復職に成功した看護師
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復職に成功した看護師

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復職に成功した看護師
プロフィール

Aさん

滋賀県大津市出身。
他県の看護師養成所を卒業後、他県や奈良県内の病院に勤務し、平成7年に退職。12年間の離職期間を経て、平成19年に奈良県内デイサービスセンターで復職を果たす。現在は、奈良県内の訪問看護ステーションに勤務。

Bさん

埼玉県鴻巣市出身。
他県の高等学校の衛生看護科を卒業後、奈良県内や他県の病院に勤務し、平成3年に退職。17年間の離職期間を経て、平成20年に奈良県内の病院で復職を果たす。現在も同病院に勤務。

Cさん

奈良県奈良市出身。
奈良県内の看護師養成所を卒業後、奈良県内の病院に勤務し、平成13年に退職。4年間の離職期間を経て、平成17年に奈良県内の診療所で復職を果たす。現在は、奈良県内の病院に勤務。

--看護師を目指したきっかけを教えてください。
Aさん:親が理容師だったこともあり、手に職を付けたいと思っていました。色々と考えた結果、看護師と臨床検査技師の養成学校を受験し、両方とも合格できました。どちらの学校に進学するか悩みましたが、知人から「看護師の方が先々就職に困らないよ」とアドバイスを頂き、看護師を目指すことにしました。
Bさん:私が子どもの頃、母親が病気がちで入退院を繰り返しており、私自身病院によく行っていました。その際、そこで働く看護師さんの姿を見ていたので、いつの間にか自分も看護師になりたいという気持ちが私の中で育ち、看護師を目指しました。
Cさん:私も、手に職を付けたいという思いと、人に関わる仕事がしたいという思いがありました。
 私は、学生時代に手話を学んでいました。それを活かしてボランティア活動をしていた時に、病院には手話のできる方が少ないため、耳が不自由な方は検査時の説明や先生のお話を理解しにくいことが多々あり、とても困っていると聞きました。困っている人がいることを知り、「私が絶対に手話のできる看護師になってやる!」と思い、看護師を目指すことを決意しました。
--看護職として働き出した際に感じたやりがいについて教えて下さい。
Aさん:学校を卒業後、療養型の病院に就職し、その後、別の病院でターミナルケアを経験しました。多職種によるチーム医療に関わることができたので、とても充実していたと思います。その経験は現在の訪問看護の業務にも活かせていると思います。
Bさん:小児科に関わることが多くありましたが、小児科は子どもさんのケアだけでなく、親御さんの心のケアも必要とするケースがあるので大変です。しかし、そのような中で、元気に退院していく子どもさんの姿を見ると、大きな充実感を感じました。
Cさん:私の場合は、働き出した頃、自分が思うようなケアはなかなかできなかったように思います。
 医師も不足している状況だったので、業務をこなすことで精一杯でした。患者さんとじっくり向き合ったり、自分の理想とするようなケアや患者さんに十分なカンファレンスを行ったりするゆとりは職場にも一切ありませんでした。
 やりがいを感じる暇もなく、理想と現実のギャップを感じ、逆にストレスをためて苦しんでいたかもしれません。
--退職した理由について教えてください。
Aさん:出産を機に辞めました。主人の意向もあり、子どもが小さいうちは子育てに専念することにしました。
Bさん:親の介護と結婚を機に辞めました。
Cさん:出産を機に辞めました。やはり、子どもは自分で育てたいと思っていました。
--離職中の楽しかったことやつらかったことを教えてください。
Aさん:たくさんのママ友達ができたことが嬉しかったです。
 つらかったことは特に記憶にありません。
Bさん:やはり、子どもと一緒に過ごせたことが嬉しかったです。また、夜勤から解放されて、朝起きて夜寝るという普通の生活が送れたことも嬉しかったです。
 つらかったことは、育児と親の介護が重なり、時間的にかなりきつくなったことです。
Cさん:子どもと家族との時間をのんびり味わえたことが大きいです。
 つらかったことは色々あり、少し現実逃避的に辞めてしまった感があったので、少し心残りでした。ですから、友人の看護師から仕事の話を聞くと、「そうなんだ。今はそんなふうになっているのか」など気になってしまい、周りのみんなはどんどん先へ進んで行っているのに、自分だけ立ち止まってしまっているようで寂しかったです。
 また、家にいると、子どもを幼稚園に送った後、迎えに行くまで誰ともしゃべらないこともあり、つらかったです。
--復職を決意された理由を教えてください。
Aさん:子どもが育ち、あまり手がかからなくなり、自分の時間がある程度持てるようになったので、そろそろ自分のために生きてもいいのではないかと思い、仕事を探すことにしました。
 最初は、看護師として復職することはきっと難しいだろうと思っていたので、看護師以外の仕事を当たってみましたが、土日は必ず入って欲しいなどと言われてしまい、うまくいきませんでした。看護師としての仕事を探し、近所のデイサービスセンターに連絡してみたところ、週1日だけでも構わないと了解していただけたので、看護師として復職することができました。
