第4回「攻めの経営」戦略セミナー
日時
平成29年12月1日(金曜日)13時30分~16時00分
会場
ホテル日航奈良 4階「飛天」
プログラム
第1部 「赤ちゃんが食べられるタオルを創る」を目指す
~タオルで世界の感動を得る経営を学ぶ~
講師:IKEUCHI ORGANIC株式会社 代表 池内計司氏
第2部 「奈良県よろず支援拠点の役割と活動状況について」
奈良県よろず支援拠点 チーフコーディネーター 松村二郎
「変わる雇用環境とプロフェッショナル人材戦略拠点の役割」
奈良県プロフェッショナル人材戦略拠点 マネージャー 中﨑宏平
あいさつ
奈良県プロフェッショナル人材戦略拠点 マネージャー 中﨑宏平
プロフェッショナル人材戦略拠点も今年の12月末で約2年になりました。先月で、奈良県内企業約290社を訪問しました。企業経営において人材の重要性を改めて痛感しています。現在22名のプロフェッショナル人材が新しい職場でご活躍されています。
本日は攻めの経営戦略セミナーの基調講演として、今治タオルの「風で織るタオル」で有名なIKEUCHI ORGANIC株式会社 代表 池内計司氏をお招きいたしました。 「最大限の安全」「最小限の環境負荷」に徹底的にこだわったオリジナルブランドの立ち上げ、現在は赤ちゃんが食べられるオーガニックタオルを目標に、着実に事業を進められておられます。 一時は、OEM先の問屋の倒産により、民事再生法の適応をうけるなどございましたが、オリジナルに特化され見事再生されました。池内様が歩んで来られた経営改革のご苦労や思想について学び、皆様方の事業経営のお役に立てばという思いで開催いたします。
なお、今回は奈良県よろず支援拠点との共催で開始させていただいています。関係者の方々に広くご参考になればと思います。
皆様にとって有意義なセミナーに成ることをお願い申し上げます。
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第1部
「赤ちゃんが食べられるタオルを創る」を目指す
~タオルで世界の感動を得る経営を学ぶ~
講師:IKEUCHI ORGANIC株式会社 代表 池内 計司
いま、ご紹介にありましたように、私はジェットコースターのような人生を歩んで参りました。今でも決して成功しているわけではありません。攻めに攻めていますので、いつ落ちるかもわからない状況です。一部に特化してモノづくりをしている。私のビジネスモデルは小さい企業ほど役に立つ、同じように取り組めば、受け入れてくれる可能性があります。
■タオル業界とは
•80%は輸入品で、20%の国産品は、今治と大阪の泉州で半々
•今治のタオルの状況 もともと500社 現在108社 80%が無くなった
•今治タオルは、今治あるいはその周辺にあるタオルメーカーが、今治タオル工業組合が制定してる基準と、今治タオルデザイン基準を守ると今治タオルのマークを付けて販売できる
•当社の製品は、1種類以外(あえて取っていない)は、すべてこの基準をクリアしているが、一切マークはつけていない変わった会社
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■ブランディングの取組
•1999年、尾道と今治をつなぐ「しまなみ海道」が開通。今治に来られる観光客に売るものを作ろうということで、「最大限の安全」「最小限の環境負荷」を目指す「IKT」(IKeuchi Towel)ブランドを起こす
※会社のイメージフィルム( https://www.ikeuchi.org/company/concept/ )
•このイメージフィルムは、アイスランドのプロディーサーが無償で制作してくれた
◆「最大限の安全」「最小限の環境負荷」へのこだわりと歩み
•IKTを名乗る前は、タオルハンカチで有力な30社のブランド品のOEMを担当していた
•百貨店の売り場を占有するには、年4回のモデルチャンジ、年間200モデルを作る必要があった。支払はすべて手形、販売ルートが非常に長い。利益はあったがモノづくりとしては違和感を覚えた
•自社ブランドは作り手の理想型の物をつくる⇒モデルチェンジはしない、直接販売、現金取引
•1999年発売した「オーガニック120」は18年間売り続けている
