県民だより奈良トップページへ

奈良 伝承

奈良 伝承
奈良高山は、国内産シェア90%以上を占め、全国一の茶筌の生産地です。高山の茶筌は、室町時代から約500年の歴史をもち、その製法は秘伝とされ、代々後継ぎのみに「一子相伝(いっしそうでん)」の技として、今日まで脈々と受け継がれてきました。
左から、裏千家流、表千家流、武者小路千家流で用いられる
25歳から、作業場で師匠と作業する様子
sp
茶筌づくりを始めたきっかけは?
sp
 10年前の結婚を機に、代々、屋号「壹岐(いき)」の名を継ぐ池田家に入ったのがきっかけです。
sp
茶筌について教えてください。
sp
 茶道の流派や、薄茶用、濃茶用、献茶用などの用途によって竹の種類や形が異なります。また、全ての工程を手作業で行い、昭和50年には伝統的工芸品として国の指定を受けました。
左から、裏千家流、表千家流、武者小路千家流で用いられる 左から、裏千家流、表千家流、武者小路千家流で用いられる
sp
どのような茶筌づくりを目指しておられますか?
sp
 どなたにでも使いやすく、美味しいお茶が点(た)てられる茶筌を一つでも多くつくりたいと思っています。そのため、師匠である義父からは「毎日、抹茶を飲め」と言われています。自分で作った茶筌でお茶を点て、味わうことで出来を確かめています。
sp
茶筌づくりの魅力は?
sp
 1本の茶筌の穂の厚さを均等に削り、竹の特性を生かして、ある程度の堅さを残しつつしなやかに仕上げる「味削(あじけず)り」という工程がとても大切で、私にとっても一番難しく、魅力ある作業です。この工程が茶筌師の指の感触一つで決まるといわれ、茶筌をつくる家ごとに伝わる技法があります。
 義父の仕事を毎日見てもなかなか覚えられず、数をすることで、自分でその指の感触を覚えるしかないと思っています。
左から、裏千家流、表千家流、武者小路千家流で用いられる 丹精を込めて削る「味削り」の作業
sp
ご家族で茶筌を仕上げておられるのですね。
sp
 小刀を使って割る、削るまでの作業を義父や私がやり、木綿糸で編む繊細な作業や仕上げは、義母や妻がやっています。私のように、今まで茶筌づくりを知らなかった者が、伝統ある技を担っていけるのは、家族の協力があるからだと思います。
左から、裏千家流、表千家流、武者小路千家流で用いられる 1本1本茶筌が形づくられていく
sp
最後に、お義父さんから一言。
sp
 自分の代で終わりかなと思っていたのが、こうやって技を継いでくれてうれしいです。その反面、技を教えるのは難しいと感じています。いくつも数をこなして、技を盗んでほしい。そして、うちの茶筌を長年好んでくださるお客様を大切に、代が替わっても茶筌が変わることのないよう、わが家のこだわりの技を一子相伝、息子に伝えています。
左から、裏千家流、表千家流、武者小路千家流で用いられる 師匠であるお義父さんの池田壹岐(いき)さん

このページのトップへ