 離職期間が12年間と長かったので、職場の配慮で入職当初は看護師2名体制で働かせてもらっていました。おかげで、たくさん教わることができたことなど、とても助かりました。そういう配慮をしていただけることをもっと早く知っていたなら、スーパーなどの看護職以外の職に応募することもなく、場合によってはもう1,2年早く復職できていたかもしれません。
Bさん:私も、子どもが小学6年生になり、手もさほどかかりませんし、先々教育費用が随分かかるようになると周りのお母さん方から聞いていたので、看護師として復職しようと思いました。しかし、私の場合17年間もの未就業期間がありましたので、現場は随分変わっているだろうと思い、いきなり病院に応募することはしませんでした。
 そんな時に、奈良県の「県民だより」の中に、奈良県主催((社)奈良県看護協会に委託)の「看護職復職支援研修」の記事を見つけたので、参加しました。
Cさん:私の場合は、10年間ほど臨床の現場から離れていましたが、その間でも「今の生活のままでいいのだろうか」と自問自答し、悶々としていました。
 そんな時、私も「県民だより」で「看護職復職支援研修」の記事を見て、「受けるなら今しかない」と思い、離職中の看護師の友人を誘いセミナーを受けました。とても勉強になり、安心して復職することができました。
--奈良県主催(奈良県看護協会に委託)の「看護職復職支援研修」を受けた感想を教えてください。
Aさん:デイサービスセンターに入職して半年程経ってから受講しましたが、最近の看護の動向等を教えていただき、とてもよかったです。採血に不安がありましたが、実技をやってみることができ、随分安心できました。
Bさん:研修は2日間のプログラムですが、非常にわかりやすい内容でした。講義も、私たちの知らない最近の現場の状況を教えていただけるなど、とても有意義でした。
 さらに、実習では、病院の現場見学があり、自分の目で実際の現場の様子を確認できるので、ありがたかったです。現場の方々もとても親切で、丁寧に教えてくださり、嬉しかったです。離職中は、ずっと不安でしたが、研修を受講して随分安心できました。
Cさん:とても気合を入れて研修に臨んだので、今までにないぐらい集中して講義を聞きました。やはり最新の医療機器のことや最近の看護の動向が聞けたことが一番大きかったです。
 また、私の持っている教科書が古かったので、最近のいい教科書を勧めていただいたこともありがたかったです。
--復職に際してどのような医療機関が自分に合うと思いましたか。
Aさん:私は12年間も実務から遠ざかっていたので、いきなり病院は無理だと思いました。自信もなかったので、介護から入るほうがスムーズに復職できると思い、まずはデイサービスセンターに入職しました。
Bさん:長く勤めたいと考えた時に、自分には急性期の病院は無理だと思いました。療養型の病院であれば大丈夫だと思い、日勤のみで働けるところを探しました。
Cさん:元々、学生の頃から訪問看護をやりたいと思っていましたが、周りの方から訪問看護をやりたいなら、色々な分野で経験を積む必要があると聞いていました。私は内科系の経験が今までほとんどないので、緩和ケアなど、多くの診療科を持つ病院で臨床経験を重ねたいと考えていました。そういう意味で、キャリアを積みやすそうな比較的大きな病院を選びました。現在は非常勤ですが、子どもの成長を見ながら少しずつ勤務時間も伸ばしていって、最終的には常勤での勤務も考えたいと思います。
--復職してみて感じたことを教えてください。
Aさん:復職してみると、やはりできないことや分からないことがたくさんありました。そんな状況でも、先ほど述べたような職場の配慮があったので、助かりました。しかし、自分でも色々と調べることも多く、やはり大変でした。
 あとは、夏休みの時など、子どもをどこへ預けようかと悩み大変でした。
Bさん:さほど大きなギャップはなかったと思います。勤め先の病院が近所で、偶然、御近所の方も勤めていましたので、なじみやすかったと思います。
Cさん:本当に「浦島太郎」の状態で、分からないことばかりでした。しかし、看護の基本は変わらないので、やり方が変わってしまった部分も、説明を受ければ理解できる範囲でした。
 復職直後は自宅に帰ると疲れ果てていることが多く、いつの間にか寝てしまっていることもありました。そのため、子どもと話をする時間があまり取れなくなり、つらかったことを覚えています。
--復職時の医療機関の受入れについてはいかがでしたか。
Aさん:とてもよくしていただきました。
Bさん:私もよくしていただきました。
Cさん:私に対しての仕事面での受入れはとてもよくしていただきましたが、急性期の病院で、看護師が不足している状況なので、育児をしている者に対する配慮がほとんど期待できない状況です。子どもが急に熱を出した時に預けられる所はないですが、人出不足なので急な休みは取りにくい状況です。仕事と子育ての両立は、やはり厳しいなと感じることがあります。
--復職後のやりがいや嬉しかったことについて教えてください。
Aさん:12年間の未就業期間の後、復職先として選んだのはデイサービスセンターでした。自分の目標である訪問看護をやるために必要なキャリアを積みたかったので、その後は、急性期の病院で経験を積み、自分に自信をつけてから訪問看護師になりました。
