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プロフィール

奈良県桜井市出身。

平成10年(1998年)3月に奈良県内の看護師養成所を卒業後、現在の病院に入職する。
平成23年(2011年)皮膚・排泄ケア領域の認定看護師資格を取得する。

--看護師になったきっかけを教えてください。
 特に大きな理由は見当たらない気がします。高校の先生の勧めだったように思います。
--入職してみると、入職前のイメージとギャップはありましたか。
 入職した当初、ギャップがあったかどうかは記憶に残っていません。小児科を中心に担当していましたが、子どもや赤ちゃんは、痛いなどの体の不調を、言葉などで上手く表現できないので、神経を集中して子どもや赤ちゃんの状況を常に把握する必要があり、大変でした。かなり忙しかった記憶があります。
 そのように、入職して5年くらいまでは、日常の忙しさに流されてしまって、実際に思い描いていた理想を思い出す暇がないくらいでした。その大変な時期に、周りの先輩たちに色々とサポートしていただいたので、乗り越えることができたと思います。今、そのようなまだ経験の浅い後輩の看護師が頑張っている姿を見ると、私が先輩方からしてもらったように、サポートしてあげたいと思います。
--認定看護師の資格取得のための勉強は大変でしたか。
 大変な研修でした(笑)。しかし、「もう一度認定看護師の教育課程の研修に参加するか」と問われれば、迷わず、「参加する」と答えます。
 皮膚・排泄ケアの分野は学ぶべき範囲がとても広く、覚えるべきことが多いです。若い頃と同じようなペースで覚えていくことはやはりできませんでした(笑)。
 内容も大変でした。資格取得のための認定プログラムは、まず今まで培ってきた経験をいったん崩します。ただし、今までのやり方や経験してきたこと、勉強してきたことを否定する必要は全くありません。そのうえで、新たなブロックも足しながら、すでに自分自身が経験として持っているブロックの順番や位置を変えたりして、改めて積み重ねていくイメージです。
 たとえば、業務に対してのエビデンスを求められるケースもありますが、自分が行ってきた業務を振り返ってみると、今まで当然と思って行なっていたことが、実はエビデンスに欠けていることや、やり方が少し古いことがあります。しかし、今まで慣れ親しんだやり方なので、頭でわかっても、すぐにやり方を変えることができません。また、認定看護師として複雑なことを要求された場合に、「できない自分」をきちんと認めることも再構築のプログラムの一つで、それを自分で認めたうえで次のステップに進んでいく感じです。
--認定資格審査に合格して、認定証をもらった時の気持ちを教えてください。
 認定証をいただくことが目標ではなく、認定を受けたことは、あくまでスタートラインに立ったに過ぎないと私自身感じています。これからは認定看護師として様々な事柄にトライしていかなければいけないという責任感や自覚のようなものが認定証を重く感じさせています。
 職場のみんなが業務的なバックアップや精神的なフォローをたくさんしてくれたおかげで取得できた認定証です。だから、お世話になったみんなに感謝の気持ちを込めて「ありがとうございました。皆さんのおかげで無事に認定証を頂きました」と言ってまわりたい気持ちでいっぱいです。
--認定看護師資格を取得して何か変化はありましたか。
 認定看護師の資格は平成23年6月に取得しました。
 今までの病棟勤務は、ある程度定型的な業務の流れの中で動いていました。しかし、現在の専従の外来勤務は、皮膚・排泄ケアの認定看護師としての活動スタイルを築いていかないといけないので、色々と迷うこともあります。
 しかし、当院にはWOCナース(※)の認定を受けた先輩がいらっしゃいます。すでに様々な活動をされていて、相談に乗ってもらえるのでとても心強いです。
 認定看護師になってからは、人に言われて何かをするのではなく、組織の中で認定看護師である自分に求められている役割を自分なりに理解し、認定看護師という立場で、自分はいったい何ができるのか、今後自分の活動をどのようにしていくか、それを実際の看護としてどのように組み入れていくのか、といったことを考え、実践するように心がけています。これは認定看護師として働いている全ての方々に共通することだと思います。
(※)平成19年に「創傷・オストミー・失禁(WOC)看護」から「皮膚・排泄ケア」に名称が変更された皮膚・排泄ケアの認定看護師のこと。
--皮膚・排泄ケア領域を選ばれた理由を教えてください。
 私は小児科や脳外科病棟勤務の後、外科・泌尿器科病棟に異動になりました。脳外科病棟では入院患者の褥瘡ケアに携わる機会が多く、外科・泌尿器科病棟では創傷ケアやストーマケアを行っていました。
 WOCナースである先輩に「あなたは褥瘡委員会の所属も長いので、いい機会だから認定看護師にチャレンジしてみたらどうか」とお声をかけていただいたので、それなら一度頑張ってみようと思い受験しました。きっかけを与えていただいたことは、とてもラッキーだったと思いますし、感謝もしています。お声をかけていただけなければ、今もチャレンジする勇気が持てなかったと思います。
--現在の仕事の内容を教えてください。
