議事概要9

平成20年度第1回人権施策協議会 議事概要


1 開催日時
      平成20年5月27日(火) 午後1時~午後2時30分

2 開催場所
   奈良県庁5階 第1会議室
     奈良市登大路町30番地

3 出席者

委員:

平沢会長、寺澤副会長、野口委員、杉井委員、播磨委員、高橋委員、松本委員、リングフォーファー委員、吉川委員、森下委員

 

事務局:

松永くらし創造部長、岡口くらし創造部次長、三宅文化観光局次長、古市障害福祉課長、仲尾人権施策課長、加藤男女共同参画課長、畑中健康増進課長、井上長寿社会課長補佐、筒井こども家庭課長補佐、山本教育委員会事務局理事、吉田学校教育課長、土谷人権・社会教育課長


4 議 題
(1)奈良県人権施策協議会の会議の公開について
(2)奈良県人権施策協議会の開催予定について
(3)人権についての県民意識調査の実施について
  1.部会の設置について
  ※配布資料
   資料1 奈良県人権施策協議会の公開等の取扱いについて(案)
      資料2 奈良県人権施策協議会の開催予定表
      資料3 人権に関する県民意識調査について
      資料4 奈良県人権施策協議会規則

5 議事内容

○会長及び副会長の選出

 協議会規則第3条の規定に基づき、委員の互選により、平沢委員が会長に、寺澤委員が副会長に選出された。

 

○議題(1)奈良県人権施策協議会の会議の公開について

審議の結果、原案(原則公開)どおり承認された。

[委員意見要旨] 

・公開の方法として、NPOの人など外部から議事関係者を招いて、生の意見を聞いたり、説明を受けたり、また質問したりするといったスタイルでもできないか検討したい。

 

○議題(2)奈良県人権施策協議会の開催予定について

審議の結果、原案(今年度は協議会は3回、部会は4回開催予定)どおり承認された。

○議題(3)人権に関する県民意識調査の実施について
審議の結果、部会を設置して進めていくことが承認された。

部会委員については、協議会規則第7条の規定に基づき、平沢会長から、平沢委員、寺澤委員、野口委員が指名され承認されるとともに、必要に応じて協議会委員以外から加えられる学識経験者については会長一任とされた。

[委員意見(質問)要旨]

・外国籍の人の標本数の基準及び抽出はどのようにするのか。また、前回調査ではどう分析したのか。
・具体的な調査、例えば、美術館、図書館、博物館などの公共施設における外国人観光者等に対するアクセスビリティの調査や公共施設でのソーシャル・インクルージョンを点検する調査やワーキングプア、フリーター、引きこもりの人たち対する調査など、一つずつ具体的なものを調査して、施策に反映させていく必要がある。
・人権啓発、キャンペーンの観点から、例えば、平城遷都1300年記念事業に向けて、もてなし度を切り口にするというような工夫が人権施策につながる。
・実態も含めた調査の組み立てにできないか。また、性別、年齢等の相関関係が比較できるような取り組みをしてもらいたい。
・前回調査から5~6年経つが、おそらく数%の変化しか出てこないだろうから、あまり具体的に施策に反映できないのではないか。
・いままで取り組んできた人権施策の効果測定をするとしても、把握するのが難しい。
・人権問題全般を対象にした意識調査をするのではなくて、何かに絞り込んだ調査にすべきではないのか。例えば、10年ごとに全般的な調査をし、その合間の5年目については個別的な課題に絞った調査をした方が意味のある結果が出るのではないか。
・滋賀県とか大阪府や兵庫県でも調査されており、数%の違いがあるが、それくらいの違いを取り出したところであまり意味がなく、他府県がやってないようなモデルになるような調査をした方がよい。
・ソーシャルインクルージョン、子どもの人権、男女共同参画とか、テーマを絞り込まないと本当の意識や因果関係といったものが取り出せない。
・前回の調査結果では、年齢別、男女別、職業別、地域別での属性別にデータの分析が行われているが、こういうような形の調査、分析でいいのかどうか議論する必要がある。
・一般的に年代が若くなるほど非合理的な考えでなく、いわるゆる人権意識は高まるということを従来想定して人権意識調査し、そういうデータも出ていたと思うが、滋賀県(H18/11)と大阪府の調査では、必ずしもそうではなく、滋賀の調査だと20代の回答傾向と60~70代の回答傾向が非常に似通っており、そういうことは全般的な意識調査をしてみえてくることから、全般的な意識調査にも意味がある。
・都市部とそうでないところとでは、情報に格差があり、例えば、都市部ではここ行けばいいとかここは親切だとか、障害児を連れって行っても受け入れてくれるところがあるとか情報が集まるが、そうでないところではそうした情報が出てこない。一般的な意識調査でそういうことが掴めるのかどうか。県下一律ではなく、特に山間部ではきめ細かい調査をしてほしい。
・住民基本台帳からの抽出といった手法が、今日の課題を上手く吸い上げるためにふさわしいのかどうかということも点検していかなければいけない。例えば、就労者に対するワーキングプアの割合は、6年前と今では大きく変わっただろうし、生活と乖離した調査結果にならないようにするための工夫をしていただきたい。
・人権問題、生活について突っ込んだ意識を把握するためには、NPO等の当事者の声をあわせていかないと人権意識の読み取りは難しい。
・地域格差については、行政がいろいろな努力をしており、自治体、団体において、独自に人権に関わっての意識調査をやっている。
・市町村啓発連協や、また今年は奈良で全同教の全国大会もあり、そうした協議会、会議と連携を図る方がよい。
・奈良の課題を調査、把握している県庁内の課、県内の組織等に、資料提供や配慮をしていただきたい。
・設問の数が前回の倍となるということは、多少個別的な要素ができるのではないか。確かに読むには結構たいへんな数で、回収率が下がるのは間違いない。 
・前回の20問を40問にされるということだが、前回の質問用紙は12ページで、回収率が四十数%ということだが、アンケート調査というのはA4で12ページぐらいが限度だろうと思う。40問というのはページ数でいうと20ページぐらいになるが。
・地域別のクロスといったものを把握してもらいたいという意見があるが、サンプル数が前回の5000から今回3000ということになれば、前回の回収数が添上・山辺郡で28、高市郡で23ということから推測して、今回は十数票ということになるため誤差が大きく、この地域はこうだとは言えないことになる。

