バースセンターで活躍する助産師
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バースセンターで活躍する助産師

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助産師
プロフィール

大阪府泉南市出身。

平成5年(1993年)に他県の助産師養成所を卒業後、他県及び奈良県内の病院での勤務を経て、現在奈良県立医科大学附属病院のメディカルバースセンターに勤務している。

--看護師を目指したきっかけを教えてください。
 私の身近な友人に身体に障害がある方がいて、その方の自宅に沢山の看護師が出入りされていました。私がその場にいあわせることも多く、看護師の方が持つ「人を支える力」を常に見てきました。そういったことがきっかけとなり、小さい時から看護師になりたいと思っていました。
 そのため、自然な流れで、高校の衛生看護科に入学し、専攻科に進み、さらに1年間助産学科に通い、晴れて試験に合格し、21才で助産師となりました。いわゆる最短コースです。
--助産師を目指した理由を教えてください。
 元々、私が子ども好きであることと、衛生看護科の担任の先生が助産師だったので勧めてくれたからです。
--奈良県立医科大学附属病院メディカルバースセンターの特徴を教えてください。
 当院における分娩数はこの10年で倍増しています。そこで、経過に異常のない妊婦さんの当院における分娩希望の増加に応えるべく、平成23年1月にバースセンターはオープンしました。いわゆる医療偏重のお産でなく、助産師が主体となって妊娠期から関わることで、より安全で自然な分娩を行えるセンターを目指しています。
 助産師もベテランを揃えており、お産された方からは「医師には話しにくいことも、助産師に話せてよかった」、「お産の時に家族が一緒にいられてよかった」、「入院中は個室でゆっくりできた」「大学病院なので医師がすぐ近くにいてくれて、何かあったときに安心」などの意見を頂いています。
--今後のバースセンターの展開について教えてください。
 開設当初の目標の一つでもありますが、今後は、潜在助産師の方々の職場復帰や、将来、開業を考えている助産師の研修機関としての役割を担います。しかし、現在はまだセンターの立ち上げ直後ですので、具体的なことは決まっていません。
--助産師の一日を教えてください。
 お産がある時とない時で全く違う一日になりますが、お産がある時は、お産中心に動くことになります。初産の方であれば、産気づいてからお産に半日くらいかかることも多いですので、バタバタすることもなく、腰をさすったり、足浴をしたり、散歩したりして出産の時を待ちます。もちろん、他にも未出産の方や産後の方がいますので、赤ちゃんの沐浴や授乳のお世話などをします。
 何時になったからこれをするという時間を決めた仕事ばかりではありません。
--看護師と助産師の仕事の違いを教えて下さい。
 助産師は、看護師の免許も持っているので、基本的に行う看護は同じです。ただし、お産に関しては、正常な妊娠経過をたどっていれば、病気ではないので医療の介入は本来必要はありません。つまり、通常は助産師である私たちだけで妊娠期・分娩期・産褥期の介助を行うことができる、それが許された資格です。
--メディカルバースセンターで勤務するうえでのやりがいと難しさを教えてください。
 正常な妊娠経過をたどっていれば、助産師だけの判断で色々なことができます。また、私たちの関わりによりさらに正常で安全な妊娠経過をたどることができるケースがあります。このように、濃厚な看護ができることについて大きなやりがいを感じます。
 しかし、その一方で私たちが正常に妊娠経過をたどっていると思っていたケースが、突然、異常に移行したり、またその判断のタイミングが難しかったり、様々なことがあるので、もっともっと勉強しなければと日々思っています。
--命の誕生の瞬間に立ち会うことについてはいかがですか。
 お産は、女性にとって一生に一度か二度程度の本当に貴重で大変なことです。その貴重なお産に立ち会えること自体が、素晴らしいことですが、「いいお産でした」、「産んでよかったです」などと言われると、本当に嬉しい気持ちになります。赤ちゃんを見ているだけで、なぜか幸せな気持ちになります。
 しかし、出産体験は、その人のその後の育児や、子どもとの関係にも大きく関わると思うので、命の誕生の瞬間に立ち会うことの責任の重大さも感じます。
--助産師として勤務していてつらかったことはありますか。
 誕生死(死産)や、生まれてもすぐに亡くなることが判っている赤ちゃんのお母さんに対してのメンタルケアが難しいです。お産はほとんどのケースが「おめでとう」と祝うことなので、こういう時はどうしてもやりきれない気持ちになってしまいます。
--ストレスの解消法について教えてください。
 お産を無事にやり遂げなければと思うあまり、一時期分娩介助がストレスになってしまった頃がありました。しかし、今では経験とともにそこまでのストレスは溜めなくてすむようになりました。ストレスは色々ありますが、上手く処理できていると思います。
--妊産婦さんやご家族とのコミュニケーションはいかがですか。
 バースセンターでは、妊娠・出産・産褥の経過を継続して診させていただくため、妊婦の方と接する期間が院内の総合周産期母子医療センターよりは長く、また、産後を含め関わりは自然と深くなっていると思います。
 何かのついでで病院にお見えになり、大きくなった赤ちゃんを連れてバースセンターに来てくださることもあり嬉しいです。自分で分娩介助させていただいた赤ちゃんだと思うと、何か特別な感情が込み上げてくる気がします。その方の人生の一部分に触れたような気分です。
--職場の雰囲気を教えてください。
 経験豊富なメンバーが多く、色々積極的な意見が出てくるので、建設的なとてもいい雰囲気になっていると思います。
--勉強になることあるいは続けている勉強について教えてください。
 バースセンターのメンバーで勉強会をしています。内容は、医療介入を抑えなければいけないので、お産を自然な方法でいかに進めていくか、痛みを和らげるためにはどうすればいいのかなどです。
 また、アロマセラピストの資格を持っているメンバーがいますので、お産に対してアロマセラピーを取り入れているのですが、そのマッサージの仕方や芳香浴を教えてもらったりもしています。
--大学病院に勤務することのメリットを教えてください。
 バースセンターは正常分娩を行うための施設ですが、妊婦さんが妊娠期から医療介入を必要とする状況に急変することがあります。そのような時に対応できるよう、総合周産期母子医療センターがあり、産科専門の医師が常駐しています。万全の体制であるので、助産師である私も安心して働くことができます。
 また、様々な合併症を持った妊婦さんも多いため、幅広いことが勉強できます。
--今後はどのような助産師を目指したいですか。
 助産師という仕事は、女性のライフサイクルに関わる仕事です。
 今は、主に妊娠・出産を中心とした関わりであり、助産師としての診断能力や助産技術の向上を目標としています。
 今後、助産師として活躍していく中で、妊娠・出産のみでなく、幅広く女性のライフサイクルに合わせた関わりができる助産師になりたいと思います。
--これから看護職を目指す方々へメッセージをお願いします。
 私はストレートで助産師になりました。もちろん、看護師を経験した上で助産師になるのもいいと思います。もし助産師や看護師になりたいなら、心の底から看護をやりたいと思って目指してください。今の学生の中には、少しその気持ちが薄い方もいるように思います。
 看護師という仕事は人と関わる仕事です。密に関わろうと思えば密に関われるし、浅く関わろうと思えば、当然浅くなります。浅くても仕事としては差し支えありませんが、一つだけ言えることは、深く関わった場合は、深く関わっただけの関係ができあがります。もしそういったものを望むなら、やりがいがとても大きい仕事だと感じるはずです。
 皆さん頑張ってください。
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