夢だったパティシエとして、自分らしく働けるカフェ&バーを営む
企業基本情報
- 会社名：Sweets café&bar 2.es (スイーツカフェアンドバー ツーエス)
- 創業：2017年
- 業種：飲食業
- 住所：奈良県奈良市西大寺北町1-1-16岡本ビル101
- TEL：0742-93-6828
- URL：http://www.2es.shop/
1. Sweets café&bar 2.es (スイーツカフェアンドバー ツーエス) の特徴を教えてください
「自家製ジェラートで作るパフェとケーキとカクテルのお店」としてオープンして３年目になります。営業時間は11時から23時で、奈良でcafe&barとして営業をしています。飲み会帰りの「〆パフェ」、遅い時間での夜cafeとしてのご利用や、バリアフリーにしてベビーカーでも入れるので、昼間も近隣の幅広い年齢層の方にご利用いただいています。
起業のきっかけや思いを教えてください
もともとはパティシエになるのが夢で、奈良の高校を卒業後に東京の専門学校に進み、その後パティシエとして菓子メーカーに就職しました。
しかしメーカーの仕事は遅くまで働くことも多く、私は「パティシエ」になることが目標だったので、その先の目標が見えなくなり、人間関係などで悩み3ヵ月で退職。まだ20歳の終わりでしたが、これから自分が働き続き続けられるのはどこか、と考えた結果、お店をやろう、私が生まれ育った奈良でカフェ＆バーを開こう！と決意しました。
東京で生活をしているときには、学校や仕事で夜遅くなったときや仲間と飲んだ後などに、夜カフェで甘いものを食べて癒されるのが貴重な時間でした。奈良にも女性が仕事終わりに立ち寄ってスイーツを食べる空間があれば良いなと思ったのです。
25歳までに開業すると決め、開業に必要な資金や知識・ノウハウを得るため、カフェとバーのアルバイトを掛け持ちし、奈良に戻っては物件を探す生活を始めました。1ヵ月間ほぼ休みなしということもありましたが、「起業する」という目標があるから頑張れました。
これまでの困難やご苦労・失敗について教えてください
まず開業前の苦労ですが、物件を決めてから改装も含め、３ヶ月後にはオープンする予定でしたが、オープンまでの短期間に済ませなくてはならない作業が山のようにあり、それを一つずつ実行していくのが大変でした。メニューの中身を考え、価格を設定するために原価を計算してメニューに印刷することや、商標登録、チラシ・ホームページの作成など、思っていたより時間がかかりました。
その中でも一番困ったのが仕入れ先探しです。奈良では働いたことがなかったので、仕入れ先が全く分からず、少量仕入れができない商品もあったので調整に時間がかかりました。その結果、オープンまでの短期間でメニューを見直さなければならなくなり、結局時間のない中で適当に価格をつけることに……。
次に開業後の苦労ですが、2017年6月にオープンしましたが、1年目で赤字が50万円にもなりました。想定どおりの集客や注文がなかったことや価格設定が低いことなどが原因でしたが、一番の失敗が広告宣伝費。まわりがやっていたからと始めた広告は年間40万円近くの出費でしたが、思うように活用できず、利益を出せませんでした。
どのように乗り越えてこられましたか。
開業前の山のような作業については、奈良県よろず支援拠点や奈良県発明協会などの公的な支援機関の窓口を活用することで、手続きなどをスムーズにこなせていきました。
しかし、開業後の集客や客単価については誰かに教えてもらうわけにもいかず、自分で試行錯誤を繰り返すしかありませんでした。
まず、「やらないといけない」と思い込んでいた広告宣伝については、思い切ってやめ、SNSの更新をこまめにし、苦手だった写真も勉強し、Instagramの投稿を工夫することに切り替えました。
そして、お客様に認識していただき、「○○を食べるためにこの店に行こう！」と目的を持って来てもらえるよう看板メニューを設定することにしました。ブームの兆しがあり、作り置きの必要がないのが営業におけるメリットであったパフェをメインに据えることにして、どんなお店なのか目印にするため、お店の外観に大きなパフェの絵を描きました。お客様に飽きられないように、月替りでメニューを考案しています。
どんなに工夫しても赤字のときはやはり落ち込みますが、ときには気分転換で別のお店に行くことで、新たな刺激になったり、別のひらめきがあったりして、初心に戻ることができます。
これまでの成果と今後の目標について教えてください。
開店当時はパフェの種類も少なかったのですが、注文されるお客様が多く、奈良に「パフェを楽しみたいお客さんがもっといるのでは？」と実感していたので、「パフェにこだわってみよう！きっと大丈夫」という漠然とした自信はありましたが、創業３年目に経営が黒字化し本当の意味での自信がついてきました。
自分が働き続けられる場所の土台を自分で作ることができたという達成感もあります。「隣駅で飲んでいたけど、〆のスイーツを食べにきました！」というお客様もお見えになることもあり、嬉しい限りです。
今後は、口コミで期待値が上がっているお客様の期待に応えられるサービスや商品を提供したいです。
将来的には一軒家を買って、カフェを併設したいです。おばあちゃんになってゆるゆるカフェを続けていきたいという夢も持っています。（笑）
事業展開を目指す女性へのメッセージをお願いします
「予測と結果のズレを減らす」ことが起業する上で重要で、やはり事業計画は大切です。立てた予測に根拠があるのか、目の前に見えていることをリサーチしてほしいです。例えば、物件探しの際、エリアのお店の観察をする、決めた物件に張り込んで通行者の行動パターンを探るなどやってみると何かが見えてきます。
次に、漠然とした不安を消すことが大事です。そのためには、何が不安なのかを書き出して、可視化することをおすすめします。
お金は失敗してもどうにかなると思える額を用意するのも大切。
経験者の方に、失敗や挫折をどう乗り越えてきたかを伺っておくことで、失敗しても持ち直せる可能性がある、と前向きに考え、不安を拭い去るのも１つの方法かもしれません。不安と向き合うのは怖いけど、乗り越えるためには向き合わないと、と思います。
(１月30日 取材)
印刷用PDF（杉岡さん記事）(pdf 607KB)