新型コロナウイルス感染症との戦いの最前線の情報をお伝えします

県民だより奈良 2020年 臨時号

臨時特集
新型コロナウイルス感染症との戦いの最前線の情報をお伝えします
~力強い奈良県の復活を県民の皆さまとともに達成します~
新型コロナウイルス感染症にかかる奈良県対処方針(5.15方針)
 奈良県では、県民の皆さまの辛抱強い自粛努力のおかげで、感染拡大がおさまってきました。また、医療従事者の懸命のご努力により、医療体制が維持されています。
 心から感謝申し上げます。
出口戦略が必要となってきています。
 現在、新規感染者の発生は、次の感染者増加の危険性は存在するものの、県内、近隣地域、全国で低下傾向にあり、活動自粛による地域社会経済へのダメージを考えると、「感染拡大防止」に努めながら、「社会経済活動の自粛緩和」を共に行う体制への移行を検討すべきものと思われます。

 奈良県では、「出口戦略検討会議」を設置し、その意見を踏まえて、これからとるべき対処方針を策定しました(5月15日)。県民の皆さまのご理解とご協力を得た上で、対策を果敢に実行し「新型コロナウイルス感染防止対策」と「域内社会活動の正常化と経済活動の活性化」を両立させようとしています。

 このたびの戦いは、姿の見えないウイルスとの戦いであり、長期戦になる可能性も高いですが、辛抱強く、賢く対処し、最終的に力強い奈良県の復活を目指したいと思います。
これまでの感染状況について分かってきたこと
1
これまで奈良県で判明した感染者(90件)の感染経路の推定分析の結果です。
全感染判明者(90件)のうち
県外で感染したのは 46件
うち勤務地大阪の感染 27件
県内で感染したのは 27件
うち家族での感染 21件
(家族感染のうち大阪由来 11件
不明の者 17件
感染経路の推定分析の結果
2
感染経路の推定分析から学べること
1 感染経路は大阪関連のものが多い 44件/90件(48.9%)
(勤務地大阪27件+ 大阪由来の家族感染11件+ 大阪での会食・集会参加6件)
勤務先での感染リスクを低減する工夫は必要
通勤途上でうつらない、うつさない工夫は必要
大阪での感染者判明の状況を常に注視し続ける必要があるものと認識
2 家族への感染が多い(全感染の1/4
無自覚での家族への感染を避けるための行動が必要
3
感染時期の推定分析から学べること
感染したと推定される日から発熱等の症状が出るまで、2週間程度の幅があり、その間、家族や他人にうつしたり、感染を自覚していない他人からうつされることがある。(他人に感染させる可能性が高まるのは、発熱、咳、倦怠感、味覚・嗅覚障害などの症状が現れる2~3日前とされている。)
症状がなくても油断せず、うつらない、うつさない行動を心がけることが必要です。
4
奈良県及び大阪で判明した新規感染者数は最近おさまりつつあります。
5
これまで奈良県の医療体制の機能は維持されてきました。
6
他の地域であったような、医療機関、福祉施設、大規模集会会場での多発感染は、県では発生しませんでした。
当面の行動自粛についての考え方
感染者判明の状況等から奈良県の置かれた状況(フェーズ)を判断しました
1
行動自粛については、3つの段階を判定しています。
フェーズ1 県内及び近隣地域の新規感染判明者が増加し、
強い行動自粛の要請が必要な状況
一般的な外出自粛要請
(行動規範レベルⅠ)
フェーズ2 県内及び近隣地域の新規感染判明者が低水準で低下傾向 一般的な外出自粛要請を緩和
感染リスクの高い場所・集会への訪問自粛を要請
必要な感染リスク低減配慮を要請
(行動規範レベルⅡ)
フェーズ3 県内及び近隣地域の感染判明者がほとんど見られず、
新規判明増加の傾向も発見されない
外出行動自粛をさらに緩和
必要最低限の感染リスク低減の要請は維持
(行動規範レベルⅢ)
2
3つの段階の判断は、7つの判断基準で行います。
基準1
県内及び大阪での新規感染判明者数の水準が抑えられているかどうか
基準数値
県内の人口10万人当たり新規感染判明者数により判断
フェーズ2 直近1週間で0.5人未満
フェーズ3 直近2週間で0.1人未満
新規感染判明者数は奈良・大阪とも減少傾向
[ 新型コロナウイルス新規感染判明者数 推移
奈良県 直近1週間の新規感染判明者数
大阪府 直近1週間の新規感染判明者数
