看護学生へのインタビュー <大学院>
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訪問看護ステーションで活躍する看護師

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訪問看護師
プロフィール

奈良県奈良市出身。

平成12年(2000年)に奈良県内の看護師養成所を卒業後、奈良県内の病院に入職する。パートでの勤務を経て、平成18年(2006年)に現在の訪問看護ステーションに入職する。

--看護師を目指したきっかけを教えてください。
 事務職は向いていないと感じていたことや、子どもが好きなことから、保母さんか看護師になろうと思いましたが、仕事の安定感を優先し看護師になりました。
--入職後のキャリアを教えてください。

 まず、総合病院に入職しました。子どもが好きなので、自ら希望して小児科・内科混合病棟を中心に働いていました。

 また、現在の訪問看護ステーションに入る前に、看護師としてパートで働いていた期間が1年程あり、その間にケアマネージャーの資格を取りました。
--訪問看護師になろうと思った理由を教えてください。
 看護学校の実習で1週間在宅看護の現場を見学させていただきました。その時、そこで働く看護師の方々がいきいきしていて、輝いて見えたのがきっかけだと思います。
 看護師になってからもいつかはケアマネージャーの資格を取ろうと思っていましたので、在宅の分野で働くことは以前から意識していました。
--通常の看護業務と訪問看護の業務の違いについて教えてください。
 入院をしていると、普通その生活は治療が目的ですので、病院の定めたルールに合わせなければいけません。しかし、訪問看護は自宅療養ですので、生活の中に看護や介護を取り入れることになります。食事の回数を例にとると、病院では一日三食食べていたとしても、自宅に帰れば二食しか食べない方もいます。その場合は薬が余ってしまいますので、薬の分量を調整する必要もあります。
--訪問看護師として勤務していて、大変だったことや勉強になったことはありますか。
 訪問看護では、状況としては一人暮らしの方やご夫婦だけでお住まいの方、お孫さんも同居の方、状態としては買い物に自分で何とか行ける方から寝たきりの方というように幅広い利用者の方がいます。そういう意味で、訪問看護は幅広い知識と経験が要求されるので大変です。リハビリなどは、今まで経験があまりなくても、周りに色々聞きながらであっても、やっていかないといけないので、必然的にどんどん身についていきます。
--訪問看護ステーションに入職してみると、入職前のイメージとギャップはありましたか。

 入職する前は、訪問看護は看護師が一人で利用者宅へ行って、自分で判断して全ての看護を自分一人でしないといけないとイメージしていました。そのため、とても難しいだろうと思い、期待だけでなく少し不安も抱いていました。
 しかし、入職してみると、判断に困れば上司や医師に聞くこともでき、周りには同僚や他の職種の方々もいますので色々と相談することができます。自分一人では決してないので、抱いていた不安はすぐに吹き飛びました。
 ですから、実際は思っていたほど大変ではなかったと思います。

--訪問看護師となったことで何か気づいたことはありましたか。

 今まで病院で働いていたときには、患者さんが退院した後のことは、ほとんど見えていませんでした。訪問看護師として働くようになって患者さんの生活が見えるようになりました。
 退院することは病院ではゴールですが、訪問看護ではスタートだと気づきました。

 上司から聞いている話ですが、病院内で行う退院カンファレンスでは、退院前にその患者に関わる医師や理学療法士、作業療法士等を含めた多職種の職員が集まり話し合いをします。目的は、患者さんの退院後の生活がきちんとできるようにするためです。訪問看護師の立場でそういった場に参加する場合は、患者さんの状況をカンファレンスで把握したうえで、退院までにこれぐらいの事までは自分で出来るように指導と訓練(リハビリ)をしてくださいとお願いすることも多々あるそうです。そこまで踏み込んでいくのが訪問看護師の仕事と気づきました。
--仕事の内容について教えてください。
 訪問時にまず体温や血圧を測る、いわゆるバイタルチェックを行います。あとは、ケアプランに従って身体の清拭や入浴介助、褥瘡ケアや予防といった色々なお世話をします。アドバイスだけの日もあります。それが終われば、また別の訪問先に向います。訪問スケジュールが終わればステーションに戻り、申し送りや記録を作成して一日が終わります。
--入職当初苦労したことはありましたか。

 病院とは設備の面で大きく違うので、その部分を工夫等でカバーすることに慣れるまで少し苦労しました。今ではその工夫をうまく出来るようになり、仕事がやりやすくなっています。

--リフレッシュの方法で工夫していることはありますか。
 最近気づきましたが、私は3日ぐらい悩んだら、後は自動的に立ち直れるようです(笑)。そのかわり、3日間は患者さんのことなどで徹底的に悩みます。
 仕事と家庭があるので、仕事のストレスは家庭で癒され、家庭のストレスは仕事で癒されているのかもしれません。自分の中では上手く処理できていると思います。
--訪問看護師になってよかったなと思った瞬間を教えてください。
 看護の仕事が好きだったので、初めの病院を退職した後、パートの形態であっても働いてきました。訪問看護師になり、一軒目のお宅に訪問したときは「看護師に復帰できたぞ!」と感激しました。
 また、利用者の方に「あなたが来てくれるから頑張れる」と、言ってもらえることも多く、たくさんの「ありがとう」を頂きますし、私が行くのを待ち構えている方(笑)もいるので、やりがいを感じることは多くなりました。とても嬉しいことではありますが、そういう方の中にはお話が延々終わらない方もいらっしゃるので、困ってしまうこともあります(笑)。
--訪問看護師として働くうえで工夫していることはありますか。
 家族の方々ともコミュニケーションを上手く取っていくようにしています。
 また、利用者の方にとっていいと思うことは積極的に取り入れています。例えば、病院では使用する衛生用品や消耗品は通常決められているので、看護師の判断で変更できないですが、訪問看護では、利用者さんに合うようないいものがあれば積極的に調べたうえで、業者さんとも話をして使用するかどうかを決めています。
--今後訪問看護はどのようになってほしいと思っていますか。
 もっとたくさんの方々が利用しやすい制度ができていくといいと思います。
 高齢社会にどんどんなっていくので、今後訪問看護を必要とする方が増えていくと思われますが、早い段階から利用者さんとコミュニケーションを取ることができると、もしターミナルケアを必要とした場合でも、意思の疎通を図りやすいので、その方の望むケアをしてあげられると考えています。
--今後の目標を教えてください。
 本当は大学に行ってもう少し勉強をしたいと思っていますが、しばらく行けそうにありません。
 将来的な話ですが、勉強をきちんとしたうえで、自分の住む地域の介護相談の場をなんらかの方法で提供できないかと考えています。十年以上先かもしれませんが、子どもが手を離れたら、その時に改めて考えたいと思います。
--看護師として一生働き続けますか。
 今のところ看護師として働いていない自分を想像することはできません。何らかの形で看護には携わっていると思います。
 看護師には短時間正規雇用制度など辞めなくてもすむ各種制度がありますし、資格があるのでパートでも働けます。選択肢は広いと思います。ですから、働けないことはないと思います。
--看護職を目指す方々へメッセージをお願いします。
 看護師としての仕事は確かに大変ですが、大変でない仕事は世の中にないと思います。やりがいについては、かなり大きなものが得られる仕事です。あなた一人では決してありませんので、安心してぜひ看護師を目指してください。
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