、「もてなしのまちづくりモデル地区」として認定。天川村洞川地区もその一つです。 ロゴ
見出し 「修験(しゅげん)の文化」を支えて
  新温泉湧く名水の里
 
 世界遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道(さんけいみち)」。その一部である大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)では、古くから修験者(しゅげんじゃ)が苦行を重ねてきました。そんな行者(ぎょうじゃ)たちを癒(いや)した出湯(いでゆ)の里・天川村洞川地区には「行者仕込みのもてなし」が息づいている、と「洞川温泉ほのぼのまちづくり協議会」会長の紀埜弘道(きのひろみち)さんは話します。「宿では夜中に到着する行者さんの一行を迎えたり『ご来光(らいこう)を拝みたいので朝3時に起こしてほしい』という求めにも応じてきました。宿泊客のあらゆる望みを受け止める懐の深さが、培われてきた地区の伝統です」。
 そんな行者の宿泊も、今では減少傾向に。逆に温泉街に浸透しているこまやかな心配(こころくば)りは、一般宿泊客の心をとらえ、宿泊者数も増えてきていた矢先、洞川温泉の湧出量(ゆうしゅつりょう)に陰りが見え始めました。危機を乗り切ろうと、地元の旅館なども資金を出し合い、源泉を掘削。湧出量、成分濃度とも従来の5倍近いという新たな温泉を掘り当て、近く良質の湯が行き渡ります。紀埜会長は「霊場の神秘と豊かな自然に抱かれた洞川の良さを、全国に広めたい」と意気込みます。
 温泉街ではここ数年、玄関先に手水鉢(ちょうずばち)を置く旅館や店が増えています。家ごとにこだわりの意匠(いしょう)で一軒、また一軒…。大峯山脈を源とする清らかな水を守ってきた住民が、その誇りを静かに発信し始めました。
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「洞川の神秘的なイメージを大切に、将来は大分県の湯布院や熊本県の黒川に匹敵する集客力を」と展望を描く洞川温泉ほのぼのまちづくり協議会のメンバーら。(右から2人目が会長の紀埜さん)
洞川湧水群は環境省が名水百選に選定。暮らしの傍らに名水があり、それが旅情を誘う。  

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名水まつりでは釣り大会や自然観察イベントなどで大自然の魅力を満喫できる。 新たなイベントで地区を盛り立てようと、龍泉寺の燈花会(2月・9月)では住民が協力。寺を包む灯りの演出は、修験道の霊場の地にふさわしい荘厳さに満ちている。
 



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