平成17年7月25日
建築基準法におけるシックハウス対策
1.改正建築基準法の概要-シックハウス規制の概要-
新築やリフォームした住宅に入居した人の、目がチカチカする、喉が痛い、めまいや吐き気、頭痛がする、などの「シックハウス症候群」が問題になっています。その原因の一部は、建材や家具、日用品などから発散するホルムアルデヒドやVOC(トルエン、キシレンその他)などの揮発性の有機化合物と考えられています。「シックハウス症候群」についてはまだ解明されていない部分もありますが、化学物質の濃度の高い空間に長期間暮らしていると健康に有害な影響が出るおそれがあります。
国民生活センター相談件数の推移
(1) 適用日:平成15年7月1日
(2) 規制対象とする化学物質
・クロルピリホス及びホルムアルデヒド
(3) クリルピリホスの使用禁止
・居室を有する建築物には、クロルピリホスを添加した建材の使用を禁止する。
・ただし、建築物に用いられた状態でその添加から5年以上経過したものは除かれる。
(増築等の確認申請の場合には、検査済証の交付年月日や建物登記等を参考に確認します。)
(4) ホルムアルデヒドに関する建材、換気設備の規制
(1 ) 内装の仕上げの制限
居室の種類及び換気回数に応じて、内装仕上げに使用するホルムアルデヒドを発散する建 材の面積制限を行う。
(2) 換気設備設置の義務付け
ホルムアルデヒドを発散する建材を使用しない場合でも、家具等からの発散があるため、 原則として全ての建築物に機械換気設備の設置を義務付ける。
(3) 天井裏等の制限
天井裏等については、下地材をホルムアルデヒドの発散の少ない建材とするか、機械換気 設備を天井裏等も換気できる構造とする。
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(1) 内装の仕上げの制限
○ 規制対象となる建材
・木質建材(合板、木質フローリング、パーティクルボード、MDFなど)
・壁紙、断熱材、接着剤、塗料、仕上塗材など
建築材料の区分
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ホルムアルデヒドの発散
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JIS,JASなどの表示記号
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内装仕上げの制限
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建築基準法の
規制対象外
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少ない
多い
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放散速度
5μg/m2h以下
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F☆☆☆☆
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制限なしに使える
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第3種ホルムアルデヒド発散建築材料
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5μg/m2h
~ 20μg/m2h
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F☆☆☆
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使用面積が制限される
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第2種ホルムアルデヒド発散建築材料
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20μg/m2h
~120μg/m2h
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F☆☆
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第1種ホルムアルデヒド発散建築材料
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120μg/m2h
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旧E2,Fc2
又は表示なし
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使用禁止
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※ μg(マイクログラム):100万分の1gの重さ
放散速度1μg/m2hは建材1m2につき1時間当たり1μgの化学物質が発散されることをいいます。
※ 建築物に用いられた状態でその添加から5年以上経過したものは除かれます。
(2) 換気設備設置の義務付け
○ 原則として全ての建築物に機械換気設備等設置が義務付けられる。
・一般的な機械換気設備
・室内の空気を浄化して再度居室に供給する方式の機械換気設備
・中央管理方式の空気調和設備
(3) 天井裏等の制限
○ 天井裏、床下、壁内、収納スペースなどから居室へのホルムアルデヒドの流入を防ぐため、次の1~3のいずれかの措置が必要
1 建材による措置:
天井裏等に第1種、第2種のホルムアルデヒド発散建築材料を使用しない。(F☆☆☆以上とする)
2 気密層、通気止めによる措置:
気密層又は通気止めを設けて天井裏等と居室とを区画する。
3 換気設備による措置:
居室の空気圧が当該居室に係る天井裏等の部分の空気圧以上とする。
(居室側が負圧にならないように!)
2.換気設備概要
(1) 換気方式
シックハウス対策としての換気は、住宅全体について化学物質濃度を低下させるために、全般換気、機械換気、連続運転とする必要があります。
(2) 換気計画の重要性
換気は、室内に空気がある状態で汚れた空気を排出し、新鮮な外気と入れ替える必要があります。 また、この際できるだけ汚れた空気を排出するとともに、排出された空気が再度外気として入ってくるのを防ぐ必要があります。
そこで、換気の計画をたてるためには、給気から排気に到る空気の流れ(換気経路)を考えるこ とが重要になります。 給排気口の位置を家具などでふさがないような位置に配置することや、敷地の状況等から風通しを考えることも重要です。取り入れる空気が不十分だと、換気扇の能力が低下したり、部屋の気圧が下がってドアが開きにくくなることもあります。