[事務局回答]
・前回調査(平成15年1月)では、外国籍の人の標本数は、奈良県における外国人登録者数の人口比率を基準とし、抽出方法は無作為抽出であった。また、特に外国籍の方だけを特に抜き出して分析をしていないが、それらのことも相談したい。
・公共施設のソーシャル・インクルージョンとリンクできているのかどうかといえば、バリアフリーという面では、ハードの面あるいは制度の面、文化的な面ではかなり進んでいると思うが、それを受け入れていくアクセスをどう考えていくかという取り組みはまだまだ弱い。ただ、公共施設の意識調査というか取り組みと県民全般の意識というものとは、少し調査の方法が違うと思う。
・もてなしについてお話がありましたが、県では2010年をにらみながら、平成16年度からもてなしの心推進県民運動というものを展開しており、県民運動としてまちづくりとしてやっていかなければいけないという、そうした取り組みをしている。   
・ポイントは、個別的な調査をするのか、普遍的な調査するのかということだが、個別的に調査できればよいが、なかなか予算の確保が難しい。
・6年で若干のパーセントの経年変化が出てくれば、それはそれなりに分析することでこれからの施策に活かしていくという意味がある。できれば一般的な調査をやりたい。その中で皆様の意見をどうその中に盛り込んでいけるのかの工夫はしなければならない。
ただ、質問項目を多くすればするほど、回収率に影響する部分があり、どの辺で妥協点をみいだすのかといった工夫はいる。
・地域別のきめ細かい分析が必要ということについては、前回の分析でも属性によっていろんな分析をしており、質問項目の中に地域別とか年齢別とか男女別とかをどこまで入れていくのか、入れられるのかは工夫しなければいけない。ただ、クロス分析という部分では、前回は不十分だったと思う。単に属性だけではなくて、こういう啓発を受けた人はどういう意識をもっているのか、啓発の回数と意識がどう関連しているのかとかのクロスは十分していかなくてはいけないと思う。
・サンプリングについては、ワーキングプアとかの質的な抽出方法というのは、従来難しかった。今回の抽出で、手法があるなら、工夫していく価値がある。
・質問数を増やすことは、できるだけ幅広くいろんな人権個別課題について掘り下げたい、個別的課題を浮き彫りにしたいという思いから、ひとつの目安として提案した。40問にこだわっているわけではない。
・回収率が落ちるリスクを考えれば、40問は少し多いという議論もあった。

・サンプル数を5000から3000に減らしたのは、予算取りの関係。ただし、市町村別にしてしまうとわずかな数字になるが、信頼度がそれほど落ちるわけではないと思っており、意識の問題で市町村ごとにきちっと分析する必要があるのかどうかと思う。

○その他
[委員意見要旨]
・これからの人権のあり方について、いま市民社会が日本に形成されつつあって、クレーマー社会の中で少しずつ自分たちで法律を作って条例などを作って変えていこうという流れが生まれつつある。例えば、千葉県の障害者差別禁止条例は住民が積み上げて作ったという。そして来年から裁判委員制度が始まると、国民、県民は、法律って何か、それを使って何ができるのかがわかってくるので、多分、法律による社会変革というものが定着してくるのではないか。そのことを奈良県の人権施策の中に意識して、自分たちでいろんな条例を作り、社会制度として組み上げていくという流れをもっていただきたい。
・人権教育や人権啓発にかかわるいろいろな研究会をしているが、市民社会を担う主体性をもった市民をどう育てるのかということが、人権施策あるいは人権教育として非常に重要であるという問題提起がどんどん高まってきている。そのことも人権施策という枠組みで考えなければいけない時代に来ていると思うので、人権施策の枠組みの中でどのように再構築していけるのか、積極的な提案を期待したい。

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