奈良県の畜産は、都市近郊畜産として発展しており、経営規模の拡大が着実に進み、畜産専業農家が育成されています。
しかしながら、経営者の高齢化、飼料価格の高騰による収益悪化に伴い、飼養戸数は減少傾向にあります。又、国内外で鳥インフルエンザや口蹄疫の発生が見られるなど、安全・安心な畜産物の生産が一層強く求められているとともに、家畜排せつ物をたい肥として有効利用することなどが課題となっています。
このことから、県では畜産の継続的な発展を図るため、「大和肉鶏」、「大和牛」、「ヤマトポーク」、「大和なでしこ卵」、「大和の雫」などの畜産物のブランド化を推進するとともに、家畜保健衛生所による防疫対策を強化するなどして、より安全で高品質な畜産物の生産に関し、流通、消費面も含めた総合的な対策を講じています。又、受精卵移植、耕畜連携による稲発酵粗飼料や飼料米の生産、たい肥の利用促進などの対策を講じています。
一方、家畜をはじめとした生き物への理解の醸成のため、平成20年4月25日に「うだ・アニマルパーク」が開園しました。人と動物とのふれあいを通して動物を学び、動物から学ぶことにより「いのちの教育」「生きる力の育成」を実践し、広く県民に動物全般に対する理解や動物愛護の思想について普及啓発を図るとともにレクリェーションの場を提供し、社会全体の発展に寄与することを目的としています。
大家畜
酪農は、1戸当たり飼養頭数は75頭と、都市近郊酪農として多頭飼養に発展しています。五條市、山添村、葛城市、宇陀市、御所市で県下の80%近くが飼養されています。高品質で安全な生乳生産、ゆとりある酪農経営を確立するための酪農ヘルパー利用の推進 が図られています。
肉用牛は、宇陀市、宇陀郡、五條市で県下の90%近くが飼養されています。和牛は宇陀市を中心に飼養されており、和牛肥育素牛については、近年繁殖経営が減少していることから、受精卵移植技術の活用による生産が図られています。平成15年には、銘柄牛“大和牛”が確立されて、生産拡大が図られています。
中小家畜
養豚は、奈良市、天理市、五條市で主に飼養されており、繁殖肥育一貫経営へと発展しています。平成20年には銘柄豚“ヤマトポーク”が確立され、現在、生産・流通の拡大が図られています。採卵鶏は、五條市、奈良市で県下の約70%が飼養されています。都市近郊という立地を活かした産直推進で経営の安定が図られています。また、平成20年には飼料等に特徴を持たせた県産銘柄鶏卵”大和なでしこ卵”が確立され流通を開始しました。
肉用鶏は、畜産技術センターで作出された”大和肉鶏”が飼養羽数の約65%を占めています。
奈良県家畜家きん飼養戸数及び頭羽数
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