意見書第10号

                 離婚時における養育費の確実な取決めと履行確保を求める意見書

 

 ひとり親世帯の子どもの貧困問題が深刻化しています。ひとり親世帯が貧困に陥る大きな要因の1つに、養育費不払いがあります。厚生労働省「平成28年度 全国ひとり親世帯等調査報告書」によれば、ひとり親世帯の多くは離婚が原因となっており、母子世帯では42.9%、父子世帯では20.8%しか養育費の取決めを行っていません。
 取決めを行っていても、実際に受けているのは母子世帯の24.3%、父子世帯の3.2%にすぎない状況となっています。養育費は、夫婦間の問題ではなく、子どもの権利であり、子どもが健やかに成長するために必要な費用です。
 よって、本議会は、養育費確保のため、政府に対し、次の施策が実施されるよう要望します。

 

                                                    記

 

1 未成年の子どもがいる夫婦が離婚する場合は、強制執行が可能な形で養育費の取決めを行うよう、義務付けること。

 

2 社会全体で子育てを支援するという観点から、養育費の履行を確保するため、行政機関が一時立替を行う欧米諸国の例や、兵庫県明石市で2018年11月から12月に試行された「養育費立替パイロット事業」の状況を踏まえて、公的関与の拡大の検討を速やかに進めること。

 

3 養育費が支払われない原因や子どもに与える影響を調査するとともに、養育費のみならず、面会交流など離婚時における取決めは、子どもの権利擁護として確実に履行されるよう、離婚成立前からの支援と相談体制の構築を制度化すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

   令和2年10月16日
                                                     奈 良 県 議 会

 

  (提出先) 衆議院議長

        参議院議長

        内閣総理大臣

        内閣官房長官

        法務大臣

        厚生労働大臣

 

  離婚時における養育費の確実な取決めと履行確保を求める意見書