基準2
新規感染判明の段階での感染経路が明確かどうか
基準数値
直近1週間における新規感染判明者に占める感染経路不明者の割合1/2未満を基準に判断
[ 奈良県の感染判明者の発表時点における感染経路不明者の数(1週間毎) ]
奈良県の感染判明者の発表時点における感染経路不明者の数
基準3
感染判明者は全て病院や施設で治療・療養ができているかどうか
基準数値
自宅療養ゼロが維持されているかどうかで判断
これまでの感染判明者の数90人
すぐに入院
これまでの入院者数90人
うち軽症で宿泊療養施設に移った者6人
PCR検査判定後2日以内に全て入院
・入院後検査 7人
・当日入院 54人
・1日後 27人
・2日後 2人
基準4
感染判明者の入院、重症患者の受入及び宿泊療養施設の受入の容量に充分な余裕があるかどうか
基準数値
占有率:50%未満を基準に判断
[ 入院・宿泊療養の体制と占有率 ]
[ 出口戦略策定時(2020年5月14日現在) ]
入院(6病院) うち重症患者(3病院) 宿泊療養(ホテル1棟)
対応可能数 240床 18床 108室
占有者数 13人 0人 1人
占有率 5.4% 0% 1.0%
空き容量 227床 18床 107室
基準5
感染判明後の感染経路の推定に充分な明確さがあるかどうか
基準数値
感染経路推定の分析が感染拡大防止に効果的な程度に達しているかどうかで判断
[ これまでの感染経路の推定 ]
これまでの感染経路の推定
基準6
新規感染判定の体制が整っているかどうか
PCR検査の体制
PCR検査の判定数、検体採取数が必要と考える数値を上回っているかどうかで判断
1日あたり可能な検査判定数 150件、最近のピーク時の実績 97件
1日あたり可能な検体採取数 100件、最近のピーク時の実績 86件
PCR検査の迅速性
PCR検査の検体採取から判定までの日数の平均が2日以内、最大が4日以内で行われているかどうかで判断
(参考)奈良県が行ったPCR検査の陽性率3.6%( 85人/2,383人)
検体採取から判定までの日数 感染判明者90件中、70件が2日以内
基準7
感染拡大防止の措置の実効性が充分かどうか
基準数値
行動自粛率:各項目の自粛の率が、感染拡大防止に効果的な程度に達しているかどうかで判断
外出自粛率
大型連休中、県内において人出が減少
(例 5/6の近鉄奈良駅の人出 対前年 -51.6% 感染拡大以前※との比較 -46.6%)
※1~2月の休日平均
営業自粛率
多くの事業者が県の要請に協力
(例 パチンコ店:GW後半、県内全77店休業)
集会自粛率
県内において各種イベントが中止
(県主催の全イベント:中止または規模縮小)
施設利用率
公的施設の大部分が利用停止
(全ての県有施設:貸館・展示等や運動施設の利用を休止)
開校・閉校率
野迫川村を除く、全ての国公私立小中学校が臨時休業又は在宅教育を実施
3
最近の状況について、上記のような判定を行い、現在は フェーズ2 の段階にあるものと判断
これまでの自粛要請を、県民・事業者の皆さまが誠実に実行していただいたおかげで、感染拡大抑止に実効性がありました。感謝申し上げます。
出口戦略の具体的な取組方策
基本戦略 1
コロナ感染対応及び従来医療の両方の医療機能の水準を維持する。
作戦1
コロナ感染対応医療をできるだけ分離独立したものにし、既存の医療体制に悪影響を及ぼさないようにする。
1 新型コロナウイルス感染症を扱う病院での対応
病院玄関前で検温・問診を行い、発熱等の症状がある者を別場所に誘導して診察
2 発熱外来などでの対応
3 既存の病院、クリニックでの注意
発熱などの症状がある方には、事前に連絡するように周知 など
4 新型コロナウイルス感染症に対応した医療体制の再構築
新型コロナウイルス感染症を扱う病院での対応
作戦2
コロナ感染者の早期発見に努める。
域内及び医療機関、福祉施設の二次感染防止を図る。
1 対象者の拡大
発熱症状など感染の心配のある方は、全員を速やかに診察可能とする など
2 検査体制の拡充
PCRファックス依頼開始 5/1
発熱外来クリニック開設 5/中旬~(西和医療センター5/27、橿原市、奈良市)
抗原検査の活用
ドライブスルー方式のイメージ
ドライブスルー方式のイメージ
作戦3
感染判明者は全員入院させ、重症化予防と第二次感染予防を徹底する。
