意見書第11号
「あおり運転」に対する厳罰化と更なる対策の強化を求める意見書
本年8月、茨城県の常磐自動車道で、男性が執拗な「あおり運転」を受けて車を停止させられ、顔を殴られるという事件が発生した。また、平成29年6月には、神奈川県の東名高速道路において、「あおり運転」を受けて停止した車にトラックが追突し、夫婦が死亡している。こうした事件・事故が相次ぐ中、「あおり運転」をはじめとした極めて悪質・危険な運転に対しては、厳正な対処を望む国民の声が高まっている。
警察庁は、平成30年1月16日に通達を出し、道路交通法違反のみならず、危険運転致死傷罪や暴行罪等のあらゆる法令を駆使して、厳正な取締りに取り組んでいるが、いわゆる「あおり運転」に対する規定がなく、防止策の決め手とはなっていない。今後は、「あおり運転」の厳罰化に向けた法改正の検討や更新時講習等における教育の更なる推進及び広報啓発活動の強化が求められるところである。
そこで政府におかれては、今や社会問題化している「あおり運転」の根絶に向け、安全・安心な交通社会を構築するため、次の事項について早急に取り組むことを強く求める。
記
1 「あおり運転」の規定を新たに設け、厳罰化については、危険運転を行った場合のみでも道路交通法上、厳しく処罰される海外の事例なども参考としながら、実効性のある法改正となるよう、早急に検討を進めること。
2 運転免許更新時における講習については、これまでの交通教則による講習に加え、「あおり運転」等の危険性やその行為が禁止されていること及びその違反行為に対しては取締りが行われることについての講習も行うこと。また、更新時講習に使用する教本や資料等に、これらの事項を記載すること。
3 広報啓発活動については、「あおり運転」等の行為が禁止されており、取締りの対象となることや、「あおり運転」を受けた場合の具体的な対処方法等について、警察庁及び都道府県警察のウェブサイト、SNSや広報誌などを効果的に活用し、周知に努めること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和元年12月16日
奈 良 県 議 会
(提出先) 衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
法務大臣
国家公安委員会委員長
「あおり運転」に対する厳罰化と更なる対策の強化を求める意見書