 訪問看護の中で患者さんと色々なことを一緒に練習して、自宅で一つでも多くのことを自分でできるようになっていただけると、とても嬉しいです。
 私は今、自分のやりたかった訪問看護ができていますので、とても充実しています。
Bさん:復職前は小児科で勤めていました。現在の勤め先である療養型病院は、高齢者の方が中心になり、介護と看護が入り混じっていて、最初はかなり違いを感じました。その中の少数ですが、患者さんが在宅療養に切り替わり病院を退院して行かれるのを見ると、とても嬉しいです。
 看護師以外の仕事をしていたこともありますが、やはり周りの友達が看護師として次々に復職していくのを見ると、取り残された感じがして、「自分も看護師として働きたい!」と強く思いました。自分が復職を果たしたときには、やっと戻ってきたという思いが込み上げました。
 私の周りでは、子どもの成長に応じて、すでに全員が看護師として復職しています。
Cさん:耳が不自由な患者さんが来られた時に、手話で説明すると、とても喜ばれます。先生にも褒めていただいたことがあります。やはり、そのような時はとても嬉しいです。頼りにしてもらっていると実感できる瞬間でもあります。
--現在の職場の雰囲気について教えてください。
Aさん:私の職場の方々は、みんなやる気があり、とても元気で、勉強熱心な方ばかりで、とてもいい雰囲気です。
Bさん:お子さんがいらっしゃる方もいますし、年齢も様々ですが、お互いに助けあいながらやっています。とてもいい職場だと思います。
Cさん:非常に良好です。楽しくやっています。看護師だけでなく、コメディカルの方々も含めよくしていただいています。
--今後はどのような看護師になりたいですか。
Aさん:せっかくケアマネージャーの資格を取得したので、ケアマネージャーとしても活動してみたいという思いもありますが、看護師としては、いつでも患者さんに寄り添い、どんなときでも受け入れてあげて、常に温かく見守り、患者さんから頼られるような看護師になりたいです。
Bさん:せっかく復職したので、病院が推奨してくれている研修をもっとたくさん受けて、勉強することを忘れず、それを実際の看護に活かしていきたいです。
Cさん:院内の勉強会がたくさんあり、研修にも参加できる環境があります。現在、災害拠点病院に勤務しているので、災害看護にもとても興味があります。どんどん色々な勉強をして、色々な場所や分野で動けるオールマイティーな看護師になりたいです。
--これから復職を考えている看護師の方にメッセージをお願いします。
Aさん:私は家庭に入ったことで、看護師としては随分回り道をした気がしていました。しかし、現在在宅の仕事をしていく中で気づいたことは、家庭に入り地域に密着して生活していた私だからこそ理解できることがあるということです。例えば、在宅における家族の関係や在宅患者を取り巻く状況など、色々と知っている方がいいことがあります。
 このように、訪問看護においては、決して回り道をしたのではなく、むしろ力になっていると思います。
 再就職することは大変だと思いますが、恐れずに勇気を持って、まずは第一歩を踏み出してください。応援しています。
Bさん:私自身もそうでしたが、色々な不安などがあると思います。もし、迷っているなら、まずは「看護職復職支援研修」を受けてください。同じような立場の方々が集まりますので、受講者同士の会話だけでも随分気持ちが楽になると思います。また、講習の内容もとてもわかりやすいです。奈良県看護協会の職員の方々も色々とアドバイスをしてくれますので、お勧めします。
 これは、研修を受けたお二人も感じておられるのではないでしょうか。
Cさん:看護師としての誇りを失わないでください。看護の基本は変わっていないと思うので、新しい機械のことや新しい治療法についても素直な気持ちで教わればいいと思います。自分を成長させるためには、ほんの少し背伸びが必要ですが、若い頃と違い、色々な人生経験も積んできているので、皆さんうまくやれると思います。色々な部分で我慢もできるようになっているはずですから、しっかりと大事なものをつかむことができると思います。
 離職中は、せっかく時間があるので、「看護職復職支援研修」を受けながら先々のことをゆっくり考えてみてはいかがでしょうか。
--看護職を目指す方々へメッセージをお願いします。
Aさん:今後の医療業界の大きな流れの中で、在宅に対する要求はどんどん高くなってきますので、訪問看護師はさらに必要になってくると思います。
 看護師はとてもやりがいの大きい仕事なので、ぜひ目指してもらい、訪問看護にも目を向けてください。
Bさん:もし、看護師になるなら、世の中には色々なタイプの病院や医療機関がありますので、急性期や慢性期の病院、その他の医療機関など若いうちにできるだけ色々と経験して、自分の道を探してください。
Cさん:学生の間に奈良県看護協会が主催している「ふれあい看護体験」などにぜひ参加してください。とても興味深い経験になると思います。看護師は一生続けられる魅力的な仕事です。勉強が付いて回ることも事実なので、高校生の方は学校の勉強をしっかりとしておいてください。後々必ず役に立ちます。
 ぜひ看護師を目指してください。
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