•綿花栽培には、全世界の農薬の40~60%が使われていると言われている。刈り取りには、白い綿花が緑の葉で染まらないよう、枯葉剤を撒く。赤ちゃんが口にするタオルがこれではいけないとオーガニックにこだわった
•オーガニックコットンの欧州基準(1)3年間無農薬・化学肥料を使わない(2)フェアトレード売買(3)遺伝子組換を使っていないこと、綿の95%は遺伝子組換(遺伝子組換綿は、虫が食べたら死ぬように遺伝子を組み替えている)、オーガニックは1%
•2013年(創業60周年)当社のタオルは、全製品 安全性基準で世界で最も厳しいスイスのエコテックス100クラス1(乳幼児が口に入れても安全)をクリアしている
•2014年IKEUCHI ORGANICに社名を変更し、次の60年、2073年に「赤ちゃんが食べられるタオル」をコンセプトに取り組んでいる
•オーガニック素材だけでなく、製造工程でも環境負荷を最小限にする試みを行っている
•生産工場の電力は、全て風力発電で賄っている
•染色で汚れた水をきれいにする排水工場設備も組合で完備
•食べてよいタオルをめざすため、食品工場基準のISO22000の認定を受ける
◆従業員も一丸となって取り組んでいる
•IKEUCHI ORGANICで働いているタオル職人は、従業員全員が「最大限の安全」「最小限の環境負荷」へこだわりっている職人集団であることをホームページで訴求
•WEBのバックヤードで働く人に与えられる「バックヤード大賞」に選ばれ、紹介ビデオを作ってくれた
※バックヤードビデオ(https://crossbackyard.com/story/ikeuchi_organic/people/ )
◆少量多品種の弊害
•商品を磨くことをせずに次々にモデルをつくることは、日本の品質への弊害と思っている
•自社ブランドでは、モデルチャンジしないで品質を高めることで、ファンができる
•今は50%のリピータに支えられている
•今年始めてファン向けにオープンハウス(今治の工場見学)を開催 日本中から多数参加してくれた
■今年と来年の取組について
•毎年11月に今年・来年の取組を青山・京都・今治のショップで紹介する
•クールジャパンとしてアニメとコラボで欧州に進出した
•漫画の「宇宙兄弟」とのコラボで単行本にタオルを付けて数量限定で発売。23時間で完売した
•来年のタオルヌーボのタグはビートルズのアップルグリーンを使う
•ビートルズのロゴの入ったタオルを販売するタオルのメンテナンスビジネスを開始する。タオルドクタ資格認定者がタオルをメンテナンスし、クリーニングし、長く使って頂ける体制を作る
■愛媛の観光ビデオ
作成はアメリカのチーム。アメリカチームがイケウチタオルのファン。彼らは、愛媛県の魅力は、しまなみ海道と真面目なモノづくりと主張したが、愛媛県の担当はモノづくりは反対していたが、ファンのカメラマンが愛媛県に黙ってイケウチオーガニックの工場を撮影しビデオに入れた、
■まとめ
小さい会社であるが、一つのコンセプトに集中して、そこだけ一所懸命にやっていると、たくさんのファンができて、ファンがまた僕らのブランドを支えてくれて、ファンが宣伝してくれます。
だから小さいながらも頑張ることができます
IKEUCHI ORGANIC https://www.ikeuchi.org/
第2部
「奈良県よろず支援拠点の役割と活動状況について」
奈良県よろず支援拠点 チーフコーディネーター 松村二郎
設立4年、1700社を越す事業社の皆様方から相談を受けました。
本日は、相談事例から、攻めの経営を考えるヒントとよろず拠点の役割と活動状況とお話させていただきます。
■攻めの経営を考えるヒント
『会社を未来につなげるため10年先の会社を考える』
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◆基本認識
(1)日本企業の実態
企業数の変化 1999年 483万社 ⇒ 2014年 382万社
15年間で101万社の減少(79%)、大企業数は変化なし
・・・毎年20万社が起業、しかし27万社が廃業している。
*中小企業・小規模事業者の事業存続・発展が重要な課題 ⇒ 厳しい現実!!
