このホームページは、『万葉集』の文庫を片手に、奈良県内にある万葉スポットを訪ね、歌に詠まれた情景を現地で味わってもらうことが目的です。
本文に登場するのは、あなたと等身大の女性です。
『万葉集』に触れたときに抱く、素朴な疑問や感想を口にしながら、ウォークルートをたどっていきます。
彼女の疑問に答えたり、万葉歌を味わう上でのポイントをアドバイスしてくれるのは、奈良県立万葉文化館 主任研究員の井上さやか氏。
「さやか先生のここに注目!」を読めば、『万葉集』の世界がより豊かに広がることでしょう。
なお、このホームページにおいて、歌の表記は『万葉集 全訳注原文付』(編者/中西進 発行/講談社)を参考にしていますが、「古典は久しぶり」という方にも気軽に声に出して詠んでもらいたいとの思いから、旧字体の漢字を新字体に改めるとともに、本文においては現代仮名遣い・平仮名表記の歌をあわせて載せています。
古代は、男性が女性のもとに通う「通い婚」、つまり「別居結婚」が一般的だったと考えられています。ほかにも、「一夫多妻制」「夫婦別姓」など異なる部分もあったようです。
当時の文化や習慣を踏まえながら歌を詠むことで、作者の心理に寄り添ってみましょう。
「香具山」と「香久山」、「畝火山」と「畝傍山」、「耳梨山」と「耳成山」。
同じものなのに、違う漢字で表記されていることがあり、どれが正しいのか戸惑うこともしばしば。これは当時、まだ漢字がなく、もともと音だけがあったところに、その後、漢字をあてたからです。「万葉仮名」と呼ばれる当て字ですが、最初はあまり気にせず、歌の魅力を大づかみすることに専念してもよいでしょう。
『万葉集』は、日本に現存する最古の歌集。約1400年〜1300年くらい昔の歌が載っています。
全部で20巻あり、天皇や貴族だけでなく、兵士や農民まで、いろいろな人々が詠んだ約4,500首の歌が収められています。ぜひ現地で文庫を開いて、万葉歌人の“心の豊かさ”を体全体で感じてみてください。