重症者には、薬剤や人工呼吸器等により集中治療を行う。
医療機能維持のため、軽症と判断した方は宿泊施設での観察保護を行う。
現在 出口戦略策定時(2020年5月14日現在)
感染判明者数 入院 うち重症者 宿泊療養
14人 13人 0人 1人
[対応可能数] 6病院
[240床]
3病院
[18床]
ホテル東横INN
奈良新大宮駅前
[108室]
感染症指定医療機関
感染症指定医療機関
感染症指定医療機関
宿泊療養 施設室内
宿泊療養 施設室内
帰国者・接触者相談センター
電話 0742-27-1132
FAX 0742-27-8565
24時間(平日・土日祝)
作戦4
医療機関及び福祉施設での多発感染を絶対発生させないことを目標に、発生予防、必要物資の供給、勤務環境の良好化を徹底する。
1 医療機関等でのクラスター発生予防の徹底
2 医療従事者等への必要物資の供給
3 勤務環境の良好化
新型コロナウイルス感染症対策基金による支援
医療従事者等に宿泊費を補助
基本戦略 2
長期戦になるのを覚悟して、適時適切な行動規範遵守による感染拡大防止と社会経済活動の自粛緩和を両立させる。
作戦5
県外からの感染及び県内での二次感染の防止並びに家庭内での感染防止のための行動規範(コードオブコンダクト)を確立し、県民に遵守をお願いする。
1
フェーズ2 における行動自粛の具体的内容(行動規範レベルⅡ)
大都市との往来自粛
通勤など生活の維持に必要な場合を除き、大都市との往来は自粛
やむを得ない往来ではうつらない対策を徹底する
うつる可能性のある場所(繁華街の接客を伴う飲食店等)への訪問を避ける
2
フェーズ2 においてお勧めする行動規範
働き方のスタイルを見直して出勤
手洗い、手指消毒、身体的距離確保、室内換気の徹底
出勤前の体温測定、発熱・風邪症状では出勤自粛
在宅勤務、フレックスタイム、オンライン会議・名刺交換の推進
感染防止に配慮して買い物
ひとりまたは少人数ですいている時間に
レジに並ぶときは、間隔を空けて
十分な感染予防対策をとって行う娯楽・スポーツ
公園利用は、すいた時間、場所を選ぶ
ジョギングや自転車も少人数で間隔を空けて
感染防止に配慮して外食
大皿での取り分けを避け、料理は個々に注文、会話は控えめに
新型コロナウイルスの感染経路として飛沫感染のほか、接触感染に注意が必要です。
人は、“無意識に”顔を触っています!
そのうち、目、鼻、口などの粘膜は、約44%を占めています!
ウイルスが付着した手で目や口、鼻を触ると、ウイルスは粘膜などの細胞に付着して入り込んで増えます。
ウイルスは粘膜に入り込むことはできますが、健康な皮膚には入り込むことができず表面に付着するだけと言われています。
石けんを使った手洗いはコロナウイルスの膜を壊すことができるので、有効です。
(参考文献)Yen Lee Angela Kwok,Jan Gralton, Mary-Louise
McLaws. Face touching: A frequent habit that has implications
for hand hygiene.Am J Infect Control.2015 Feb 1; 43(2): 112-114
3
感染者の発生をできるだけ予知し、感染者増加の兆しがあると判断すれば、速やかに行動自粛について注意喚起を行う。
また、必要があると判断した場合には、行動自粛のレベルを引き上げる。
1 兆しの判断
大阪で新規感染判明者が出始める
奈良で新規感染判明者が出始める
2 行動自粛の注意喚起の判断
大阪、奈良での新規感染判明者の出現が連続し始めた場合
3 行動自粛のレベル引き上げの判断
大阪、奈良での新規感染判明者が増加し始めた場合
レベル引き上げは判断基準(1)~(7)に従って行う
判定はできるだけ客観基準による
4 出口戦略検討会議に、「(仮称)フェーズ・レベル判断部会」を設置し、予知の仕方の研究、レベル引き上げにかかる客観基準の策定を実施
作戦6
感染防止策を継続的に実行することを前提に、地域の社会経済活動を段階的に緩和し、感染拡大の兆しが再び現れた時は、迅速に感染防止策を強化する。
事業者に施設に応じた感染防止策の実行をお願いする。
今後の経済活動活性化と生活困難者への支援
戦略 1
