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奈良は日本の筆の発祥の地です。 日本の筆のルーツ「奈良筆」は、約1200年にわたる伝統の技法を今に伝えています。 |
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まず分業ではないことが特徴です。原毛の仕入れから、筆を仕上げるところまで、1人の職人がすべてやります。羊やイタチなど、数種類の獣毛を混ぜ合わせて作ります。 細かい作業ですが、使う人にとって使いやすい筆をと、心をこめて作っています。 |
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いくつもの製作工程がありますが、例えば、「形(かたち)づけ」(写真①)では、平均4〜5種類の毛を、寸法を合わせて段々に組み合わせていきます。筆の形や書き味が決まる、微妙な技術が必要な大切な工程です。 「練(ね)り混(ま)ぜ」(写真②)は奈良筆の伝統技法です。簡単に言うと、もつれた毛をときほぐして伸ばし、巻いて、形を整えるという作業を繰り返して毛を混ぜていきます。 「さらえ」(写真③)は、水に濡れている毛先を刃物と指でさぐり、はねる毛を引き出します。 「芯立(しんた)て」(写真④)は、ふのりを十分含ませた毛を、穂の太さに分けてコマという筒に通して、太さを決めます。筆は陰干しで自然乾燥させるので、天気次第で仕上げまでの期間が変わります。 |
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もともと服飾関係の学校に通っていましたが、中退して何をしようかと迷っていると、家が奈良筆の製造元でした。女性の職人はあまりいないし、父に聞いたら「やる気があればできる」と言われたので、「やってみようか」と軽い気持ちで始めたのがきっかけです。それから28年になります。若い頃は、友達と遊ぶ時間がなくて、よく父とけんかもしました。 | ||||||||||||||
「どんな難しい注文でも、できないと言ったら職人は終わりだ」といつも父に言われていますから、どんなことにも対応できる職人になりたいと思っています。 今、小学校の社会科の授業で伝統工芸体験を教えにも行っていますが、子どもたちにも奈良筆作りのおもしろさを伝えていきたいですね。 |
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娘には、自分の作った筆に何度も注文がくるような、立派な職人になってほしいですね。後継者がいると、世間の目が違うので、娘が家業を継いでくれてよかったと思います。でも、あと20年したら、奈良筆の作り手はいなくなってしまう。それではいけないと思っています。 | ||||||||||||||
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