太子には、没後早くから様々な伝説がうまれた。一度に八人の言葉を聞き分けたとか、観音菩薩の化身であるとか、聖武天皇に生まれ変わって大仏を造立したなどといった伝説である。
特に『日本書紀』にみえる太子が片岡の地(現在の香芝市・王寺町付近)で、飢者に出逢い食物や衣服を与えた。飢者の死後、墓を造り手厚く葬った。のちに太子の命により墓を調べると死体は消えていたという伝承は、その後様々なかたちで語り伝えられた。
また、中世以降、法隆寺や四天王寺(大阪市)、叡福(えいふく)寺(大阪府太子町)を中心に、奇跡をおこす英雄としての太子信仰が世の中に広まっていった。
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