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奈良 伝承

奈良 伝承
奈良一刀彫りは、平安時代末期、春日若宮(わかみや)おん祭に用いられたことに始まる。ノミで力強く彫り上げた豪快なタッチと、金箔(きんぱく)や岩絵具(いわえのぐ)などによる綿密な彩色との、絶妙なバランスが魅力。能狂言ものや動物もの、ひな人形などがある。
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一刀彫りって、1本の木から作るもののことをいうんじゃないんですか?
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 多くはそうなんですが、大きな作品になると木をつないで作ったりします。もともと一刀彫りとは、一刀一刀精神を込めて作品を作るということからきているんですよ。
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では、どうやって作るんですか?
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①荒彫り
 簡単に言いますと、まず原木にデザインを描き、大きなノミを木づちでたたきながら大胆に彫ります。ここで作品の骨格が決まるので、最も重要な過程でして、頭の中で完成図を描きながら彫ります。


原木

荒彫り

②木地仕上げ
 その後、鋭利なノミと小刀を生かして面の構成を整えます。荒彫りの良さを失わないよう注意する必要があります。


木地仕上げ

③彩色
 形が完成した後、岩絵具という鉱物質でできた天然物の絵の具や、金箔などで色を付けて完成です。


彩色

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この一刀彫りを始めたきっかけは?
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 僕は鳥取県出身で、以前は大阪で就職もしていました。でも、小さい頃から自分の手で何かを作る仕事がしたいと思っていて、インターネットで「なら工藝館(こうげいかん)」の工芸相談を知り、大阪から近かったので来てみたんです。そこで師匠である館長に出会ったのがきっかけですね。
sp
親御さんに反対されたりしませんでしたか(笑)?
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 最初は反対されましたが、恩師の勧めもあったりして、賛成してくれましたよ。そして奈良市の「奈良伝統工芸後継者育成研修」に応募して、そこで奈良一刀彫りの基礎を学ばせていただきました。
sp
ものづくりをされている人って、普段はどんな生活なんですか?
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 朝から晩まで、ご飯のとき以外は作品づくりをしていますよ。そんなもうかる仕事ではないので、ギリギリの生活をしています(笑)。でもデザインを考えているとき、ノミで彫っているとき、色を付けているとき、作品が売れたとき、どの瞬間もやりがいがあって楽しいんです。
sp
師匠からひとこと
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 文化を守り育てていくには、お金と時間がかかります。昔の人の絶え間ない努力のお陰で、現在もなお伝統文化が受け継がれ、奈良の良さの一つとなっています。しかし、現在はその伝統文化を引き継ぐ後継者が少なくなっています。伝統工芸の後継には、それが好きであるということが一番大事です。興味がある方はぜひ一度、工芸相談に来てください。

「なら工藝館館長で、奈良一刀彫りの第一人者である神箸 勝(かみはし まさる)さん」
ひな人形 春
前田さんの作品は、なら工藝館( 0742・27・0033)や商工観光館(近鉄奈良駅 東北出口からすぐ)などで購入できます。

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