衣田雅人
ヒラタケの培養温度を22℃と30℃に設定し、培養中のびんの外と内の温度差と栽培日数、子実体収量を調べた。びんの外と内の温度差は、22℃培養区で0.5~1.8℃、30℃培養区では1.0~3.1℃であった。培養日数はいずれもほぼ同じであったが、1びん当たりの子実体収量は22℃培養区が79.8g、30℃培養区が67.9gであった。
渡辺和夫
ブナシメジ栽培の培地材料として、キノコーン、コーヒーかす、オルガK2および鹿沼土をとりあげ、添加条件を検討した。また鹿沼土の添加により、培養過程における酸素吸収量がどのように変化するか検討した。キノコーン、コーヒーかすと鹿沼土の添加には、子実体の増収効果が認められた。鹿沼土の添加により、培養過程における酸素吸収量は増大した。
福本通治・藤平拓志
スギ・ヒノキ同齢混交林の直径分布にワイブル分布を適用すると、31調査地のうち12調査地で10%レベルでワイブル分布と有意な差があった。樹種別では、スギで5調査地、ヒノキで6調査地でワイブル分布と優位な差があり、樹種別の直径分布の方が全体の直径分布よりワイブル分布の適合性が良かった。
天野孝之
ササユリ(Lilium japonicum Thumb.)の種子を高温(30℃)処理後無菌播種、中温(23℃)処理を行い、発芽、小球形成・本葉出葉の時期を週単位で調べた。
中温処理は初期の発芽率を高めたが、最終発芽率は無処理よりも低かった。しかし初期発芽球根は最終調査時までに直径約2~2.5cmにまで肥大した。
米田吉宏・片山紀一・柴田叡弌・和口美明
ケヤキ・ミズメおよびシオジの繁殖様式を明らかにするために、開花結実状況、種子の散布範囲、種子の稔性と発芽を調査した。ケヤキは1988年、ミズメは1987年が豊作であったが、シオジは3年連続凶作であった。種子の散布範囲は、ケヤキとミズメは樹冠先端から30~40m程度、シオジは10~20m程度であった。種子の充実率や発芽率は豊作年で高く、凶作年で低かった。
西川禎彦
発根促進剤としてIBAとNAAを用いた結果、スギさし木の発根促進にはIBAが有効であった。IBAとNAAともに処理濃度を変えることによって、クローンの得苗率に変動がみられたが、NAAは処理濃度が高くなるほど枯損が多くみられた。IBAに24時間浸漬した結果、吉野8と吉野61は50ppm濃度でも得苗率は高いが、宇陀27、吉野23及び宇陀31は200ppm濃度で得苗率が高かった。
西川禎彦・岡崎 旦
スギ精英樹次代検定林の10年時生長調査より系統の評価を行った。偏差値による評価では、樹高で10系統、胸高直径で4系統が生長良好であった。また、このうち吉野49、宇陀3、宇陀13、宇陀18及び宇陀30は、どのような立地条件においても樹高生長が良好であった。
生長が悪かったのは、樹高で6系統、胸高直径で5系統であった。このうち樹高と胸高直径ともに生長が悪かった吉野9と宇陀26は、採種園から除去する計画である。
河合昌孝
ゼンマイ苗の生産のために胞子葉の培養を行った。
胞子葉を基本培地に置床すると、胞子が発芽して前葉体を生じた。前葉体は分割して移植すると分裂して増殖した。前葉体の塊を培養し続けると胞子体を生じた。培養により生じた胞子体は馴化することができ、その後旺盛に生長し、約1年で本畑へ移植できる大きさになつた。組織培養によりゼンマイ苗の短期大量増殖ができた。