林業資料No.13(要旨)

組織培養によるヒノキ苗の育成

衣田雅人

 ヒノキの成木から採取した葉条を用いて発根誘導を行い、発根した苗条を馴化することにより、山行苗を育成した。MS培地を改変した3種類の培地において、最も発根率が高かったのは、改変MS培地を1/2に希釈し、IBAを0.5mg/1加えた培地で、発根率は18.5%であった。発根苗条を馴化すると、馴化前に2.9cmであった平均苗高が1年後には5.6cm、2年後10.5cm、3年後20.8cm、そして4年後には33.3cmに生育した。3年生と4年生苗を林野庁の山林主要苗木標準規格に当てはめると、それぞれ2年生5号と3年生5号に該当した。このように、組織培養で育成した苗は、発根するまでの培養期間を含めると、実生に比べて約2年生育が遅れた。

 

 

大型ビンを用いたシイタケ菌床栽培(第1報)
接種孔の形状、培養温度およびビンの反転時期が子実体の発生に及ぼす影響

渡辺和夫

 大型ビンを用いたシイタケ菌床栽培法を確立するため、接種孔の形状、培養温度およびビンの反転時期が子実体の発生量および発生個数に及ぼす影響を検討した。培養温度は、子実体発生量および発生個数に大きく影響した。23℃で培養すると、大型子実体(Mサイズ以上)の発生量は多くなり、発生個数は激減し品質は著しく向上した。また、接種孔の形状も発生量に影響した。

 

 

スギおがくずによるヤマブシタケのビン栽培

小畠 靖

 スギおがくずを培地基材とするヤマブシタケのビン栽培を試みた。スギおがくずと米ぬかを乾燥重量比で約1:1とする培地で、1ビン当たり生重量で78.7~85.8gの収量が得られ、栽培日数は28~39日であった。栄養材はフスマより米ぬかが良く、キャップはウレタンキャップよりもNARAキャップを用いたほうが子実体収量は多かった。

 

 

エリンギイ(Pleurotus eryngii)の子実体に含まれる低分子炭水化物について

小畠 靖

 ビン栽培したエリンギィ子実体の低分子炭水化物含有量を測定し、菌株間での比較および収穫後の変化について検討した。分析の結果、エリンギィ子実体の主要構成低分子炭水化物はマンニトールとトレハロースであった。マンニトール含有量は、傘が0.5~1.0g/100g、柄が1.9~4.1g/100gであった。トレハロース含有量は、傘が13.2~20.5g/100gであった。柄が12.3~23.4g/100gであった。これらの含有量は菌株間で異なり、子実体の生育過程や収穫後の経過時間により変動した。

 

 

エリンギイ(Pleurotus eryngii)の植物に対する病原性について

天野孝之・小畠 靖

 セリ科植物のDaucus carota、Anethum sp.およびPetroselium sp.の種子発芽苗について、エリンギィA廃菌床の水抽出液による感受性は認められなかった。培養カルスと二員培養後20日目には、すでにカルス細胞内に菌糸の侵入が認められた。収穫した西洋種ニンジンの表皮および切断部分の接種では、3週間後においても細胞組織内に菌糸の侵入は認められなかった。培養覆土法による発芽試験では、菌接種区は明らかに発芽率が低下した。本試験の場合、種子発芽時に周辺雑菌が高密度であると、発芽が困難な種でないかと推察される事例が観察された。苗畑土壌中に接種すると、エリンギィBの菌糸は消滅したと推察された。

 

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