河合昌孝
ミズメの組織培養において初代培養、増殖、発根における幾つかの培養条件を検討した。その結果、初代培養で冬芽を用いる場合、ジベレリンの添加と培地の硝酸塩濃度を下げることが冬芽の伸長開始に効果があった。増殖には、低濃度のBAPと高濃度のジベレリンの組み合わせの添加が効果あった。また、色付きのセロファン紙による遮光により発根率が高くなった。
和口美明・柴田叡弌・米田吉宏・隅 孝紀
上層木の量と林内の光環境の関係を明らかにするための前段階として、開空率を変えることができる模型を使い、開空率の変化に伴って模型内の光環境がどのように変わるのかを検討した。その結果、模型の開空率と平均相対照度の間には“平均相対照度=開空率”という非常に単純な関係が認められた。また、模型内の相対照度の頻度分布は、晴天日では開空率100%の時には全ての測定値が最も明るいクラスにあり、開空率が減少するに従って暗いクラスの頻度が増加する傾向がみられた。一方曇天日では分布の幅が狭く、模型内の光環境は開空率の違いにかかわらず均一であった。
西川禎彦・隅 孝紀・天野孝之
試験地(スギ8年生)を尾根から谷筋に向かってⅠ、Ⅱ、Ⅲブロックに区分して、溝腐病の被害状況を調べた。林内感染は、植栽当初から5年間続いていた。感染率は、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲブロックの順に高くなり、その被害範囲も造林木の上方に広がっていく傾向にあった。樹高生長は、斜面下方に位置するブロックほどよかった。このことから、林内感染は樹高生長のよい林内のうっ閉が早かったⅢブロックで感染率が高く、その患部は幹の横断面が不規則な星状や三日月形を呈しているものが多かった。
和口美明・柴田叡弌・米田吉宏・隅 孝紀
ツキノワグマによって樹幹に剥皮害を受けたスギ・ヒノキ造林木を伐倒し、20cm間隔で玉切りした後、各木口面での変色と腐朽の状態を観察した。スギ・ヒノキとも変色と腐朽は剥皮された部分から材内部に広がっていた。また、変色・腐朽の最も高いものはスギで300cmと280cm、ヒノキで280cmと260cmであった。
西川禎彦
室生林木育種園では、4月下旬~5月上旬にかけて晩霜害が発生する。1989年~1992年の採種園における雌花枯死率は10.7%~60.3%で、種子生産量に大きな影響を与えていた。1991年~1993年の苗畑における新芽被害率は16.6%~68.9%で、枯死部付近から発生した新芽は3本以上が多く、せん定しても幹の曲がりとなり、苗木の品質に大きな影響を与えていた。被害対策として、降霜の予知が可能なので、苗畑では事前にワラやむしろ等の被覆が可能である。この他、防霜ファンの設置が有効であると考えられた。
渡辺和夫・花尾英男・山下洋史・深見昭一・千原輝三・河合昌孝・小畠 靖
シイタケ菌床栽培の発生施設におけるキノコバエの防除方法の検討を行った。防除には市販の液体電気蚊取を使用し、この効果を調べるため粘着シートを用いた。粘着シートは、発生施設の栽培棚に地面に対し垂直方向と水平方向に設置し、7日間に捕捉されるキノコバエの数で効果を評価した。液体電気蚊取を使用するとキノコバエの捕捉数は使用しない時に比べて約43%に減少し効果が認められた。また、キノコバエは栽培棚上段(地上高168cm)で多く捕捉された。