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安心して出産できる奈良県の医療体制づくり
救急搬送において複数の病院で受け入れができず、平成18年に妊婦、平成19年に胎児がそれぞれ死亡するという深刻な事案が発生しました。県では、こうした痛ましい事例がふたたび起こらないよう、周産期医療体制の強化を図ってきました。また今年1月には、奈良県立医科大学附属病院(以下、医大病院)にメディカルバースセンターを開設しました。
特集では、安心して出産できる奈良県の医療体制づくりがどう進んだかを紹介します。

周産期医療*1の需要が増えている現状
 出生数が年々減少するなか、双子や三つ子といった多胎妊娠、体重が2500グラム未満の低出生体重児の割合が増し、ハイリスク妊婦*2や新生児に対する医療の需要が増加しています。
 県は、これらの周産期医療の需要に対応するため、さまざまな取り組みを行っています。
*1 周産期医療:妊娠22週から出生後7日未満の時期における母体、胎児、新生児にかかる医療のこと
*2 ハイリスク妊婦:切迫早産や妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)など、リスク(危険)の高い妊婦

*3 一次救急医療体制:比較的軽度な救急患者について、地域の医療機関が当番日を決めて診療する体制
周産期母子医療センターの機能が充実しました
 県では、地域の病院、診療所(開業医)や助産所で対応できないハイリスクの妊産婦や新生児に対応するため、医大病院と県立奈良病院に、周産期母子医療センターを整備しました。両センターは、新生児を治療するNICU*4、妊産婦を治療するMFICU*5を備え、専門医療を行っています。
 まず医大病院でNICUの増床などの整備を行い、平成20年5月、総合周産期母子医療センターとして指定しました。
 また、県立奈良病院にNICUの後方病床*6を新たに整備し、平成22年1月に地域周産期母子医療センターとして認定しました。
 NICUの増床など受け入れ体制が強化されたことにより、ハイリスク妊婦の県外搬送は大幅に減少しています(グラフ参照)。センター機能のさらなる充実のため、後方病床の整備や従事者の確保などの取り組みを進めています。
*4 NICU(新生児集中治療室):未熟児や重症新生児専用の集中治療室。呼吸や循環機能の管理といった専門医療を24時間体制で行う。
*5 MFICU(母体胎児集中治療室):妊婦の集中治療室
*6 NICU後方病床:NICUを退室した患児などが入院する病床
医大病院にメディカルバースセンターがオープンしました
 今年1月、医大病院内にメディカルバースセンターを開設しました。
 この施設は、正常経過をたどる妊婦のケアや分娩に対応する院内助産所として機能します。将来的には、助産師を15人配置することにより、年間400〜500件の分娩が受け入れ可能です。同じ建物内にある総合周産期母子医療センターと連携することで、異常が発生した場合には即座に対応できます。
 また、助産師をめざす学生の研修を実施したり、潜在助産師*7のキャリアアップの場としてここで経験を重ねたりすることで、地域で活躍することも期待されます。
*7 潜在助産師:助産師の資格をもっているが、助産の現場を離れている助産師

休日・夜間の産婦人科の急病時には…
 原則としてかかりつけ医が対応しますが、帰省中の妊婦などかかりつけ医が対応できない場合もあります。
 こうした場合に備え、県内の3病院と在宅当番医(9診療所)の協力を得て、すべての休日と夜間に産婦人科一次救急患者の診療ができる体制を整えています。




妊婦のみなさんへ
かかりつけ医をもち、妊婦健診を定期的に受けましょう
「妊娠かな?と思ったら、まず受診!」
 妊娠中の母体は、刻々と変化し、胎児は日々成長していきます。妊婦健診は、流産や早産の予防、妊娠高血圧症候群などの早期発見につながります。未受診の場合、救急対応においてもリスクが高まります。赤ちゃんやあなたのために、妊婦健診を受診してください。
 妊婦健診では、医師や助産師による診察、血圧や体重の測定、尿検査や血液検査などを行います。診察や超音波検査などによって、子宮の状態や赤ちゃんの発育状況や位置も知ることができます。
 妊娠がわかったら、お住まいの市町村窓口で、妊娠届けを出し、母子健康手帳(母子手帳)をもらいましょう。


問 県保健予防課
tel 0742・27・8661
fax 0742・27・8262
医師・看護職員確保のための取り組み

県では、安定的な周産期医療を支える人材の確保に努めています。

《医師》
 産科、小児科での勤務を希望する医師を募集・登録し、県が県内の公立病院などに紹介・あっせんする「ドクターバンク」制度を実施しています。
 また、将来県内の産科や小児科で勤務する意欲のある学生、研修医等に修学資金・研修資金を貸与する「緊急医師確保修学資金」や「医師確保修学研修資金」制度、離・退職した産科や小児科の女性医師が復職するための研修支援も行っています。

《看護職員》
 医療機関において看護職員が働き続けられる環境を実現するため、短時間正規雇用制度などの多様な働き方の導入を支援しています。
 モデル病院での制度導入を支援するほか、さらに実施医療機関を増やすため、医療機関管理者などを対象として先行事例を活用した導入研修を実施しています。
 また、各種研修やキャリアアップに対する支援制度を実施し、看護職員の資質向上や定着を目指しています。例えば、医療機関での体系的な新人研修の実施や認定看護師・専門看護師など資格取得に対する支援を実施しているほか、看護職員の復職支援研修も実施しています。
 他にも取り組みを行っています。
詳しくは、下記まで。

問 県医師・看護師確保対策室
tel 0742・27・8644(医師確保について)
tel 0742・27・8655(看護職員確保について)
fax 0742・22・2725




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