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ふるさと奈良への便り
 
   昨年の11月11日、『Watering NARA(ウォータリング なら)フォーラム』が開かれた。「奈良に打ち水」という気宇壮大(きうそうだい)なイベントで、平城遷都一三〇〇年を寿(ことほ)ぎ、県営水道40周年を祝うものである。
 大和盆地のほぼ中央に位置する田原本、日本を代表する弥生の環濠集落(かんごうしゅうらく)「唐古(からこ)・鍵遺跡(かぎいせき)」での開催である。ここからもフォーラムの意図が汲(く)み取れるが、面白かったのが顕彰(けんしょう)。なんと『水源地』、『吉野川分水』、『ため池』、『大和川』に感謝状が贈られたのである。
 自然物を相手に顕彰するとは意外である。しかし考えてみればこれらは自然であって自然ではない。今われわれが目にする大和の山・川は、弥生時代から人が洪水や渇水と闘いつつ造りあげてきたもの。人と自然の協同作業の成果である。
 律令国家日本はその大和で生まれ育った。奈良の山川が今の日本の原型を造りあげたともいえるのである。
 後日、中東のアラブ首長国連邦の首都アブダビで開かれた危機管理会合に出席した。石油資源に恵まれたとはいえ強大な国々に囲まれた小国、危機管理への執念は並大抵ではない。
 日本を創造するためにどれだけの心血が注がれたことか。その場となったのが奈良。たまらなく愛おしい。
 
 

 

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