第3回セミナー内容

 

第3回 「攻めの経営」戦略セミナー

 

 seminar

 

日時

  平成29年3月17日(金曜日) 13時30分~15時30分

会場

  ホテル日航奈良 4階「飛天」

プログラム
 
 第1部
 「会社を変える人材育成戦略」~人が育つ組織の15要件~ 
  〔講師〕 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科
        特任教授    高橋 俊介氏 

   第2部
 「奈良県プロフェッショナル人材戦略事業について」 
      奈良県プロフェッショナル人材戦略拠点 マネージャー 中﨑 宏 
    
あいさつ

 

  奈良県プロフェッショナル人材戦略拠       マネージャー 中﨑 宏平 

 プロフェッショナル人材戦略拠点も2015年12月末にスタートし1年3カ月になる。奈良県内の企業約170社を訪問しました。企業経営において人材の重要性を改めて痛感している。現在10名のプロフェッショナル人材が新しい職場でご活躍されています。
 本日は攻めの経営戦略セミナーの基調講演として慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任教授 高橋俊介先生に、会社の成長させるための革新、その原動力となる人材について、個人のスキルアップや育成など、人・組織に関する研究では第一人者の先生にお話し頂き、組織・人材の育成理論を基本を学び、皆様の企業経営・成長の一助となればとの思いで開催いたします。
 事業経営は社長を先頭に人・従業員が会社の活動を進めます。経営組織に求められる人材、組織の在り方、育成や活性化などについて企業を成長させる風土づくりのために、皆様も日々お悩み、様々な努力をされていることと存じます。
 企業は人なりと申しますが、高橋先生が永年にわたり調査・研究され構築してこられた、組織論・人材育成戦略理論・手法の基本を学ばせて頂き「攻めの経営」に対する示唆を頂戴したいと願っております。  
 

manager

 



 第1部 「会社を変える人材育成戦略」 ~人が育つ組織の15要件~
  講師:慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科  特任教授 高橋俊介
  

 

 

speaker

 

 ◆プロフィール
東京大学工学部航空工学科卒業、日本国有鉄道勤務後、プリンストン大学院工学部修士課程修了。マッキンゼーアンドカンパニーを経て、ワイアット社(現在Towers Watson)に入社、1993年代表取締役社長に就任。その後独立し、ピープルファクターコンサルティング設立。2000年5月より2010年3月まで、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授、同大学SFC研究所キャリア・リソース・ラボラトリー(CRL)研究員。2011年9月より現職。個人主導のキャリア開発や組織の人材育成の研究・コンサルティングに従事。

主な著書に『プロフェッショナルの働き方』(PHPビジネス新書)、『自分らしいキャリアのつくり方』(PHP新書)『人が育つ会社をつくる 』(日本経済新聞出版社)、『人材マネジメント論』(東洋経済新報社)、『ホワイト企業』 (PHP新書)など多数

◆講演内容
■生産性を上げるポイント
 1.商品・サービスを差別化し付加価値を高めること
 2.仕事を標準化・可視化し、効率よく進められる仕組みを構築すること

生産性向上=人材育成の問題

多能工な人材を育成し、チームワークでお互いに補完し合う風土づくりが必要

■人材育成企業の15要件
日本の組織における人材育成について、さまざまな企業を対象にヒアリングを行い、調べ直してみた結果が、本日ご紹介する「人が育つ組織の15要件」
私が提案し、2013年にサービス産業の多い沖縄県で創設された「人材育成企業認証制度」は、「従業員が働きがいを感じ、スキルアップとキャリア形成を行うことができる人材育成に優れた企業を認証する制度」 。
社員全員を対象に15項目について、「当社はちゃんとできている」「どちらかといえばできている」「どちらかといえばできていない」「まったくできていない」の4段階でアンケート調査をし、「ちゃんとできている」「どちらかといえばできている」のいずれかに75%以上の社員が答えた項目が、15項目のうち8つ以上あるかで、人材育成企業として認められる基準。
 この評価基準では企業が2極化されるが、中小企業では経営者が改善に取り組めば、1年で劇的に変えることができる。

1.ビジョンと人材像の実質化

1-1.ビジョンと人材像の明確化
 組織の目指す姿、行動規範、期待される人材像、生み出すべき価値などが明確に定義されている

1-2.人材像に基づく採用・評価・登用 
 期待される人材像に基づいた人材採用が行われ、評価制度や人材の登用基準とも十分に反映されている

1-3.ビジョンと人材像の浸透・共有
組織として目指す姿や期待される人物像の意味するところが、広く社員に浸透し、共有され、具体的な仕事の場面での意味を社員ひとり一人が理解している。
 → 最大の採用戦略 離職率を下げること
 → 
あるべき姿を定義し、求める人材をどのように活用するかを、社員に徹底的に腹落ちさせる

例:スターバックス
 ・2万人アルバイト マニュアル無し 
 ・離職率30% 平均3年=大学3年間継続
 ・正規社員だけでなく、アルバイトにも育成教育をしっかりしている

 ・店長が質問しながら自分で考えさせるコーチングによって、思考特性を鍛える

 ・最後に具体事例、体験談を合わせて話し、理解度を深める

2.コミュニケーションを通じた人材育成
 組織において人を育てるとき、大事な要素は「人が人を育てる」ということ。
 人が人を育てるための最大のポイントは「コミュニケーション」

