県政だより奈良

タイトル
 
 「そばで地域を活性化できないか」。
桜井市笠地区の住民は平成4年、そばに地域の命運を託しました。過疎化と遊休農地の増加、農家の高齢化…。重なる苦境を脱しようと、地区では高原の気候に適したそばの栽培を始め、その定着を確かめると今度は「挽きたて、打ちたて、茹でたて」の生そばを味わえる「荒神の里・笠そば処」を出店したのです。
 このそば処を運営するのが(有)荒神の里・笠そば。開店当初はプレハブ小屋だった食堂を5年前にリニューアルする際、笠地区内の全戸約70軒が出資しました。異例の「一軒一株主制」にこだわったのは「特産のそばで笠を盛り立て、自立しようという団結心を大切にしたかったので」
と藤井敬三社長は振り返ります。
 開店から14年、当初は年間3万人ほどだった来店者も今では8万人を超え、週末には入店待ちの行列ができるという盛況ぶり。「『そばで生きよう』と進路を決めてくれた先輩の情熱は、おいしいそばを作ることで受け継いでいき、お客さんに返していければ」(藤井社長)。
 産地化から販売までを軌道に乗せた地区では今、店の周りを四季の花で彩ったり、地元の観光資源を掘り起こしていく取組にも注目しています。来訪者の「心の満足度」をいかにして高めていくか。それを活性化の次なる目標に定めています。
そば
笠地区産のそば粉100%で打った「荒神そば」(小550円、大900円)。里山の清らかな水と澄んだ空気が“隠し味”だ。
店内
そば処は、竃神(かまどがみ)として信仰を集める笠山三宝荒神の
すぐ前。営業は10:00〜16:00
(水曜日と12/30、31を除く)。
所 桜井市笠4408
電話 0744・48・8410
そば畑
秋には約15haの広大なそば畑が真っ白に染まる。有機栽培を取り入れるなど惜しみない栽培努力が、定評あるそばの品質を支える。
笠地区の住民らが切り盛りする「荒神の里・笠そば処」。
農産物直売所も併設されてにぎわいの拠点に。
そばピクニック
そばピクニック
「奈良・もてなしの心推進県民会議」では、生き生きとした生活や交流を育むまちづくりを実践している地区を、「もてなしのまちづくりモデル地区」として認定。桜井市笠地区もその一つです。


 このページのトップへ