田中正臣・米田吉宏
種子の大きさ・断根処理・播種時期がコナラの初期成長にどのような影響を及ぼすかについて検討を行った。種子の大きさについては、小粒より大・中粒の方が成長は優っていた。断根処理については、処理の有無にあまり差は見られなかった。播種時期についてみると、春蒔きよりも秋蒔きの方が早く発芽し、成長もよかった。コナラの苗木を生産する場合、立木上の成熟した結実種子を採取し、大粒のものを選び、秋に播種することが望ましいといえる。
和口美明・米田吉宏
西吉野村本谷にある上木スギ100年生、下木スギ4年生の二段林に調査地を設定し、5年間にわたって上木と下木の成長、林内相対照度の経年変化、雑草木の量および下刈りの実施状況を調査した。結果は以下のとおりである。1)林内相対照度は18.5%から11.0%に減少した。2)下木の平均樹高は直線的に増加し、樹下植栽後3年目(調査地設定時)で100.9cm、8年目で225.3cmであった。3)雑草木の量は少なく、簡易な下刈りで十分効果が認められた。
和口美明・米田吉宏
上木スギ、下木スギの二段林の下木に発生したノウサギによる樹幹切断害を、植栽時から11年間にわたって継続調査した。被害は樹下植栽した年の秋から発生しており、5年目に最も多く、7年目まで認められた。調査終了時までの被害木の本数は全部で30本、本数被害率11.7%であった。
和口美明・米田吉宏
上木スギ101年生、下木スギ6年生の二段林において、上木を伐倒した際に発生した下木の損傷を調査した。設定した3調査区での本数被害率はそれぞれ11.3%、12.7%、16.3%であった。また、被害は伐倒木の樹冠部分に集中して発生していた。
和口美明・米田吉宏
樹下植栽前に強度の間伐と枝打ちを行ったスギ-スギ二段林で、後生芽の発生状況を調査した。後生芽は12本中11本の上木に認められた。後生芽は全部で39個認められ、上木1本あたりの平均発生数は3.3個、最も多く発生していたもので6個であった。後生芽発生高の最大値は21.6m、最小値は4.3mで、最も多く発生していた高さは15~18mで、39個中16個であった。発生方向については、斜面の山側から谷側に向かって山・谷・左・右の4方向に区分した場合、谷側に最も多く15個、次いで左側12個、山側7個、そして右側が最も少なく5個であった。
西川禎彦・天野孝之・隅 孝紀
フェルトマットは、設置1年目はいずれの試験地ともにほとんどマット上で雑草木は認められなかった。2年目にはマットが地面に密着し湿潤であると、マット上に落ちた種子が芽生え、雑草木が繁茂することから、下刈作業を行う必要があった(高取試験地)。また、3年経過しても原型を維持し耐久性は認められた。ヤシガラマットは、ヤシ繊維の接着性に問題があり、設置1年以内に繊維の隙間から雑草木の侵入が認められた。2年目には、マットの原型が維持できず、耐久性は認めらられなかった。
山下俊二・藤平拓志
ログローダの間伐材搬出作業における性能試験を行った。その結果、ログローダが地曳き集材作業だけを行った場合、ログローダの作業待ち時間が多くなり稼働率が低下した。そのためログローダを間伐材搬出作業に使用する場合は、集材作業の進行状況を考慮しながら積み込み作業を行うというシステムが効率的であることが判明した。また、地曳き集材用キャップを使用することによって、地曳き集材時のトラブルの発生率が低下し、さらに集材速度が上がり作業時間の短縮を図ることができた。
田中正臣・福本通治・久保 健
奈良県に設置されたスギ人工同齢林固定調査地から得た資料を用いて、システム収穫表の基本となるBasicプログラムを試作した。まず調査林分の上層木の平均樹高から地位級を決める。そして地位級別樹高成長曲線(ミチャリッヒ式)とワイブル確率密度関数を使い、予測分布を決定した。runを押して、予測林分の名前・最小直径階・林齢・ha当たりの本数を入力することにより、予測分布が画面に表示される。