2-1.コミュニケーションを通じた相互理解と支援
 PCの導入で「仕事の見えない化」が進んでいる
 職場の高齢化 年齢GAPが大きい
 社会性が低い若者が増えている

 →仕事を標準化・可視化し、コミュニケーションをとり相互理解を深め、適切に支援する

2-2.フィードバックによる気づきを通じた能力開発
 ・「感受性」を高めることが重要
 ・感受性を高めるには、思考→分析→仮設→行動→学習の循環 思考と行動を習慣化させる
 ・学習にはフィードバックによる「気づき」が必要
 ・ポジティブ/ネガティブ、その都度/じっくりフィードバックのバランスが重要
 ・ポジティブフィードバックによって「自己肯定感」をもたせ「自己信頼感」に変えていく
 ・同僚や斜め横からのポジティブフィードバックは効果がある

 
「よって集って育てる」

2-3.相互に学び支援し啓発し合う組織  
上司の役割は、教えること以上に、相互に教え合い、学び合い、刺激し合い、教え合う職場を整備すること。

3.仕事を通じた人材育成
3-1.仕事及び必要能力の体系化可視化と自身の能力水準の把握
 ・重要なのは仕事の可視化 
 ・仕事の目的・背景まで全体像を把握させて仕事を与えること
 ・仕事の意味(奥深さ)をわからせること
 ・人間が成長する段階をモデル化するという発想が人材育成では重要

3-2.仕事における背伸びを通じた能力開発と成長
 ・ちょっとした試練を意図的につくって与えることが背伸びの機会になる
 ・期待度や意図、育成目的で課題を与えていることを必ず伝えること

3-3.キャリアステップの提供による成長の継続
 ・この会社で長く働きたい=会社にいて3~5年後に成長していると思うか(成長予感)との相関性が高い
 ・次のステップがあることを見せる

4.職場育成機能を補完する人材育成投資
 日常の職場育成機能だけに頼っていては不十分

4-1.十分な初任者導入教育
 ・若者も変化している、背中を見て育て型の徒弟制度では大きな歪がでて、非常に非効率
 ・時代や背景が違う、昔やったことを良しとしないこと
 ・経営は科学、人事育成も、精神論でなく、科学的に行うこと
 ・早期離職を食い止めるためには、どんな支援をいつやるかを考えておくこと

4-2.職場では得られない特定スキル・基礎理論や教養の獲得
 職場の育成教育だけでは不十分な能力の獲得のために研修などの十分な人材育成投資を行う必要がある

4-3.長期的視点の意図的なコア人材育成投資
 リーダーとなる人材へのマネジメント教育は長期視点で、出向など外の世界を見せるなど、意図的に育てていくことが重要

5.人・仕事・キャリアへの取り組み姿勢の形成支援
 
人材育成=「人への関心」

5-1.個人に焦点を当てた人間尊重の風土と人への関心
 日常の多様なコミュニケーションを通じて、相互に人間として関心を持ち、個人を人として尊重し合い、支え合う風土をつくる

5-2.気づきや腹落ちを通しての仕事観や仕事への取り組み姿勢の形成
 しっかりとした価値観やマインドセット、姿勢を持ち、自分の仕事に取り組んでいる。

5-3.高い視線や広い視野を持ったキャリア自律の意識の形成
 一人ひとりが経営の視点、社会の視点などの高い視点と、グローバルな広い視野で、向上心をもって自身のキャリア形成に主観的に取り組んでいる。

 → 経営参画=経営目標の議論に社員を巻き込んでいくこと 

 


 

 

 
第2部「奈良県プロフェッショナル人材戦略事業について」 
              奈良県プロフェッショナル人材戦略拠点 マネージャー 中﨑 宏平

奈良の状況
 
    SL1       SL2  
 

20代の若者が奈良から転出していく

  2000年に総人口がピークを迎え、以降人口減少
2040年 生産年齢人口は57万人 2010年の65%
2040年 高齢化率は38% 『超高齢社会』

 
 
     SL3       SL4  
  奈良県の県内総生産は減少傾向
2013年度 3兆5,206億円(名目)
県内一人当たりの総生産は最下位
  就業人口の43%を占めるサービス業や
17%を占める卸売・小売業の生産性が低い
 

     SL4        SL6  
  奈良の課題は、労働生産性を高め、魅力ある企業を創出し、若者の転出を止めること   経済が県内で好循環する社会を作るには
相互連携とそれを推進する人材が必要
 

■プロフェッショナル人材事業とは

 SL7        SL8  
時代の変化に応じた働き方改革が進む。中小企業の人材の登用の方法も多様化。雇用の概念を変えること   奈良成長=奈良県企業成長
経営課題解決のために適切な人材を配置し組織運営を強化することが重要
 

  SL9   

 プロフェッショナル人材戦略拠点は、中小企業様の「攻めの経営」への転進を後押しするとともに、それを実践していくプロフェッショナル人材の活用について、経営者様の意欲を喚起し、民間人材ビジネス事業者等を通じてプロフェッショナル人材マッチングの実現をサポートし、より企業成長を加速させる役割を担います。
ぜひ、拠点設立の趣旨をご理解頂き、プロフェッショナル人材戦略拠点をご活用いただきますようお願いいたします。 

 

   

 

 

 

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