コロナ感染拡大の危険性が継続する中での経済活動活性化の方策を探り実行する。
作戦1
経済活動が停滞する中、生き残りをかけて国、県、市町村が提供する支援措置を最大限活用していただく。
作戦2
国の第2次補正予算において、家賃など固定費の負担軽減雇用調整助成金の上限額アップと申請手続きの容易化国の臨時交付金の飛躍的増額等が措置されるよう働きかけるとともに、措置された場合の県内活用を速やかに行う。
作戦3
観光地奈良として、来訪される方にうつさない配慮を求めるとともに、地元従業員にうつらない配慮と観光施設において感染防止対策を徹底する。
作戦4
これまでの働き方のスタイルを見直して、見えない感染源が身近に存在するとの前提で、感染症とも共存できる経済活動体制を構築する。
作戦5
感染症と共存しながら経済活性化を図る覚悟で、その手法を研究し、実行する。
戦略 2
生活困難者への支援措置について、その方策を検討し、実行する。
作戦1
感染症による社会経済活動が停滞する中での、生活困難発生の実態を調査する。
作戦2
生活困難発生の実態調査を踏まえ、その方策を検討する。
知事のひとこと
 県民だより臨時号をお届けします。県民の皆さま、事業者の皆さま、医療従事者の方々との総力戦で、新型コロナウイルスに負けないよう闘っています。生命を守り、生活、経済を再興させる戦いの最前線の情報をお伝えしたいと思います。
 長期戦も覚悟して、防御を怠らないようにし、この嵐の中でもしっかりと力を蓄え、嵐が静まれば力強い歩みができるよう、日々必死の思いで作戦を練っています。
 これまで県民の皆さまの辛抱強い自粛努力のおかげで、感染拡大はおさまってきていますが、第二波、第三波は来ると覚悟して、次に備えたいと思っています。『新型コロナウイルスには絶対に負けない。』との強い信念を持ち、この戦いから学んだことを今後の奈良県の安全と繁栄に最大限活かしていきたいと思っています。
奈良県知事
荒井 正吾
日常生活で注意すること
手洗(てあら)い
帰宅時(きたくじ)や調理(ちょうり)の前後(ぜんご)、食事前(しょくじまえ)などは、こまめに手(て)を洗(あら)いましょう。

1
流水で手を濡らし、石けんをつけ、手のひらをよくこすります
流水(りゅうすい)でよく手(て)をぬらした後(あと)、石(せっ)けんをつけ、手(て)のひらをよくこすります
2
手の甲をのばすようにこすります
手(て)の甲(こう)をのばすようにこすります
3
指先・爪の間を念入りにこすります
指先(ゆびさき)・爪(つめ)の間(あいだ)を念入(ねんい)りにこすります
4
指の間を洗います
指(ゆび)の間(あいだ)を洗(あら)います
5
親指と手のひらをねじり洗いします
親指(おやゆび)と手(て)のひらをねじり洗(あら)いします
6
手首も忘れずに洗います
手首(てくび)も忘(わす)れずに洗(あら)います
石(せっ)けんで洗(あら)い終(お)わったら、十分(じゅうぶん)に水(みず)で流(なが)し、
清潔(せいけつ)なタオルやペーパータオルでよく拭(ふ)き取(と)って乾(かわ)かします。
咳(せき)エチケット
バツ
何もせずに咳やくしゃみをする
何(なに)もせずに咳(せき)やくしゃみをする
バツ
咳やくしゃみを手でおさえる
咳(せき)やくしゃみを手(て)でおさえる
他(ほか)の人(ひと)にうつさないための3つの咳(せき)エチケット
マル
マスクを着用する(口・鼻を覆う)
マスクを着用(ちゃくよう)する(口(くち)・鼻(はな)を覆(おお)う)
マル
ティッシュ・ハンカチで口・鼻を覆う
マスクがない時(とき)
ティッシュ・ハンカチで口(くち)・鼻(はな)を覆(おお)う
マル
袖で口・鼻を覆う
とっさの時(とき)
袖(そで)で口(くち)・鼻(はな)を覆(おお)う
正(ただ)しいマスクの着用
1
鼻と口の両方を確実に覆う
鼻(はな)と口(くち)の両方(りょうほう)を確実(かくじつ)に覆(おお)う
2
ゴムひもを耳にかける
ゴムひもを耳(みみ)にかける
3
隙間がないよう鼻まで覆う
隙間(すきま)がないよう鼻(はな)まで覆(おお)う
新型コロナウイルスに関する最新の情報は、奈良県ホームページで確認いただけます。
URL www.pref.nara.jp
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