社会福祉法人正和会

正和会

社会福祉法人正和会(五條市)


利用者を敬う「笑顔と言葉遣い」は、良好な職場環境から

奈良県五條市で介護老人福祉施設やケアハウスなど様々な高齢者福祉施設を運営する社会福祉法人正和会。職員は400名を超える大規模な法人です。

正和会のモットーは「長幼の序」と「笑顔と言葉遣い」。人生の先輩である利用者、そしてその家族、地域、さらに職員一人ひとりを大切にするという気持ちが込められているそうです。



福祉の中身を「見える化」して、明るいイメージを持ってもらいたい

正和会
まずは在宅部 部長の吉田勉(よしだつとむ)さんに正和会の取り組みについて伺いました。

正和会では、介護士はもとより管理栄養士や看護師、相談員やリハビリスタッフなど多くの専門家がニーズに合わせて利用者をサポートしています。

リハビリプログラムでは、マシンなどの最新器具を取り入れたエクササイズや歩行訓練の介護ロボットを利用するなど最先端の技術を取り入れた介護を実施しています。また、畑で育てて収穫した野菜を食べるといった作業療法を実施するなど、楽しんで利用してもらうための趣向も凝らされています。

さらには、こういった活動を法人のホームページで動画にして掲載するなど、情報発信も積極的に行っているそうです。

「今の現場の状況と、私たちの取り組む姿勢を地域の人や学生に知ってもらいたいんです。そのために、若い人やお年寄りまで、興味を持ってもらえるような発信を心がけています。
現場は本当は楽しいところなんだということを『見える化』し、福祉の暗いイメージを払拭したいのです。」



また「見える化」の一環で、五條市の商業施設で地域の人を対象にしたヨガや体操など様々な教室も展開しています。

「元気なうちから正和会のことを知り、スタッフと顔見知りになっていただくことで、将来に向けた安心できる繋がりを作ってもらいたいんです。」




「人生の先輩」を尊重するケアを

正和会のモットーである「長幼の序」と「笑顔と言葉遣い」にはどんな想いが込められているのでしょうか。

「25年前に先代の理事長が正和会を設立しようとした際、全国の施設を見てきました。その中で最も感じたことは、若い看護師がお年寄りを「ちゃん付け」して呼ぶなど言葉遣いがひどく、スタッフがお年寄りを敬っていない現場がとても多かったことでした。
自分たちの今があるのは先人たちが努めてきてくれたおかげ。人生の先輩として尊重するケアを実施していくべき、そのような先代理事長の想いが、正和会の軸となっています。
また、笑顔と言葉遣いは相手を敬う気持ちの表れる行為であり、第一印象にも大きな影響を与えます。この2つを大切にすることで、利用者やご家族の方と良いコミュニケーションが取れ、私たちも情報や悩みを聞きやすくなります。つまり笑顔と言葉遣いを大切にすることが、利用者の方に手を差し伸べることに繋がっていくのです。」

正和会
(施設の中庭です。真ん中に見えるのは共同墓地。明るくみんなから見える場所に奉られています。)



現場の声から「働きやすい」を形に

正和会では人材不足が深刻になったおよそ10年前から、現場の声を丁寧に聞き、労働環境の改善に取り組んできました。その結果、現在は離職率が4.7%と、福祉業界ではかなりの成績を維持しているそうです。どんな働きやすい職場になったのでしょうか。

「施設内には職員用の託児所があり、土日などで保育所が利用できないときにここで子どもを預かることができます。
正和会は「育児休暇を取りたいと言えばとれる職場」であり、現在では育児休暇取得率・育休からの復帰率は100%になっています。そのため、家庭と仕事の両立は当たり前の風土があり、先輩や上司に相談しやすい雰囲気があります。
有給についていうと1週間のリフレッシュ休暇があり、有給消化率も75%という高い水準となっています。」


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(職員向けの託児ルームがあり、ここに子供を預けることができます。子供たちも普段の保育所より、お母さんの近くにいるということで安心するんだそう)


正和会の取り組みは、国の「子育て支援企業認定マーク」取得、県内初の「女性活躍推進法認定企業」、「奈良県社員・シャイン職場づくり推進企業表彰」など様々な形で認められています。

正和会
(廊下には表彰状や認定証がずらり)


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(職員向けのお知らせです。ノー残業デーや悩み相談など、スタッフへの心配りが見られます。)


