意見書第9号

意見書第9号

 

文化財の防火対策の推進を求める意見書

 

 10月31日未明に発生した首里城の火災により、500を超える文化財が焼失しました。このことは多くの国民、世界の人々に大きな衝撃と深い悲しみを与えています。

 4月にフランス・パリのノートルダム大聖堂において火災が発生したことを受け、文化庁が行った緊急調査の結果によると、全国の世界遺産又は国宝である建造物のうち、消火設備の整備・改修後30年以上経過したものが約2割あり、老朽化による機能低下のおそれがあることが判明しています。

 文化財は、長い歴史の中で生まれ、今日まで守り伝えられてきた大切な財産であるとともに重要な観光資源です。また、我が国の文化財の多くが木造建築物であり、たびたび火災による甚大な被害を受けてきたことから、文化財の保護はもとより、観光客等の安全を図るためにも、万全の防火対策が求められます。

 こうした中、国は国宝・重要文化財(建造物)の防火対策ガイドラインを定めるとともに、世界遺産や国宝を中心とした防火設備の設置補助等に取り組んでいますが、文化財の中には個人所有のものもあり、管理に必要な資金や人材の確保に継続的な支援が必要です。

 よって、本議会は、国会及び政府において、国民共有の財産である文化財を確実に次世代に継承していくため、防火設備の設置・更新への支援を拡充するとともに、文化財保護に関して専門的知識を有する人材が文化財の所有者を援助する仕組みを強化するなど、文化財の防火対策の推進を強く要請します。

 

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

   令和元年12月16日

                                                                                                                      奈 良 県 議 会

 

(提出先) 衆議院議長

      参議院議長

      内閣総理大臣

      財務大臣

      総務大臣

      文部科学大臣

 

文化財の防火対策の推進を求める意見書