意見書第5号

道路整備などの社会資本整備を計画的かつ着実に実施するために必要な措置を求める意見書

 

 政府は、新型コロナウイルス感染症に対し、総力を挙げて感染拡大防止に努められてきた。しかしながら、この感染症により、国民生活に深刻な影響をもたらしていることから、感染症の収束後には、物流・観光等の経済活動を復興させるための経済対策にしっかりと取り組むことが重要であり、民間における建設投資の減退を補う観点からも、防災・減災、国土強靱化の推進、道路整備の加速化など、将来に向けた投資に戦略的に取り組むことが必要である。  

 一方、政府では、平成30年度から、従来の取組に加えて、災害時に人命・経済・暮らしを守り支える重要なインフラの機能を維持できるよう、予算を大幅に増額し、3年間集中で緊急を要する対策を推進されてきた。

 しかしながら、本県の社会インフラは、依然として脆弱であり、道路整備は他県に比べて大きく立ち遅れ、特に県南部地域については、整備の遅れに起因する課題が山積している。今後も引き続き、県土強靱化対策を強力に推進するとともに、工業団地や観光地へのアクセス道路や安全安心を支える道路の整備を進めていく必要がある。

 また、高度経済成長期に整備したインフラが、一斉に老朽化し、今後、施設の維持管理や更新に必要な予算が増大するため、計画的な予防保全を戦略的に取り入れた老朽化対策の推進も必要である。

 本県の経済・観光等の振興による地方創生を実効あるものにするためには、ストック効果が高い社会資本整備の推進や、通学路対策、老朽化対策など安全・安心な住生活環境の整備等に取り組む必要がある。

 これら社会資本整備の着実な推進のためには、公共事業予算の安定的かつ持続的な総額確保を図るとともに、公共投資の見通しを示し、計画的かつ着実に整備を進めることが極めて重要である。

 よって、国におかれては、次の事項について、措置されるよう強く要望する。

 

1 新型コロナウイルス感染症収束後の物流・観光等の経済活動を迅速に復興するために、道路整備などの公共事業に必要な予算の総額確保。

 

1 令和2年度までの期限的な措置である「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」の継続及びインフラ老朽化対策など対象事業を拡充するとともに、必要な予算の別枠による総額確保。

 

1 中長期的な見通しのもと、安定的・持続的な公共投資計画の策定及び予算額の明示を行い、必要な予算の総額確保。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

    令和2年7月3日

 

                                     奈 良 県 議 会

 

(提出先) 衆議院議長

      参議院議長

      内閣総理大臣

      内閣官房長官

      財務大臣

      総務大臣

      国土交通大臣

      国家公安委員会委員長(国土強靱化担当)

      内閣府特命担当大臣(経済財政政策)

      内閣府特命担当大臣(地方創生・規制改革)

 

道路整備などの社会資本整備を計画的かつ着実に実施するために必要な措置を求める意見書