小野広治・寺西康浩・大前善則
冬季と夏季の葉枯らし乾燥による含水率の減少効果ならびに熱気乾燥と天然乾燥の効果的な組合わせ、熱気乾燥後の熱風乾燥と天然乾燥の乾燥経過について検討した。得られた結果は以下のとおりである。
1)葉枯らし乾燥による含水率の減少量は、夏季は冬季にくらべて約3倍大きくなった。しかし、葉枯らし乾燥では辺材の含水率は、減少するが心材の含水率はほとんど変化しないため、心材率の高い柱材を乾燥する場合には葉枯らし乾燥の効果は少ないと考えられる。
2)熱気乾燥後に天然乾燥する場合と天然乾燥後に熱気乾燥する場合では含水率の減少量は同様であった。しかし、割れの発生率は、天然乾燥後に熱気乾燥した場合の方が高くなった。したがって、割れ等の損傷の発生を防止するためには、熱気乾燥後に天然乾燥する方が効果的と考えられる。
3)熱気乾燥後に乾燥不十分な材を所定の含水率まで乾燥するための方法として、熱風乾燥は天然乾燥にくらべて乾燥の促進効果が大きく効果的と考えられる。
小野広治・寺西康浩・大前善則・中田欣作
スギ梁材を乾燥温度80℃で14日間熱気乾燥して、背割りと割れ止め剤の有無による乾燥経過と割れ防止効果の差異、ならびに熱気乾燥後の乾燥経過と乾燥経過に伴う強度性能の変化について検討した。
得られた結果は以下のとおりである。
1)乾燥温度80℃の14日間の熱気乾燥で、仕上がり含水率を20%以下に乾燥できたのは初期含水率が40~50%の材であった。また、熱気乾燥後の温度50℃の熱風乾燥ではガラス室での天然乾燥にくらべて乾燥速度が2~3倍速くなった。
2)背割りと割れ止め剤の有無による乾燥経過には差は認められなかったが、割れ防止効果については、熱気乾燥では認められなかったが、熱気乾燥後の熱風乾燥と天然乾燥では認められた。
3)含水率約15%の動的ヤング係数と静的ヤング係数は生材時にくらべてそれぞれ1.08、1.10倍高くなった。
酒井温子・西岡久寛・高橋真紀子
ベイツガと称して輸入された木材を光学顕微鏡で観察し、組織構造の違いから、この中に混入していたモミ属の木材の割合を調査した。その結果、正角材100本中26本が、また集成材のラミナ85本中13本がモミ属の木材であった。いずれの木材も素材の耐朽性は低かった。また、これらに防腐薬剤を加圧注入したところ、ベイツガにもモミ属の木材にも注入量の少ないものがあった。
和田 博
スギとヒノキの節の部分(節部)と節以外の部分(材部)から採取した一辺が約2.5cmのサイコロ状の試験片にマイクロ波を照射した結果、節部と材部の温度に差が認められ、スギ材よりもヒノキ材のほうが節部と材部の温度差が大きかった。この結果をもとに、スギ、ヒノキおよびベイマツ板材にマイクロ波を照射した後、適当な放置時間を設けてサーモグラフィーにより節部と材部の熱画像を作製した結果、節の判別が可能であることが明らかになった。
増田勝則
建築物に使用するパネルの断熱材等に利用することを目的に、木材削片と発泡性フェノール樹脂を原料とした軽量体を作製した。その強度性能を把握するため、比重と原料の配合比の組み合わせを種々設定し、各条件下で製造された軽量体の圧縮強さと曲げ強さを測定し、強度性能およびコスト面から有利な製造条件を検討した。
軽量体の圧縮強さは比重による影響が高く、圧縮強さが要求される使用方法においては比重を高めることが有効であると推察された。同じ比重条件においては樹脂の配合比が高い条件ほど圧縮強さも高くなる傾向にあるが、コストを考慮した場合には樹脂の比率を高めることは不利であった。
曲げ強さは樹脂の配合比が高い条件において軽量で高強度のものが得られるが、これは比重0.125までで、比重を0.15にするとこの効果は弱まった。またコスト面においては、高比重で樹脂の配合比を低くした条件が有利であった。