(2)日本企業の凄さ
・100年以上存続している会社 33,000社(2017年東京商工リサーチ)
・200年以上存続している会社 世界に5,500社 日本に3,100社(2008年韓国銀行)
・1000年以上存続している会社 世界に12社 日本に7社
・世界最古の会社 金剛組:578年創業、四天王寺を建設
長寿の理由 企業の社会性重視 (近江商人の三方よし/企業は社会の公器)
技術重視・伝承形 人財重視 等々
・進化論 強いものが生き残るのではない。変化に対応するもののみが、生き残る。
・・・生物も企業も、あらゆる組織にあてはまる。
◆経営の定義
経営とは、企業、組織を存続させること
経営とは、事業活動を通して、社会に貢献すること
経営とは、組織や事業内容を、変革し続けること
*経営とは、絶えざる変革によって、貢献のレベルを維持向上し、もって企業が存続するすべての活動をさす。
◆変革とは何か
・変革とは、世の中の変化に対応し、市場や顧客に新しい価値を提供すること
・自社や自分の仕事の社会貢献度をあげること
・変革とは進化であり、進化なき組織はいずれ衰退する
◆変革がうまくいかない要因
(1)危機感の欠如 ・・・ワンマン意識(上下とも)ゆでガエル
(2)ぼやけたビジョン・・・あいまい
(3)現場の実態軽視 ・・・スタッフ主導
◆攻めの経営のポイント
・新興企業、老舗企業では異なる
・業種業態、また企業規模によって異なる
◆老舗企業に学ぶ
・老舗の強み 1位:信用 2位:伝統 3位:知名度
・生き残りのポイント 1位:信頼の維持向上 2位:進取の気性 3位:品質の向上
⇒
B/S・P/Lに あらわれないものに、存続・発展の重要性がある=『見えざる資産』が重要
上図の
事業者の資産・経営状況と事業者の認識による4象限分類し、自社がどこに属するか分析し攻めの経営の前に、まず、自社の状況を再認識することが重要である
◆成長戦略進化のための今後の方針(日本政府)
(1)働く人と企業にとって世界でトップレベルの活動しやすい環境の実現
(2)これまで成長産業と見做されてこなかった分野の成長エンジンとしての育成
(3)成長の果実の地域、中小企業への波及と、持続可能性のある新たな地域構造の創出
↓
★中小企業・小規模事業者の活性化
「よろず支援拠点」を中核として、地域における支援体制を抜本的に強化
平成26年6月、全国各都道府県に1ヶ所設置
■奈良県よろず支援拠点の役割と活動状況について
◆よろず支援拠点の重点ミッション
(1)販売拡大につながる経営相談に応える
(2)すべての中小企業経営課題に応える
(3)地域活性化のハブとなる
◆支援の内容
(1)総合的・先進的アドバイスの実施
(2)支援チームを編成
(3)適切な機関につなぐ「ワンストップサービス」
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◆平成29年度の重点方針
(1)地域活性化のハブ機能の強化
自治体、各支援機関との連携活動の拡充
よろずでしかできない相談対応や連携対応の推進
(2)創業支援窓口の機能充実
19市町村において認定連携支援事業者
創業後事業者へのフォローアップの重視
(3)重点課題相談機能の強化
IoT、経営改善、事業承継・人材育成及び働き方改革等
出勤体制の強化、課題解決力の向上
(4)相談事業者の満足度の向上
相談フローの徹底
支援成功事例の増大と広報活動の強化
◆よろず支援拠点の相談体制
専門知識を持つコーディネーター 13名で対応
- メンバー全員が民間企業の出身
- 悩みに即した実践的なアドバイス
- 企業での多くの経験と様々なスキルの融合
- 高い案件解決能力と優れた機動性
◆相談対応件数
平成26年度上期 254 平成26年度下期 999 平成27年度上期 1665 平成27年度下期 1693
平成28年度上期 2368 平成28年度下期 2952 平成29年度上期 3703 (前年同期比 156%)
◆県内全相談件数の内訳
(1)地域別: 北和 55% 中和 40% 南和 5%
(2)従業員規模: 5人以下 59% 20人以下 20% 50人以下 10%
