天野孝之
ササユリは地下遅発芽型と言われているが、試験管内培養を行うと一般の植物と同じように翌春発芽し本葉が発生する。培地にGA3を添加すると種子の発芽促進に効果があることが確認できた。GA35.0mg/1処理は、高温処理を行うことよりも早期発芽を誘導する効果がある。またBAPは0.5-10.0mg/1の範囲内で発生してきた芽条にすべて形態異常が発生した。
天野孝之
着蕾に必要な草丈は約50cm以上であり、葉枚数は約10枚以上である。地際直径が4mm上だとほぼ着蕾する。しかし肥沃地では、これよりも小さな個体でも着蕾する。自然発芽した子球あるいは組織培養で増殖した子球は、肥培管理および日照調節を行うことにより、成長相から成熟相への相転換を速めることができると推察された。
米田吉宏・片山紀一・和口美明・隅 孝紀・西川禎彦・河合昌孝
広葉樹を枯死させるために2倍に希釈したグリホサート(商品名:ラウンドアップ)を注入処理した。手引き書どおりの使用量を注入した結果、胸高直径10cm以下の枯死率は88.0%、10~20cmは56.5%、20cm以上は11.1%であった。胸高直径10cm以上の立木を枯死させるには手引き書どおりの使用量では効果が小さいので、グリホサート使用量を増やす必要がある。
西川禎彦・天野孝之・河合昌孝・岡崎 旦
フェルマットは雑草木の生育を抑制したが、ヤシガラマットは雑草木が突き抜けてきた。造林木が小さいとマット周囲の雑草木は造林木に被いかぶさってくるので下刈作業が必要である。また、造林木が大きくても、つる類が造林木の枝や幹に巻き付いてくるのでつる切りが必要である。マットを設置した造林地での下刈作業は、刈払機を用いない方がよく、また、急傾斜地での労力の軽減は期待できなかった。
西川禎彦
15年時生長調査の結果、樹高及び胸高直径の生長がよかった精英樹クローンは吉野10、吉野23及び宇陀18であった。また、ともに悪かった精英樹クローンは宇陀23及び宇陀26であった。精英樹クローンの樹高の初期生長について、15年時の成績順位は、苗畑における養苗期の苗木の生育状況でほぼ判断でき、5年時の生長調査でクローン特性が把握できるものと考えられる。
米田吉宏・柴田叡弌・和口美明
吉野郡天川村洞川にある33年生のカラマツ人工林で林分調査および樹幹解析を行い、この林分の成長経過について検討した。樹高成長は信州地位Ⅰのカラマツ人工林や東北地方一等地のカラマツ人工林の成長と対応していた。直径成長については樹冠長率を高くすることで成長を促進させることができると考えられる。
福本通治・藤平拓志
林分密度管理図を用いてスギ人工林の林分材積を推定する場合、林齢が高くなればなるほど実測材積と推定材積の誤差が大きくなるため、実測平均胸高直径または実測ha当たり断面積を用いて補正する必要がある。
衣田雅人
ヒラタケのプロトプラストに高温処理をして得られた再生2菌株が、実際の栽培においても耐高温性であるかを判定するために、菌糸伸長適温を調べ、培養温度20~35℃に設定して栽培試験を行った。その結果、菌糸伸長はいずれの菌株も30℃で最大になり、培養温度が33℃、36℃と高くなれば緩慢になった。また、収穫量も培養温度25℃で最大になり、培養温度が30℃、35℃と高くなれば収穫量も減少したため、耐高温性株とは考えられなかった。
衣田雅人
ヒラタケ、エノキタケおよびブナシメジのびん栽培における合理的な環境制御を行うための基礎資料を得ることを目的として、接種後から収穫までの酸素消費量の変動を調べた。栽培期間の短いヒラタケやエノキタケは、ほぼ同じような変動パターンを示したが、栽培期間の長いブナシメジの酸素消費量は、びん内に菌糸が蔓延してから菌かきまで、わずかに増減を繰り返しながら横這いで推移した。酸素消費量の最大値は、ヒラタケやエノキタケが30分当たり74.2mlであったが、ブナシメジは61.8mlであった。
柴田叡弌
奈良県十津川村と野迫川村の85名のシイタケ栽培業者を対象に、サルによるシイタケ被害についてアンケート調査を行った。その結果、51名の回答者中、70.6%の業者が被害を受けていることがわかった。被害の大半はシイタケほだ木に発生する芽に対するもので、夏以外の季節に発生していた。また、種々の防除対策が講じられてはいるが、効果的な方法はないことが明らかとなった。