「大変」が「大変じゃない」 徹底したサポートとワークライフバランス

正和会
次に現場で働くお二人から話を伺いました。
宮本友紀(みやもとゆき)さん(写真左)は、管理栄養士で、入社2年目の若手職員。平井恵美(ひらいえみ)さん(写真右)は支援相談課・医務課のチーフとして働いている1児の母で、現在2人目のお子さんを妊娠中だそうです。
※宮本友紀さんは、老健(在宅復帰施設)で勤務しています。


- お仕事のやりがいをお聞かせください。

(宮本さん)「人の役に立つことがしたいなぁとずっと考えていて、『人を元気にする元は食事と栄養だ!』と思い栄養士になりました。ここで働くやりがいは、やはり利用者の方が『おいしかったよ!』とか『次のご飯が楽しみや!』と笑顔で言ってくださることです。食事は利用者同士のコミュニケーションのきっかけになります。食べることで利用者が元気になり、自宅に帰ることができるようになるのはとても嬉しいことです。」



- 大変なことはなんですか。

(宮本さん)「実は、これまで仕事が大変だと感じたことはありません(笑)。私の所属する栄養課はお互いのフォローがとてもしっかりしていて、何か問題があったりしたら全員で考えてサポートしあいます。1日1000食、利用者の状態に応じた食事を作るのですが、精神的に負担に感じたことはありません。とても働きやすい職場です!」


正和会

(平井さん)「相談員として、大変なことはやはり対外的なことです。利用者の家族と施設のスタッフを繋ぎ、調整を行う際にコミュニケーションがうまくいかなかったり、意図と違った思いをさせてしまって厳しい意見をいただいたこともありました。
一方で、頼っていただける機会があることは本当に嬉しいんです。平井さんに相談したい、平井さんに連絡すれば何とかなる、と聞いた際にはとてもやりがいを感じます。」




- 平井さんはお子さんを育てながら仕事をされていますが、両立のコツなどはありますか?

(平井さん)「初めは、家庭も仕事もどちらも頑張らないと、と気を張っていましたが、当時の上司からアドバイスをもらって少し肩の力が抜けました。大変だと思う時もありますが、家庭と仕事がそれぞれあるからこそ頑張れるのだとも思います。家庭から離れる時間は家庭の大事さを教えてくれ、仕事で評価されることは大きなやりがいに繋がります。」



- 最後に今後の目標を教えてください。

(宮本さん)「特別な食事が必要なため帰宅できないと思う利用者さんをなくしたいです。そのためご家族に対して調理実習を行ったり宅配を案内したりといったサポートを進めています。まだまだ勉強中の身ですが、利用者の方に安心して帰っていただけるように、今できることを精一杯やっていきたいと思います!」

(平井さん)「私は時短勤務の役職です。これは正和会では初めての事です。さらに11月から産休に入ります。このような働き方、生き方も正和会ではできるのだと後輩たちに示せたらと考えています。」


編集後記
-大学生プロジェクトメンバーより-

「介護」や「高齢者福祉」という言葉には重い響きを感じる方が多いかと思います。私も、そのように感じる若者の一人でした。しかし正和会の現場はとても明るく、スタッフ同士で助け合い、サポートも充実した場所でした。

平井さんの「家庭と仕事がそれぞれあるからこそ頑張れる」という言葉が印象的です。女性として家庭と仕事を両立できるのだろうか、と不安を抱く方は多いでしょう。そうではなく、両方あるからそれぞれが上手くいくのだと、ワークライフバランスにおける考え方も払拭してくださいました。

誰かの役に立ちたい、自身の生き方も大切にしたい、正和会はそのような願いを叶えられる場所です。ここで出会った方々は、利用者の方も職員の方もみんな活き活きと取り組んでいらっしゃいました。自分の力を活かしつつ、家庭も仕事も充実させていきたい方は、ぜひEXPOで正和会さんにお話を聞いてみてください!




社会福祉法人正和会

所在地:五條市大沢町5-25
従業員数 正規職員 130人(うち女性 80人)非正規職員 280人(うち女性180人)(平成30年4月1日現在)
事業内容 介護老人福祉施設、ケアハウス、デイサービスセンター、居宅介護支援事業所、訪問介護事業所、在宅介護支援センター、老人保健施設、デイケアセンター、グループホーム
HP http://www.seiwakai-gojo.or.jp/

取材担当 奈良女子大学1年生 山崎優日、3年生 近田美紗子


記事作成:平成30年10月12日

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