深める 歴史文献で訪ねる奈良

大和名所図会で見る
今昔
薬師寺(奈良市)

薬師寺は、天武9年(680年)に天武天皇が皇后の病気平癒を祈願して建立した寺で、養老2 年(718年)に現在の地に移されました。図会の左上に「南都七大寺其一なり」とあるように、南都七大寺(東大寺・西大寺・法隆寺・薬師寺・大安寺・元興寺・興福寺)の一つに数えられています。図会の中央にあるのが東塔であり、創建時の建物で唯一現存する建物です。フェノロサが「凍れる音楽」と絶賛したことでも知られています。昭和26年(1951年)に国宝に指定されました。なお、図会の右下には、薬師寺の鎮守社である休ヶ岡八幡宮が描かれています。

奈良県立図書情報館所蔵 大和名所圖會より
薬師三尊像

ここが見所

図会に「本堂」と記された建物が金堂であり、現在の金堂は昭和51年(1976年)に再建されたものです。その金堂に祀られているのが薬師三尊像(国宝)です。真ん中に薬師如来、両脇に日光・月光菩薩が並びます。金堂の建物は戦国時代の火災により失われましたが、薬師三尊像は焼失を免れ、今日に伝わっています。