 現在は、オストミー領域をWOCナースの先輩が担当し、褥瘡や創傷、スキンケアを中心に私が担当しています。皮膚科外来には、褥瘡や色々なスキントラブルを抱えた患者さんが受診されるので、ケアに関する色々なアドバイスなどを行います。また、病棟では、褥瘡予防のためにどうすればよいのか、どういうポジションをとるのがいいのかなど、看護師と話し合います。
 WOCナースである先輩は、すでに様々な講演をしています。私は認定資格を取得してまだ日が浅く、毎月開催している褥瘡委員会や勉強会において講師を勤めているくらいです。まだまだ活動はこれからの状態であり、今後要請があれば、色々な活動に積極的に取り組んでいきたいと思います。
--看護師として勤務していて嬉しかったことを教えてください。
 嬉しかったことは、月並みですが、「ありがとう」と言っていただいたことです。
 特に覚えている「ありがとう」は、私が休みで外出していたときに、以前入院されていた患者さんにお声をかけていただきました。その患者さんは、「私が入院していたとき、あなたは私の体を綺麗に拭いてくれて、足も洗ってくれた。あの時は本当に気持ちよかった。今も忘れられない。本当にありがとう」とおっしゃいました。このようにお声をかけていただき、私自身も忘れられません。
--自分が認定看護師となり、今後活躍の場が拡がっていくことについてどのようにお考えですか。
 今後、私の存在が院内で徐々に浸透して、みんなに気軽に活用してもらえるように頑張りたいと思います。
 例えば、褥瘡やスキンケアに関して院内で何か問題が発生した場合、「一度認定看護師の彼女に聞いてみよう」と気軽に声をかけてもらえる存在でありたいと考えています。認定看護師の活躍の場が拡がることは、さらなる病院の活性化につながると考えます。これから当院では、認定看護師が増えていくようですのでとても楽しみです。
--奈良県の認定看護師資格取得支援制度の支援を受けた感想を教えてください。
 認定看護師の研修を受けた方々の中には、退職をして自費で取得したり、病院がその費用を負担してくれたり、色々なケースがあるようです。そんな中、奈良県の看護師キャリアアップ等支援事業を活用させていただいて感謝しています。
 その分、私が今、襟につけている認定看護師のバッジを、認定証と同じくとても重く感じています。今後しっかりやっていかなければと強く思い、気持ちが引き締まります。
--今後の目標を教えてください。
 認定看護師として、自分の活動を充実させていくことです。
 当院は地域の中核病院ですので、褥瘡等のスキンケアの指導を通じて、今後在宅等において地域との連携も深めていきたいと考えています。
--皮膚・排泄ケア領域の認定看護師を目指す方々へメッセージをお願いします。
 皮膚・排泄ケア領域はとても広いので、覚えることが多く大変です。しかし、日常生活に密接した領域であるため、やりがいもあります。
 外界から身体を守る最大の臓器である皮膚のジャンルでは、「痛い」や「かゆい」といった身体的苦痛だけではなく、外見的な要素による精神的な苦痛も発生します。
 また、排泄ケアのジャンルでは、人間としての尊厳に関わることなので、医療としてだけではなく人としてのケアを必要とする部分だと感じています。
 最近は化学療法に伴う皮膚障害も多くなってきています。がんを治すための抗がん剤投与の影響で皮膚症状が出ることがあります。抗がん剤をやめれば皮膚の症状は治まりますが、がんを抑えられなくなり、生命に影響をおよぼします。そのため、皮膚症状を悪化させないケアが必要となります。
 フットケアも皮膚・排泄ケアの領域に含まれます。糖尿病の合併症などで下肢切断を余儀なくされた場合、患者さんのQOLは著しく下がり、メンタルケアが不可欠となります。下肢救済のための知識やメンタルケアについても学ぶことになります。
 ぜひチャンスがあれば、皮膚・排泄ケア認定看護師を目指してください。
--看護職を目指す方々へメッセージをお願いします。
 看護師は患者さんに育てられるとよく言いますが、まさしくその通りです。今まで看護師として働いてきた中で、悲しいことやつらいことはたくさんありました。でも、思い出されることは楽しい思い出ばかりです。最後まで悲しいままで終わったことはあまりないかもしれません。それは、医療の本質が本音で人と人がぶつかり合うものだからだと思います。
 自分ひとりであれば乗り越えられなかったかもしれません。大変なことを乗り越えるために必要な人間関係をお互いにつくりあげることができるのが病院です。私にとってとても大事な場所であり、人とのつながりは大きな財産です。そういう意味で私はとても恵まれています。
 患者さんはしんどくて入院しているので、私たちに対しての言い方がきつくなってしまうこともあります。それを真摯な気持ちで受け止め、その人が何を伝えようとしているのか十分に話を聴き、対応することができれば、自分を高め、成長することができます。
 私は元々大きな憧れもなく、普通に看護師という職業に就いて、自分の目の前にある現実を受け入れ、常に自然体でやってきたので、一般によく聞く理想と現実とのギャップというようなことも特に感じずにすんだと思います。これから看護師を目指されるのであれば、あまり気負わず、構えすぎず、常に自然体でトライしてみてください。あなたにとってとても素晴らしい出会いが待っていると思います。
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