2年前に配偶者を亡くし、しばらく家に引きこもりがちになっていた友人と再会しました。当時から配偶者の体調が悪かったようですが、突然ではなかったにせよ、家族の死に直面した心の痛みは計り知れません。友人の顔からは表情が消え、話しかけても言葉が返ってこない状況でした。 再会した友人は、以前にも増してよくしゃべり、何かと人の世話をやいていました。お悔やみの言葉につまる私に、友人は生前、夫婦で始めた地域活動の事などを楽しそうに語りました。この2年間の事を聞くと、同じく家族を早くに亡くした仲間が外に連れ出してくれたのをきっかけに、元気を取り戻したとのことでした。 家族との死別はもとより、健康、体力、仕事などその人にとってかけがえのないものを失うことは、ある意味、生きている限り避けられません。しかし、その悲しみを乗り越えていく過程が、生きる希望をつくり、残りの人生においても大きな意味をもたらすのではないでしょうか。この友人は、仲間に支えられ悲しみを乗り越え、それを今、夫婦の思い出深い地域に返すことでより良く生きようとしています。この人になら、きっと私も、本当に困ったときに助けを求めていけると思うのです。
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