ジカウイルス感染症(ジカ熱)について

ジカウイルス感染症(ジカ熱)について

ジカウイルス感染症(ジカ熱)とは?

 中南米を中心に、ジカウイルス感染症が多数報告されています。
 ジカウイルス感染症は、デング熱及びチクングニア熱と同様、蚊を媒介して感染します。海外の流行地において、蚊に刺されてから数日後に、軽度の発熱、発疹、結膜炎、筋肉痛、関節痛、倦怠感、頭痛等の症状が見られた場合は、渡航歴や蚊に刺されたかなどを伝え医療機関を受診してください。

(参考)
 リーフレット(PDF:258KB) (平成28年1月21日 厚生労働省結核感染症課 事務連絡 別添)

※日本感染症学会が指定する県内の「蚊媒介感染症専門医療機関」:奈良県立医科大学附属病院

妊婦や胎児にジカ熱はどのように影響しますか?

 ジカウイルス病は、妊娠中の女性が感染すると胎児に感染し、先天性ジカウイルス感染症を発症する可能性が指摘されています。
 WHOは、妊娠中のジカウイルス感染が胎児の小頭症等の原因となるため妊婦の流行地域への渡航はするべきでないと発表しています。また、ジカウイルス感染症が発生している地域に渡航するパートナーのいる妊婦は、妊娠期間中は安全な性行為を確保するか性行為を控えて、感染リスクを低減させることを推奨しています。
 現在、胎児の小頭症や他の神経障害とジカウイルスとの関連についての更なる調査が行われています。
 ※アフリカ、中央・南アメリカ、アジア太平洋地域で発生があります。特に、近年は中南米で流行しています。
【中南米における流行地域(米国 CDC  2016 年 5 月26 日現在)】
アルゼンチン、アルバ、バルバドス、ベリーズ、ボリビア、ボネール、ブラジル、コロンビア、プエルトリコ、コスタリカ、キューバ、キュラソー島、ドミニカ国、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、仏領ギアナ、グレナダ、グアドループ、グアテマラ、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、ジャマイカ、マルティニーク、メキシコ、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、ペルー、 サン・バルテルミー島、セントルシア、セント・マーティン島(仏領サン・マルタン及び蘭領シント・マールテン)、セントビンセント及びグレナディーン諸島、スリナム、トリニダード・トバゴ、米領バージン諸島、ベネズエラ

どのように予防すればよいですか?

 現在、ジカウイルス感染症に対する有効なワクチンはありません。
 海外の流行地にでかける際は、長袖、長ズボンを着用するなど、肌の露出を控えることのほか、DEETを含む忌避剤や、蚊帳(かや)を使用するなど、蚊に刺されないように注意しましょう。
 妊婦のジカウイルス感染は先天性ジカウイルス感染症を引き起こす可能性があることから、妊婦はジカウイルス流行地域への渡航を控えた方がよいとされています。やむを得ず渡航する場合には、主治医と相談の上で厳密な防蚊対策を行うことが必要です。

医療機関の方へ

 平成28年2月15日より、ジカウイルス感染症(ジカ熱)は感染症法上、医師の届出が必要な対象疾病(4類感染症)として指定されることとなりました。
次の届出基準に該当する患者を診察した場合は、所定の発生届により、ただちに最寄りの保健所(pdf 40KB)へご報告くださいますようお願いします。

 【ジカウイルス感染症(ジカ熱)の届出基準等】
(1)定義
 フラビウイルス科フラビウイルス属に属するジカウイルスによる主としてヤブ蚊によって媒介される感染症である。現状で得られる知見が限られているため、以下の記載内容については、今後変更の可能性がある。
 
(2)臨床的特徴
・ジカウイルス病:
 一般的に2~12日(多くは2~7日)の潜伏期の後の発熱(多くは38.5度以下)、発疹等で発症する。感染者のうち、発症するのは約20%とされている。関節痛、結膜充血、頭痛、後眼窩部痛、筋痛、関節腫脹等を伴うことがあるが、大半の患者においては重症化することなく数日程度で回復する。疫学的にはギラン・バレー症候群との関連性が指摘されているが、因果関係は明らかでない。
・先天性ジカウイルス感染症:
 ジカウイルスに感染した母体から胎児への垂直感染により、小頭症や頭蓋内石灰化、その他の先天性障害を来す可能性があるとされている。 

(3)届出基準

ア 患者(確定例)

医師は、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見からジカウイルス感染症が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、ジカウイルス感染症患者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。

この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。

なお、IgM抗体を用いて診断を行う場合は、患者が感染したと考えられる地域で流行中のその他のフラビウイルス属ウイルス(デング熱、黄熱、ウエストナイル熱、日本脳炎等)による先行感染又は共感染がないこと、半年

以内の黄熱ワクチンの接種歴がないことを確認すること。その他のフラビウイルス属ウイルスによる先行感染又は共感染を認める場合は、ペア血清によるIgM抗体以外の方法による確認試験を実施すること。

 

イ 無症状病原体保有者

医師は、診察した者が(2)の臨床的特徴を呈していないが、次の表の左欄に掲げる検査方法により、ジカウイルス感染症の無症状病原体保有者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。

この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。

 

ウ 感染症死亡者の死体

医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、ジカウイルス感染症が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、ジカウイルス感染症により死亡したと判断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。

この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。

 

エ 感染症死亡疑い者の死体

医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、ジカウイルス感染症により死亡したと疑われる場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。

検査方法

検査材料

ジカウイルス病

先天性ジカウイルス感染症

分離・同定による病原体の検出

血液・尿

血液・臍帯・臍帯血・胎盤・尿・髄液

PCR法による病原体の遺伝子の検出

IgM抗体の検出

血清

血清・臍帯血血清・髄液

中和試験による抗体の検出



【ジカ熱の流行国地域】
  本年5月26日時点で、アルゼンチン、アルバ、バルバドス、ベリーズ、ボリビア、ボネール、ブラジル、コロンビア、プエルトリコ、コスタリカ、キューバ、キュラソー島、ドミニカ国、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、仏領ギアナ、グレナダ、グアドループ、グアテマラ、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、ジャマイカ、マルティニーク、メキシコ、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、ペルー、 サン・バルテルミー島、セントルシア、セント・マーティン島(仏領サン・マルタン及び蘭領シント・マールテン)、セントビンセント及びグレナディーン諸島、スリナム、トリニダード・トバゴ、米領バージン諸島、ベネズエラ

参考:厚生労働省 通知

・平成28年1月21日【事務連絡】厚生労働省結核感染症課 
  ジカ熱に関する情報提供及び協力依頼について(事務連絡) [620KB]
・平成28年2月5日【局長通知】
  感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令及び検疫法施行令の一部を改正する政令及び検疫法施行規則の一部を改正する省令の施行について [74KB]

この情報に関連する情報

ジカ熱(国立国際医療研究センター)

外務省 海外安全ホームページ(外務省)

奈良県HP「海外渡航される方へ 輸入感染症に注意しましょうhttp://www.pref.nara.jp/5080.htm

お問い合わせ

疾病対策課
〒 630-8501 奈良市登大路町30
感染症係 TEL : 0742-27-8612
精神保健係 TEL : 0742-27-8683
がん対策係 TEL : 0742-27-8928