特集

県民だより奈良 2019年7月号

特集 大和茶
 大和茶の栽培の歴史は、大同元(806)年に始まったと言われています。唐から茶の種子を持ち帰った弘法大師が、その種子を高弟堅恵(けんね)に与え、仏隆寺(宇陀市)に蒔(ま)いたのが始まりとされています。
 以来、自然条件や立地条件に恵まれた大和高原一帯は、日本でも有数の茶の産地として発展し、現在も全国第7位の生産量を誇ります。また、茶は県内の農業産出額の約5%を占め、県の農業を牽引(けんいん)している「リーディング品目」のひとつでもあります。
 今回の特集では、奈良県が誇る「大和茶」と、その消費拡大に向けた取り組みについて紹介します。
荒茶生産量(平成29年) 出典 全国茶生産団体連合会調査

荒茶生産量グラフ
荒茶生産量グラフ

     出典 生産農業所得統計(農林水産省)

【荒茶】収穫した茶葉に、蒸熱・発酵・揉み・乾燥等の
    処理を行った、仕上げ加工前のお茶

「大和茶」とは

 奈良市・山添村を中心に、宇陀市・大淀町・東吉野村などで栽培されています。
 茶園の多くが標高200~500mの高冷地に位置し、茶芽がじっくり生育するため、香り高く、滋味濃厚なお茶になります。煎茶やかぶせ茶、番茶をはじめ、近年は碾茶(てんちゃ)(抹茶の原料)も生産しています。
地図
いろいろな「お茶」
いろいろな「お茶」
他にも日本全国でさまざまな種類のお茶が楽しまれています。
大和茶を広めよう
大和茶を世界に!
 近年、アメリカ・EU・台湾などを中心に日本茶の需要が高まっています。海外輸出を志向する茶流通業者に販売できるよう、輸出相手国ごとの基準をクリアするために、生産方法を確立する必要があります。現在、県やJAならけんが連携して取り組んでいます。
大和茶のブランド力向上へ GAP認証取得支援
 農業生産工程管理(Good Agricultural Practice)の略で、栽培から出荷までに守るべきルールに従って記録・点検・評価を実施し、「安全な農産物の供給」「環境の保全」「働く人の安全確保」に配慮して農業生産を行うことです。
 近年、国内外でニーズが高まっており、県では個別指導や事例集作成などを通じて、JAならけんなどと連携しながら、認証取得を支援しています。
JGAP認証農場
ASIAGAP Certified Farm
松本 康之さん
JAならけん 広域茶流通センター
茶業課長
 松本 康之(まつもと やすゆき)さん
 当センターでは、県内の茶農家が生産した茶(荒茶)を集約し、茶流通業者に販売しています。年間の取扱量は約1400トンで、県全体の8割以上を占めます。ほかにも、グループの大和茶販売株式会社を通じて、大和茶ペットボトルの販売なども行っています。
 JAならけんにとって、「茶」は重要な品目のひとつです。奈良マラソンなどのイベントで、「大和茶」を積極的にアピールしています。また茶流通業者からは、アジア輸出に対応した「ASIA GAP」認証の要望が強く、農家さんに認証取得を推進しています。その結果、現在の認証比率は取扱量で7割を超えています。
 「大和茶」は、有名産地と比べても、品質では決して負けていません。皆さんにも、地元の名産「大和茶」を楽しんでいただければと思います。
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大和茶
子どもたちにもアピール!
 県大和茶研究センターでは、40年以上にわたって小学生を中心に社会見学(遠足)を受け入れています(平成30年度30校 2044人)。
 お茶の歴史、茶畑の特徴、防霜(ぼうそう)ファンや製茶工場などについて実演を交えながら解説し、最後に次世代の消費者である子どもたちに「大和茶」をPRしています。
社会見学
唯一の奈良県育成品種「やまとみどり」
 濃緑で香りが高く、滋味も濃厚で天然玉露と呼ばれることもあります。日本緑茶の代表的な品種である「やぶきた」と比べて、カテキンを多く含んでいます。
 生育が遅く収穫量が少ないことから、今ではほとんど栽培されていませんが、かぶせ茶・紅茶・食品素材用抹茶等としての評価も高く、生産拡大やブランド化への取り組みを積極的に進めています。
「やまとみどり」抹茶のティラミス
「やまとみどり」抹茶のティラミス
松本 康之さん
今谷茶園
今谷 直仁(いまたに なおひと)さん
 今谷茶園は代々続く茶農家で、現在の経営面積は約6ヘクタールです。以前は「煎茶」を作っていましたが、現在はほとんどが抹茶の原料である「碾茶(てんちゃ)」です。
 約20年前に碾茶の試作をはじめ、平成20年に県内で初めて碾茶炉を導入して、現在は栽培から加工まで一貫して行っています。初めのころは試行錯誤の連続で、県外の業者に教えてもらったりもしましたが、今では逆に、県内の農家から相談を受けることもあります。
 県と一緒に地域を盛り上げたいと思い、「やまとみどり」の碾茶にも取り組んでいます。「やまとみどり」の抹茶を洋菓子店などで使ってもらったところ、「加熱しても色合いが変わらない」と大変好評です。
 今後は、碾茶に適した品種や、新しい品種にチャレンジしながら、「良いもの」を追求していきたいです。
県内第1号の碾茶炉
県内第1号の碾茶炉
おいしいお茶のいれかた
【 煎茶 】
1 湯飲みの8分目までお湯を入れる。1人分90ml(上級煎茶は60ml)程度。
2 急須に茶葉を入れる。1人分3g(ティースプーン2杯)程度。
3 湯飲みのお湯を急須に入れ、1分ほど待つ。
4 湯飲みに均等に「廻し注ぎ」をする。
ポイント
 上級煎茶ほど、お湯の温度を冷まして(60~70℃)から急須に入れると、よりおいしいお茶が楽しめます。
 急須のお茶は最後の一滴まで注ぎましょう。
【 冷茶 】水だしポットでお手軽に!
1 耐熱の水出しポットに茶葉を入れる(お湯で作る時よりも多めに)。
2 茶葉がひたる程度に、少量のお湯を入れる。
3 茶葉が開いたら湯冷ましした水を加え、冷蔵庫で冷やす。
ポイント
 お湯を入れずに湯冷ましした水で抽出すると、渋みを抑えることができます。
 作ったお茶は冷蔵庫で保管し、早めに飲み切りましょう。
県農業水産振興課
電話 0742-27-7443
FAX 0742-22-9521
※「県民だより奈良」は県内の各家庭にお届けしています。
 市町村窓口、県の施設などにも配置しています。
※点字と声による「県民だより奈良」も発行していますので、必要な方は県広報広聴課へご連絡ください。
 県では、経費削減のために、「県民だより奈良」の裏表紙に有料広告を掲載しています。
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お問い合わせ

広報広聴課
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