特集

県民だより奈良 平成30年8月号

特集 奈良の漢方 大和トウキ 根は薬・葉は栄養
県内各地に栽培が広がる大和トウキ
 日本書紀には推古天皇が宇陀地方で薬猟(くすりがり)をしたと記されています。また、江戸時代には「大和の置き薬」が全国に広まるなど、奈良県は、漢方ゆかりの地として薬業が発展してきました。

 安価な外国産の漢方原料の流入で、奈良県の薬用作物の生産量は大きく減少しました。しかし、近年、健康ブームや予防医学の観点から漢方が注目され、国産の薬用作物が見直されてきています。

 県では、「漢方のメッカ推進プロジェクト」を立ち上げ、農業法人や企業、大学、研究機関などと連携し、漢方の産業化に取り組んでいます。

 今回の特集では、江戸時代から五條市大深を中心に生産され、県の漢方の取り組みのなかで最重点作物としている「大和トウキ」に着目し、その生産や活用について紹介します。
大和トウキ(根)生産量(kg)
●大和トウキとは・・・
大和トウキの花
セリ科の多年草本で、毎年6月頃から白い花が咲きます。
乾燥させた根は生薬として、冷え性、血行障害、強壮、鎮痛などに効果があるとされています。
トウキには、他に北海トウキなどの品種がありますが、大和トウキは「大和物」と呼ばれ珍重されてきました。
根の特長
医薬品として当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)など多くの漢方薬に配合されます。
現在、県内の製薬企業により、大和トウキの根だけを使った「トウキエキス製剤」の承認申請中です。
大和トウキの根
葉の特長
セロリのような香りがします。
近年、葉は食品などに利用できるようになりました。「和ハーブ」として料理に利用されたり、お茶などの製品に加工され活用が広がっています。
大和トウキの根
地域に広がる漢方の取り組み
県内市町村でも地域振興の一環として漢方のプロジェクトに取り組んでいます。
宇陀市
宇陀市薬草協議会を中心に、市内約80人の生産者で大和トウキの栽培と商品化に取り組んでいます。
高取町
町内で栽培された大和トウキの葉を使ったお茶や入浴料などの特産品の開発に取り組んでいます。
下市町
下市町商工会を中心に、大和トウキの葉などを使った薬膳や食品の開発に取り組んでいます。
など
奈良の漢方を知ろう!
(1) 大和トウキなどの実物展示や生薬標本で、薬用植物や漢方薬などを詳しく紹介します。
9月11日(火曜日)〜17日(祝日)
県立図書情報館(奈良市)
(2) 奈良県薬用植物見本園では、薬用植物を間近に見学できます。
平日9時〜16時
県薬事研究センター(御所市)
県薬事研究センター
電話 0745-62-2376
●「漢方のメッカ推進プロジェクト」では、
生産から販売までの一貫体制で漢方産業の育成を目指します
伝説の大深トウキ復活へ
益田 吉仁さん
益田農園(五條市)
益田 吉仁(ますだ よしひと)さん
 昔、五條市大深で栽培が盛んだったという「大深トウキ(大和トウキ)」が、生薬として有名と県外の人から聞き、初めて「大和トウキ」を知りました。同じ頃、県の漢方プロジェクトが始まり、五條の農家として大和トウキの栽培に取り組みたいと思い、県から種を譲り受けました。生葉は、11月頃までJR奈良駅の「奈良のうまいものプラザ」などで販売しています。大和トウキの良さを伝えるため、生薬である根のエキスを使った化粧品なども作りました。
 品質が良いとされる五條産「大深トウキ」の復活を目指して、五條市大深でも栽培を始めています。良い種を残し、引き継いでいくのも農家の大事な役目だと思っています。
良質の大和トウキの栽培と商品化
大谷 健二さん
(株)パンドラファームグループ(五條市)
大谷 健二(おおたに けんじ)さん
 7年ほど前から大和トウキの栽培を始め、今では当初の120倍の1.2ヘクタールで栽培しています。栽培には通常約2年かかりますが、県果樹・薬草研究センターと一緒に、栽培方法を研究し、年間2トンの収穫を目標に取り組んでいます。
 「医薬品製造販売業許可」「医薬品製造業許可」も取得し、医薬品の根を漢方薬局へ直接販売もしています。また、葉は、お茶として加工販売し、栽培した大和トウキ全部を活用しています。
 今は、新しい取り組みとして、漢方のメッカ推進協議会の企業と根のエキスを使った新商品の開発を行っています。
 大和トウキの質の良さを多くの人に実感してほしいです。
(株)パンドラファームの商品
●商品やレシピで大和トウキをもっと知ろう!
商品を使ってみよう
 県内企業を中心に、根を使った化粧品や、葉を使ったお茶・調味料など、さまざまな商品が開発・販売されています。
ラテ
ラテ
入浴料
入浴料
化粧品
化粧品
ハンドクリーム
ハンドクリーム
ポン酢
ポン酢
購入は
奈良県アンテナショップ「奈良のうまいものプラザ」(奈良市)
東急ハンズ奈良店(奈良市)
東大寺門前 夢風ひろば(奈良市)
かしはらナビプラザ(橿原市)
道の駅宇陀路大宇陀(宇陀市) など
生葉を食べてみよう
 大和トウキの葉は、ビタミンが豊富で、香りは料理でも楽しめます。
 県内には、大和トウキの葉を使った料理を提供しているお店があります。
吉田 奈麻さん
薬膳カフェ
POWER OF FOOD(奈良市)

吉田 奈麻さん
 大和トウキの葉の良い香りは、サラダだけでなく、葉を練り込んだ焼き菓子でも楽しめます。
 栄養も豊富なので、食事をしてすぐ効果の分かる人もいます。まずは、レストランやカフェでトウキ葉を使った料理を食べてみてください。
生葉で料理にチャレンジ
 「和ハーブ」としても使える大和トウキの生葉は11月頃まで「奈良のうまいものプラザ」などで販売されています。
 家庭でも料理にチャレンジしてみてください。


簡単につくれるレシピを公開中!
大和トウキの商品、葉を使った料理を提供しているお店やレシピなどの情報は、大和トウキ総合PRサイトで。
URL www3.pref.nara.jp/sangyo/yamatotouki/
漢方のメッカ推進プロジェクト事務局(県産業政策課内)
電話 0742-27-8814
FAX 0742-27-4473
※「県民だより奈良」は県内の各家庭にお届けしています。
 市町村窓口、県の施設などにも配置しています。
※点字と声による「県民だより奈良」も発行していますので、必要な方は県広報広聴課へご連絡ください。
 県では、経費削減のために、「県民だより奈良」の裏表紙に有料広告を掲載しています。
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お問い合わせ

広報広聴課
〒 630-8501 奈良市登大路町30
報道係 TEL : 0742-27-8325
広報制作係 TEL : 0742-27-8326 / 
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県民相談広聴係 TEL : 0742-27-8327 / 
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