木材加工資料No.22(要旨)

室生村森林組合事務所ログハウス温湿度環境

藤本春美・杉本英明・中村嘉明・疋田洋子

 室生村森林組合のログハウスの温湿度環境の測定を行った。その結果、ログハウス室内は木材の熱的性能によって夏の暑さが和げられていること、冬には暖房器具が必要があるが、その使用状態によっては常に暖かい状態にできることが明らかにされた。また、室内の湿度環境は木材の吸放湿の性質によって一定範囲に維持されることが明らかにされた。

 

 

圧縮法による難浸透性木材への液体注入(第2報)
圧縮による材の破損とその防止策について

酒井温子

 前報で、難浸透性木材への液体注入において、前処理として半径方向へ圧縮することが、浸透性の向上に有効であることを示した。今回は、圧縮方向を半径方向から接線方向まで変化させて、圧縮時の材の破損状況とその防止策について検討した。その結果、圧縮時に材に枠をはめて、圧縮方向以外の方向への変形を拘束することが、破損防止に有効であり、また、気乾材や加湿材では、この方法により、液体の浸透性が向上することが確認された。

 

 

異なる留分を配合したクレオソート油剤の防腐効力

中村嘉明・小豆畑利夫

 クレオソート油の色や臭いを悪くし、また沈殿・固化を生じる原因となる高騰点留分を可能な限り取り除き、しかも防腐効力が優れている油剤を製剤するため、蒸留温度範囲が異なる留分を配合した油剤を調製して、塗布・吹付け・浸せき用木材防腐剤の防腐効力試験を行った。その結果、235~280℃留分を80%、280~300℃留分を20%配合した油剤が最も効力が優れており、試験法の性能基準値に適合する製剤であることを明らかにした。

 

 

市販2×4工法構造用木材の耐朽性

藤平眞紀子・中村嘉明・疋田洋子

 市販の北米産の2×4工法構造用木材を、構造性能を考慮した枠組壁工法構造用製材の日本農林規格に基づく樹種分類に従って区分し、実験室的な耐朽性を常法に従って判定した。その結果、強度等級区分と耐朽性の大小との間にいかなる関係もみられず、D Fir-L群、S-P-F群、W Cedar群において、耐朽性が大きく異なる樹種が含まれており、また、Hem-Fir群とS-P-F群に属する多くの樹種の耐朽性が小さいことを明らかにした。

 

 

市販2×4工法構造用木材の曲げ強度

藤平眞紀子・中村嘉明・疋田洋子

 市販の北米産の2×4工法構造用木材を、枠組壁工法構造用製材の日本農林規格における強度等級および樹種群分類に従って区分し、各樹種の曲げ強度を測定し、実務上使用される住宅金融公庫の枠組壁工法住宅工事仕様書に示されている基準値と比較した。その結果、D Fir-L群、Hem-Fir群、S-P-F群において、樹種により強度性能にばらつきが認められ、要求される基準値を満足しない木材が含まれていることを明らかにした。

 

 

CCD1次元センサによるヒノキ材面に出現する節の検出
節計測のためのシステムとパーソナルコンピュータプログラム

和田 博

 CCD1次元センサとパーソナルコンピュータを用いて、ヒノキラミナの材面に出現する節の長さ方向の位置と節の最大幅を自動的に計測するシステムを開発した。ここで示すプログラムは、とくに専門的な知識を必要とせずに、節と判定するための検出条件を変更できるもので、これを用いて計測速度14m/min、分解能約0.5mmの精度で計測が可能であった。

 

 

ラジアータパイン材の接着性能
接着剤の塗布量との関係について

上田正文

 ラジアータパイン材、エゾマツ材を異なる接着剤塗布条件下で集成接着し、接着剤の塗布量および塗布方法が接着性能に及ぼす影響について調べた。浸せきはくり試験を行った結果、エゾマツ材では塗布条件と接着性能との間には明確な関係が認められなかった。ラジアータパイン材では塗布量200g/m2以下ではくり率が増加する傾向を示した。また接着層の形態を光学顕微鏡により観察したところ、ラジアータパイン材では塗布量の減少とともに接着層内における空隙の占める割合が多くなった。

 

 

スギ並材のLVL化と強度性能(第2報)

杉本英明・中田欣作・海本 一

 県内産スギ並材をLVL化し、改正されたJAS(日本農林規格)に基づいた強度性能試験を行い、JAS判定基準に対する強度の位置付けを行った。第1報では、スギ並材の中でも高品質の供試材での強度値を示したが、本報ではスギ並材の低質材で製造したLVLについて試験を行いスギLVLの性能を把握した。その結果、スギ並材で製造したLVLは単板の良否による強度差が大きいことや、曲げヤング係数は向上するが、強度の向上はあまり望めない。しかし、単板の選別構成の仕方によっては狂いの少ない、強度値の安定したLVLが製造できる。

 

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