(3)平成29年度: 相談内容(大項目) 売上拡大51% 創業 38% 経営改善・事業再生10%
(4)業種別割合: サービス業27% 製造業24% 宿泊・飲食業 15%
・売上拡大: 製造業 32% サービス業 23% 建設業 13% 宿泊・小売業 9%
・経営改善・事業再生: 製造業 31% サービス業 23% 建設業 22%
・創業:サービス業 35% 宿泊業 27% 建設業 12% 製造業 8%
(8)具体的内容別の割合:事業計画策定17% 経営知識16% 施策活用14% 資金繰り9%
・売上拡大: 施策活用13% 事業計画策定13% 販路拡大11% 経営知識11%
・経営改善・事業再生:現場改善・生産性向上 19% 資金繰り15% 事業計画策定/施策活用12%
・創業:経営知識26% 事業計画策定24% 資金活用12% 資金繰り12%
◆合同相談会 合計160回開催
県関係 57回 奈良県信用保証協会 14回 日本政策金融公庫 14回 奈良中央信用金庫 12回
◆各団体・支援機関と連携したセミナーの計画 合計42回
県関連 15回 (公財)奈良県地域産業振興センター 8回 中小企業基盤整備機構 4回
◆奈良よろず支援拠点 詳細下記 ホームページを参照ください
http://www.nara-sangyoshinko.or.jp/n-yorozu/n-yorozu01.html
●私たちと一緒に事業を強くして、儲けましょう!!
「変わる雇用環境とプロフェッショナル人材戦略拠点の役割」
奈良県プロフェッショナル人材戦略拠点 マネージャー 中﨑宏平
◆奈良の現状
(1)人口減少 総人口 2010年 140万人 → 2040年 110万人 2010年比 79%
生産年齢人口 2010年 88万人 → 2040年 57万人 2010年比 65%
年少人口 2010年 18万人 → 2040年 11万人 2010年比 58%
老齢人口 2010年 33万人 → 2040年 42万人 2010年比 125%
★2040年 団塊のジュニア世代が65歳を迎えその後は急激に人口が減少する
(2)県外転出 若い人の転出超過 (平成26年)
20歳~25歳-2232人 25歳~29歳-1380人 3500人の20代若者が転出
(3)県内総生産 3兆5,407億円 全国39位 近畿2府4県で6位
(4)県内一人当りの総生産 全国47位(最下位)
◆『人口減少』と『人手不足』の時代に何が求められるのか
◆なぜ 今『働き方改革』なのか
「働き方改革」は、「魅力ある職場づくり」の実現による 中小企業・小規模事業者の人手不足解消のチャンス
http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/hitodekentou/2017/170731hitodekentou02.pdf
◆奈良県プロフェッショナル人材戦略拠点がお手伝いできること
・ミッション:地域企業様の「攻めの経営」への転身を後押し、民間人材ビジネス事業者等を通じて
プロフェッショナル人材マッチングの実現をサポートする事業。
・奈良県プロ人材 相談件数と成約件数 推移
相談件数 258件 成約件数 22件(開設~2017年9月末累積)
◆雇用環境は変化している
・優秀人材を『雇用』することから『活用』する時代へ
個人のこれまでの経験・キャリアにおける強み・志向性に応じて、世の中の多くの会社の
「経営課題」に対し、業務委託契約にて期間限定で解決支援する新たな人材活用の環境が整ってきた
・人事政策を長期視点と短期視点で考える
強いチームを継続・維持するために(長期視点)
・多様性(女性・シニアなど)人材の雇用
・人材教育・労働環境(テレワークなど)の構築
・新たな人事評価システムの導入
変化の時代に機敏に対応する(短期視点)
・『雇用』から『活用』へ
・ビジネスフェイズ毎に『専門人材』を活用
●プロフェッショナル人材戦略拠点は、民間人材ビジネス事業者や大企業と連携して、
プロフェッショナル人材をご紹介し、経営課題の解決に合った人材のお世話を致します。