木材加工資料No.26(要旨)

木質構造建築物の接合板としてのスギ強化LVLの製造(第3報)
スギロータリー単板へのフェノール樹脂の含浸

中田欣作・杉本英明

 スギ材から得た厚さ3mmのロータリー単板をフェノール樹脂(PF)水溶液に常圧下で浸せきし、各種の含浸条件と樹脂の含浸との関係を検討した。得られた結果を以下に示す。
1)強化LVLを製造するために適した重量増加率は、辺材単板ではPF濃度15%以上で得られたが、心材単板では得られなかった。
2)PF濃度が高くなるほど、PF水溶液の吸収率が高くなるとともに、重量増加率のばらつきが大きくなった。
3)同一の含浸条件での重量増加率は、単板寸法あるいは密度よりもPF濃度による影響を大きく受けた。

 

 

スギ・Z-S処理鋼複合集成材の断面構成と製造コスト

和田 博・河崎英治・新居稔弘

 スギ・Z-S処理鋼複合集成材を作製する際における、スギラミナの曲げヤング係数、ラミナの厚さ、およびZ-S処理鋼の厚さと、複合集成材の曲げヤング係数の関係を予測した。その結果、最外層ラミナの曲げヤング係数70(×103kgf/cm2)、それ以外のラミナのそれは50(×103kgf/cm2)として、厚さ3.2mmおよび2.3mmのZ-S処理鋼を用いた、幅15cm、高さ30cm、長さ5mの大断面複合集成材の曲げヤング係数は、それぞれ134×103kgf/cm2および114×103kgf/cm2で、製造コストはそれぞれ32,000円と29,000円となった。

 

 

繊維強化集成材の機械的性能

柳川靖夫・和田 博

 ガラス繊維シートおよび炭素繊維シートをラミナ間に挿入し、積層接着することによる集成材の強度性能の向上を試みた。ガラス繊維シートの挿入により曲げ強度は向上したが曲げヤング係数は向上しなかった。一方、炭素繊維シートの挿入により、曲げヤング係数および曲げ強度の向上が認められた。節を比較的多く含むラミナや、縦つぎを含むラミナを引張側外層に使用した場合でも、繊維強化を行うことにより高い曲げ強度を示す集成材が得られることが判明した。

 

 

食品添加物に指定された染料による木材の染色

酒井温子

 食品に触れる用途に使用される木製品への染色を目指して、食品添加物に指定された6種類の染料を用いて木材を染色し、得られた染色木材の性能を評価した。その結果、いずれの染料も耐熱性、耐酸性、及び耐アルコール性に優れていたが、使用上最も問題と考えられるのは、いずれの染料も木材中から溶脱しやすいことであった。また、耐光性や耐アルカリ性に劣る染料も確認された。

 

 

グリオキザール樹脂処理木材への防カビ性能の付与

岩本頼子・当麻 毅・伊藤貴文・中村嘉明

 樹脂溶液に防カビ剤を混入し、加熱硬化を行ったグリオキザール樹脂処理木材の防カビ性能について検討した。日本木材保存協会規格第2号「木材用防カビ剤の防カビ効力試験方法」に準拠して、防カビ効力試験を実施した結果、樹脂の加熱硬化後であっても、十分な防カビ性能を維持していることが明らかとなった。特にスギ、ヒノキおよびブナ辺材の処理材については、被害値が0となり、優れたカビ抵抗性を示した。

 

 

木材の耐朽性試験(第4報)
早成樹を含む輸入木材13樹種の耐朽性

中村嘉明・藤平眞紀子

 早成樹とその他の輸入木材合わせて13樹種の耐朽性を、JIS規格に準じた腐朽試験により、定量的に評価して、辺・心材別の耐朽性区分を行った。その結果から、早成樹ではジェミリーナ、アカシアマンギュウムの心材の耐朽性が、その他の樹種ではポンデローサパインの心材の耐朽性が高かったが、心材の耐朽性が小と判定された樹種が多かった。

 

 

建築用製材品の天然乾燥

寺西康浩・小野広治・久保 健

 スギ、ヒノキの正角材および平割材について、季節による乾燥性の違いを調べた。その結果、いずれの季節においても乾燥期間を90日とすると、スギ正角材の天然乾燥は困難であるが、ヒノキ正角材およびスギ、ヒノキの平割材の天然乾燥が可能であることが明らかとなった。また、天然乾燥初期における温湿度条件は厳しく、正角材の割れの発生につながるので、予防措置が必要である。

 

 

スギ中径材を対象とした構造用製材の木取りシステム(第2報)
画像解析による丸太木口面の年輪計測の一例

中田欣作・海本 一・杉本英明

 スギ丸太の木口面円盤の画像をCCDカメラで取り込み、2次元画像解析装置を用いて年輪幅の計測を行った。得られた結果を以下に示す。1)シェーディング補正、エッジ検出およびログ変換した画像を2値化することにより、年輪幅の計測が可能であった。2)3段階の明るさの画像による比較では、画像が明るくなるほど計測精度が高くなった。

 

 

整形木材の寸法安定化
熱処理、密閉熱処理、樹脂処理による圧縮変形の形状固定

寺西康浩・久保 健・小野広治

 整形木材の工芸的利用を主とした用途拡大のため、形状固定効果が得られる処理条件を検討した。小試片に熱処理、密閉熱処理、樹脂含浸処理(フェノール樹脂、グリオキザール樹脂、メラミン樹脂)を施し、3種の評価環境下での寸法挙動を調べた。その結果、使用環境別の最適処理条件が明らかになった。

 

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