意見書第7号
CSF(豚コレラ)の防疫対策等の強化を求める意見書
平成30年9月に国内では26年ぶりとなるCSFが、岐阜県の養豚場において発生してから1年以上が経過しているが、愛知県、三重県、福井県、埼玉県、長野県など感染地域の拡大が続き、これまでに14万頭以上の豚が殺処分されるという悲惨な状況となっている。
また、野生のいのししへのCSFの感染も岐阜県をはじめ、これまで、愛知県、三重県、福井県、長野県、富山県、石川県、滋賀県、埼玉県などへ拡大し、1千頭を超える野生いのししの感染が確認されている。
このような状況の中、これ以上の感染拡大を食い止めるために一層の対策強化が強く求められている。
本県では、隣接する三重県において農場でのCSF発生、感染した野生いのししの確認が認められていることから、国に対して予防的ワクチン接種の実施や飼養衛生管理基準の厳格化やワクチン接種に伴い生じる農家の経済的負担の軽減を求めている。またワクチン接種地域と非接種地域間の精液や肥育素豚の流通が制限されることから、県内養豚農家では、肥育素豚及び精液等の入手が制限されるなどの影響が出ており、経営の維持継続への大きな不安と、感染防止対策への費用負担に対する懸念の声が聞かれている。
国においては、養豚農家が安心して養豚経営を維持継続できるよう、次の事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。
1 感染が認められた県の隣接県においても、ワクチン接種推奨地域として速やかな予防的ワクチン接種を可能とするとともに、必要となるワクチンを確保すること。
2 ワクチン接種推奨地域から、接種区域以外の地域への肥育素豚及び精液等の入手や販売先の確保に支障が出ていることをふまえ、肥育素豚や精液等の供給及び確保について円滑に図れるよう、国が責任をもって斡旋を行うこと。
3 養豚農場やと畜場へのCSFウイルスの侵入防止に万全を期すべく、国が対策に必要な予算を継続的に充分確保し、農家負担を軽減すること。
4 来年度に改正が予定されている衛生管理基準の厳格化をふまえ、農家負担を軽減するための対策を講じること。
5 CSF感染が疑われる事案や感染が確認された場合に、迅速かつ的確な措置を講じることができるよう、検査機関が行う業務への十分な予算を確保すること。
6 国が責任をもって風評被害の防止に努めるとともに、仮に風評被害等による養豚農家及び流通業者の損失が生じた場合において、補償制度の拡充等、適切な措置を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和元年12月16日
奈 良 県 議 会
(提出先) 衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
農林水産大臣
CSF(豚コレラ)の防疫対策等の強化を求める意見書